池谷裕二

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池谷 裕二(いけがや ゆうじ、1970年8月16日 - )は東京大学・大学院薬学系研究科准教授である。神経科学および薬理学を専門とし、海馬大脳皮質可塑性を研究する。脳研究の知見を平易な言葉で解説する一般向けの著作を数多く著し、世間一般から広く認知されている。

目次

[編集] 略歴

静岡県藤枝市に生まれる。1989年藤枝東高校を卒業し、同年東京大学理科一類に入学。脳に対する薬の作用に惹かれ、同大学薬学部に進学。記憶のメカニズムや認知症てんかんうつ病などを解明する一環として、可塑性に注目し、学部生の頃から精力的に学術論文を専門誌に発表する。同大学大学院薬学系研究科へ進学し、日本学術振興会特別研究員DC1を経て、海馬の研究により1998年に博士号(薬学)を取得。東京大学大学院薬学系研究科助手、コロンビア大学生物科学講座客員研究員、東京大学大学院薬学系研究科講師などを経て、現在、東京大学大学院薬学系研究科准教授(2007年8月1日 - )。日本薬理学会の学術評議委員・代議員も務める。
革新的な光学的画像電気生理学の技術を駆使した独創的な脳回路解析で、堅実な実験に裏打ちされた池谷の研究は、文部科学大臣表彰若手科学者賞、日本薬学会奨励賞、日本薬理学会学術振興賞、日本神経科学会奨励賞、創造性研究褒賞など数々の賞を受けている。

[編集] サイエンス論争

池谷らが2004年に発表したScience論文[1]は、大脳皮質のニューロンに見られる特徴的な発火パターンに着目し、定型的なネットワーク活動を明らかにして、十数年続いた論争に対して画期的な実験結果を示した。しかし、in vivoのデータを提供した共著者が、再解析の結果、有意な関連性を否定する論文をNeuron誌に報告した[2]。続いて、第三者のJ Neurosciの報告[3]は、池谷らの解析結果の正しさを認めながらも、慎重な議論を展開している。しかし、再解析を行っても当初の結論は変わらないとする池谷らの反論がPLoS ONE誌[4]に掲載され、一定の決着をみた。

[編集] 研究外活動

一般向けの書籍の累積販売部数は100万部を超え、一部は海外でも翻訳出版されている。最新の脳科学の知見をわかりやすく紹介する著書は一定のファンを得ており、そのスタイルは「ネオ理系」とも呼ばる[5]。執筆活動を行う科学者には珍しく、内外ともに評価されているのが特徴である。サイエンスライターの森健は、池谷について「特筆すべきは、池谷氏の著作については同じ研究者の間でも非常に評価が高いということだ。たとえば今回の取材でも、理化学研究所のある研究者が「普段の研究活動がありながら、よくあれだけの(質の高い)本が出せていると感心する」と手放しで讃えていた」と紹介している[6]。その一方で、池谷はアウトリーチ活動やメディア露出については比較的慎重で、テレビやラジオには出演しない。池谷のホームページにはアウトリーチ活動への意見が掲載されており[7]科学コミュニケーション界への影響も大きい。

[編集] 著書

[編集] 共著

[編集] 脚注

  1. ^ Science.:304(5670):559-64. (2004) Synfire chains and cortical songs: temporal modules of cortical activity.Ikegaya Y, Aaron G, Cossart R, Aronov D, Lampl I, Ferster D, Yuste R. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15105494
  2. ^ Neuron.: 53(3):413-25. (2007) Stochastic emergence of repeating cortical motifs in spontaneous membrane potential fluctuations in vivo.Mokeichev A, Okun M, Barak O, Katz Y, Ben-Shahar O, Lampl I. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17270737
  3. ^ J Neurosci.: 28(42):10734-45. (2008) The statistics of repeating patterns of cortical activity can be reproduced by a model network of stochastic binary neurons. Roxin A, Hakim V, Brunel N. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18923048
  4. ^ PLoS ONE.: 3(12):e3983.(2008) Statistical significance of precisely repeated intracellular synaptic patterns.Ikegaya Y, Matsumoto W, Chiou HY, Yuste R, Aaron G. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19096523
  5. ^ 日本経済新聞「NIKKEIプラス1」 (2005年5月14日)
  6. ^ 『脳にいい本だけを読みなさい!─「脳の本」数千冊の結論』 (光文社) 森健著 ISBN 978-4334976026
  7. ^ 「研究者のメディア活動について」 (池谷裕二のホームページより) http://gaya.jp/media/what_is_science.htm

[編集] 外部リンク

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