若い星状天体

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星形成
Heic0411a.jpg
星形成中の天体
理論上のコンセプト
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Young stellar object (YSO) は、恒星の進化における初期段階を包括する概念である。 比較的新しく造語されたもので、『学術用語集・天文学編』の増訂版(1994年)にも未収録であり定訳がない。香川大学松村雅文(教育学部 理科領域)は若い星状天体 (わかいせいじょうてんたい)という訳語を与えている[1]

YSO は、その成長段階から時間軸により原始星前主系列星の2種類に分類することができる。また、その質量から、大質量YSO (MYSO)、中小質量YSO、褐色矮星と3種類に分類することもできる。

YSOは、通常その spectral energy distribution (SED)[2]の勾配によってランク分けされる。1984年に C. J. Lada と B. A. Wilking がこの分類を導入した際、スペクトル指数 \alpha \, の間隔の数値に基づく3つの段階(第I - 第III)を提唱した[3]


\alpha=\frac{d\log(\nu F_\nu)}{d\log(\nu)}.


ここで \nu \, は周波数、F_\nu光束の密度である。

\alpha \, は周波数の間隔 2.2 - 10 {\mu}m (近赤外線領域)で算出される。1994年に T. P. Greene らは「平坦なスペクトル」をみせる天体のために4番目の段階を追加した[4]。P. Andre らは、1993年に発見された、サブミリ波領域では放射強度が高いが波長が 10{\mu}m 未満では強度が低い天体を第0段階とするよう提唱した[5]。ただし、これは観測される天体の向きに依存するため、星の進化段階に対応するものではないという見方もあり、理論やモデルそのものがまだ発達途上にあり検証は先のこととなる。


  • 第0段階{\lambda}<10{\mu}m での検出不可。
  • 第I段階{\alpha}>0.3  降着の主たる段階。
  • 平坦なスペクトルを示すおうし座T型星0.3>{\alpha}>-0.3
  • 第II段階-0.3>{\alpha}>-1.6  星の周りの降着円盤が残存する古典的なおうし座T型星。
  • 第III段階{\alpha}<-1.6  星の周りの物質がほぼ消散した弱輝線おうし座T型星。

YSOはまた、恒星進化の初期段階にみられる次の現象を伴う。

脚注[編集]

  1. ^ 松村雅文 「若い星状天体 R Mon の連続光の偏光の時間変動」[1]
  2. ^ この用語にも定訳はない。国立天文台アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)計画 では「スペクトル概形」という訳語を充てている。[2]
  3. ^ Lada, C. J.; Wilking, B. A.; (1984) "The nature of the embedded population in the Rho Ophiuchi dark cloud - Mid-infrared observations", The Astrophysical Journal, vol. 287, pp. 610-621.
  4. ^ Greene, Thomas P.; Wilking, Bruce A.; Andre, Philippe; Young, Erick T.; Lada, Charles J.; (1994) "Further mid-infrared study of the rho Ophiuchi cloud young stellar population: Luminosities and masses of pre-main-sequence stars", The Astrophysical Journal, vol. 434, pp. 614-626.
  5. ^ Andre, Philippe; Ward-Thompson, Derek; Barsony, Mary; (1993) "Submillimeter continuum observations of Rho Ophiuchi A - The candidate protostar VLA 1623 and prestellar clumps", The Astrophysical Journal, vol. 406, pp. 122-141.