アヴァロン

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アヴァロンAvalon、おそらくケルト語リンゴを意味する「abal」から)、またはアヴァロン島イギリスのどこかにあるとされる伝説のであり、美しいリンゴで名高い楽園であったとされる。このような「恵みの島(Isle of the Blessed)」という概念は、インド=ヨーロッパ系の神話には同様の例が多くあり、たとえばケルト神話ティル・ナ・ノーグ(Tír na nÓg)やギリシア神話ヘスペリデスの園(Hesperides、同様に美しいリンゴで知られる)などが有名である。

アヴァロンはまた、イエスアリマタヤのヨセフとともにイギリスを訪れ、後にそこがイギリス最初のキリスト教会となったという伝説の場所としても語られる。この場合のアヴァロン島の場所は、今日のグラストンベリーではないかと考えられている。

目次

[編集] アーサー王伝説

アーサー王の死(アーサー王と三人の湖の乙女)

アヴァロンはアーサー王物語と特に強く結びついている。アヴァロンはアーサー王の遺体が眠る場所とされる。モードレッドとの戦いで深い傷を負った彼は、アヴァロン島での癒しを求めて三人の湖の乙女(あるいは異父姉のモーガン・ル・フェイ)によって舟で運ばれ、この島で最期を迎えた。いくつかの異説によれば、アーサー王は未来のいつかに目覚めるため、ここで眠っているだけだという。

アーサー王とアヴァロン島は、12世紀の歴史著作家であるジェフリー・オブ・モンマスの『ブリタニア列王史』において初めて結び付けられ、それによるとアーサーはモードレッドとの戦いで致命傷を負い、その傷を癒すためにアヴァロン島に運ばれた、とある。

[編集] グラストンベリー説

グラストンベリー修道院廃墟の「アーサー王の墓所」

早くとも11世紀初頭には、アーサー王がグラストンベリー近郊に突き出た円錐形の丘、「グラストンベリー・トー」に埋葬されたという伝説が形成された。周辺のサマセット低地に広がっていた湿地帯が乾燥するまでの頃、一面の沼地の中で高く丸く隆起していたグラストンベリー・トーの巨体はまるで島のように見えたことであろう。ヘンリー2世の治世に活躍した著述家のギラルドゥス・カンブレンシス(「ウェールズのジェラルド」、Giraldus Cambrensis)らによれば、グラストンベリー修道院長のアンリ・ド・ブロア(Henry de Blois)らが丘の探索に参加し、どうやら5メートルの深さから『Hic jacet sepultus inclitus rex Arthurus in insula Avalonia』(ここアヴァロンの島にアーサー王眠る)と刻印された樫の木でできた巨大な棺のようなものと二体の骸骨を発見したらしいという。これらは1278年エドワード1世夫妻臨席の元、グラストンベリー修道院の主祭壇の前の地下に、大掛かりな儀式とともに再埋葬された。宗教改革でこの修道院が破壊され廃墟と化す前は、主祭壇下の埋葬地は巡礼たちの目的地になっていたという。

しかし、グラストンベリーの伝説は有名ではあるが眉唾物だと受けとめられていることが多い。中でも、棺にあった刻印は、6世紀の出来事とされるアーサー王伝説より時代が後にずれていると見られており、棺を発見した修道院による秘められた動機があるものと考えられる。これは当時のグラストンベリー修道院長が、他の修道院と競い自分の修道院の格を上げるため、様々な伝説を利用したと見られている。その結果、アーサー、聖杯、ヨセフが一つの物語の中で結び付けられることとなった。

[編集] その他の場所の説

セント・マイケルズ・マウント

その他、アヴァロンと考えられている場所はフランスブルターニュ半島沿岸にあるリル・ダヴァル(l'Île d'Aval)またはダヴァル(Daval)という島だという説や、あるいはかつてハドリアヌスの長城沿いにアバラヴァ(Aballava)という砦のあったイングランド最北部カンブリア州の村、ブラフ・バイ・サンズ(Burgh by Sands)という説もある。また、コーンウォール半島沿岸のセント・マイケルズ・マウント(St Michael's Mount)という島だという説もある。ここは他のアーサー王伝説の地に近く、干潮の時のみ浅瀬を渡ってたどり着ける島である。

[編集] 語源

一説に拠れば、アヴァロンという言葉は妖精の世界、または冥界を指すブリタニック語の「アンヌンAnnwyn)」が英語化したものという。しかしこれは転訛に無理があるといえる。アーサー王伝説を紹介したジェフリー・オブ・モンマスGeoffrey of Monmouth)によれば、アヴァロンとは「リンゴの島」と訳されている。リンゴ(アップル)はブルトン語およびコーンウォール語では「aval(アヴァル)」であり、ウェールズ語では「afal(アヴァル、「f」は「v」と発音する)」なので、このほうが自然な説といえる。

[編集] 関連項目