アロンダイト

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アロンダイト英語: Aroundight[1], Aroundyȝt[2]伊語:Altachiara)とは、中世イギリス騎士道物語に登場するである。

概要[編集]

俗にアーサー王物語に登場する騎士ランスロットの剣とされているが、『ブリタニア列王史』(12世紀中頃)や『アーサー王の死』(15世紀後半)などの、いわゆる「アーサー王伝説に属する作品」には登場していない。

初めてその名が登場するのは、14世紀初頭の中英語詩『ハンプトンのビーヴェス卿(ビーヴィス卿)英語版』の異本ケンブリッジ大学キーズ学寮蔵 175 写本など)である。アロンダイトはこの詩の中でビーヴェス卿の息子ガイ卿の剣として登場するが、同時に「元々はランスロットの剣であった」という故事が語られている[1][注 1][注 2]

近現代に入り、エベニーザ・コバム・ブルーワー英語版故事成句辞典Dictionary of Phrase and Fable英語版』(1898年)[5][注 3][6]や、コンピュータゲームTRPG系の出版社である新紀元社発行の武器資料集『聖剣伝説』(1997年)などで、出典が定かでないにもかかわらず「ランスロットの剣の名はアロンダイト」と紹介されたため、この認識が広まった。

また、一説ではランスロットが逃亡する際、この剣で戦友ガウェインの弟たちを切り殺してしまったことから魔剣に堕ちたとされている。

オリヴィエは、ハンプトンのビーヴィス卿の末裔でビーヴィス卿は、円卓の騎士ランスロット卿の佩刀アロンダイトを何らかの形で入手した人物で、彼の息子ガイが使用した後、時を経て「オートクレール(この設定はイタリア語の著書によるものなので、アルタキエラとなっている)」と名を変え、オリヴィエに受け継いだ

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 異本によっては別の名前で書かれており、大英図書館蔵 Egerton 2862 写本では Raudoudeyn, Randondeyn, ナポリ王立図書館 (Royal Library of Naples) 蔵 XIII B 29 写本では Rauduney, ケンブリッジ大学蔵 Ff. 2, 38 写本では Radondyght となっている[2][3]
  2. ^ ただし『ビーヴェス(ビーヴィス)』の定本とされるスコットランド国立図書館英語版オーヒンレック写本英語版では、この剣の名称は登場せず、ランスロットと結びつける記述もない[3][4]
  3. ^ ただし、この辞典に引用されているヘンリー・ワーズワース・ロングフェローの詩([1], 『Tales of a Wayside Inn(路傍の宿屋の話)』所収)でエクスカリバーなどと並んで取り上げられていることから、Brewer 以前から認知はあったものとみられる。

出典[編集]

  1. ^ a b George Ellis ed., "Specimens of early English metrical romances" (1805)
  2. ^ a b Eugen Kölbing, Carl Schmirgel ed., "The romance of Sir Beues of Hamtoun" (1885). p.210, note.114. (other ver.)
  3. ^ a b 幻想アイテムの拾遺匣〔おとしものばこ〕内アロンダイトの項 (ウェブアーカイブ - ウェイバックマシン(2008年7月3日アーカイブ分))
  4. ^ 酒見研究室 - 英文学者酒見紀成のウェブサイト。『Sir Beues of Hamtoun(ハンプトンのビーヴェス卿)』の試訳を掲載している。
  5. ^ Brewer, E. Cobham. Dictionary of Phrase & Fable. Ar’oundight.
  6. ^ 日本語訳は『ブルーワー英語故事成語大辞典』(加島祥造他訳、大修館書店、1994年、ISBN 978-4469012385)。

外部リンク[編集]