疑わしきは罰せず
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「疑わしきは罰せず」(うたがわしきはばっせず、ラテン語:in dubio pro reo)は刑事裁判における原則である。ラテン語の直訳から、「疑わしきは被告人の利益に」ともいう。刑事裁判においては検察側が挙証責任を負うが、ある事実の存否が判然としない場合には被告人に対して有利に(=検察側にとっては不利に)事実認定をする。
この制度は刑事訴訟における裁判官からみた面を表している。これを、当事者側から表現した言葉が推定無罪であり、ふたつの言葉は表裏一体をなしている。
1975年の最高裁白鳥事件再審決定(通称「白鳥決定」)では、この「疑わしきは被告人の利益に」という原則を再審にも適用し、それまで「無罪とすべき明白な新証拠を発見したとき」という厳しい制約が課されていた再審開始の基準に対し「新証拠と他の証拠を総合的に評価して、確定判決の事実認定に合理的な疑いを生じさせれば足りる」という新たな基準を示した。この決定以後、いわゆる冤罪事件に対する再審請求が活発化し、免田事件・梅田事件など再審において無罪判決が相次ぐ流れが生まれた。
刑事訴訟法336条では、「被告事件が罪とならないとき、又は被告事件について犯罪の証明がないときは、判決で無罪の言渡をしなければならない」と定めている。

