ユーウェイン

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獅子を助けるユーウェイン卿

ユーウェイン卿(Sir Ywain、またはUwain)はアーサー王伝説に登場する円卓の騎士。モデルとなった歴史上の人物であるユーウェインはアーサー王より前の時代に生きた人物であり、ウリエンス王の息子で、6世紀末にイングランド軍を破ったとされている。発音については、イウェイン、オワイン(Owain)、イーヴァン(Yvain)、イヴァン、(Ewain)などを採用しているものもある。


概要[編集]

アーサー王伝説においては、ウリエンス王と、モルゴースの子とされることが一般的。アーサー王にとっては、甥にあたる。もとの起源はケルト系であり、かなり古い部類に属する。

また、兄弟に同名のユーウェイン(私生児ユーウェイン)がいるため、彼と混同されることもある。

獅子を連れた騎士[編集]

クレティアン・ド・トロワの書いた詩物語など。こちらにおいてユーウェイン卿はある決闘で騎士を一人殺してしまう。ここで、ユーウェイン卿は自身が殺害した騎士の妻・ロディーヌに恋をしてしまう。ロディーヌにとってみれば、ユーウェイン卿は亡き夫の仇なので当然のことだが、ユーウェイン卿の愛を受け入れられるものではない。そこで、この物語の見せ場の一つであるが、ロディーヌの妹、リュネットによる巧妙な説得により、ユーウェイン卿はロディーヌとの結婚に成功する。

しばらくは、ユーウェイン卿は安楽な結婚生活を送っていたのだが、従兄弟のガウェイン卿の説得により、再び冒険の旅に出発することを決意する。このさい、ユーウェイン卿はロディーヌに「必ず一年以内に帰る」と約束するが、結局、ユーウェインは約束を守ることができなかった。激怒したロディーヌはユーウェイン卿を拒否するので、悲嘆にくれたユーウェイン卿はあてのない旅に出ることになる。

旅の途中、ユーウェイン卿は大蛇(龍とも)と戦っている獅子を発見する。ユーウェイン卿は獅子に加勢するのだが、これに恩義を感じた獅子は、ユーウェイン卿と行動を共にするようになる。以降、ユーウェイン卿は「獅子の騎士」あるいは「獅子を連れた騎士」と呼ばれるようになる。こののち、しばらく各地を旅したユーウェイン卿は、ふたたびリュネットの話術によりロディーヌの怒りをといてもらい、妻であるロディーヌとともに生活していくことになる。

参考文献[編集]

  • 渡邉浩司『クレチアン・ド・トロワ研究序説』(中央大学出版局、2002年)第II部第4章「『イヴァン』の構造と状況のイロニー」
  • 渡邉浩司「土用の神話とイヴァンの狂気」『広島大学フランス文学研究』第24号(2005年12月)、p.544-559.