アーサー王の死

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オーブリー・ビアズリー『エクスカリバーを水に投げ入れるベディヴィア』(1894)
エドワード・バーン=ジョーンズ『アーサー王の最後の眠り』(1898)

アーサー王の死』(アーサーおうのし、Le Morte d'Arthur) は、15世紀後半にウェールズ人の騎士トマス・マロリーによって書かれた長編作品。内容はアーサー王の出生にはじまり、円卓の騎士たちの活躍、ランスロットグィネヴィアの不義、最後の戦い、アーサー王の死までを含む、中世のアーサー王文学の集大成ともいえる作品である。

作者トマス・マロリーは、1450年代初期からこの長大な作品の制作を開始し、1450年代のたびたびの投獄中にもこの大作の執筆を続け、出獄後、早くとも死(1471年3月14日)の2年前より遅い時期、かつ1470年までにこの大作を完成したとされている。

著者トマス・マロリー1470年までに書き上げた段階では本書は『アーサー王と高貴な円卓の騎士』(The hoole booke of kyng Arthur & of his noble knyghtes of the rounde table)という題であったが、出版業者ウィリアム・キャクストン1485年にこれを出版する際、『アーサー王の死』(中世フランス語Le Morte Darthur)と改題した。

キャクストンによる題名は、原書(全8話構成)の最終話の題名「円卓の騎士たちの分裂とアーサー王の死」から、その一部を借用しているに過ぎない。生誕から死までのアーサー王伝説円卓の騎士伝説、トリスタンとイゾルデ伝説、聖杯伝説などを含む作品全体の題名としては『アーサー王の死』は当時から不適切とされてきた。英語圏では、トマス・マロリーの意思と構成を尊重し、様々な作家が、原題に準ずる題名で、アーサー王伝説、円卓の騎士物語、トリスタンとイゾルデ伝説、聖杯伝説などを脚色した作品を主に若者向けに出版している。

ロジャー・ランセリン・グリーンによる改訂版ではオーブリー・ビアズリーが挿絵を手掛けており、井村君江による日本語訳の表紙でもそれらが使用されている。

日本語訳[編集]

  • 井村君江訳 『アーサー王物語』 全5巻、筑摩書房、2004~2007年。ISBN 4480831975
    • キャクストン版の完訳。
  • 中島邦夫、小川睦子、遠藤幸子訳 『完訳 アーサー王物語』 上下巻、青山社。ISBN 4915865622
    • ウィンチェスター写本版の完訳。
  • 厨川文夫・圭子編訳 『中世文学集1 アーサー王の死』 ちくま文庫。ISBN 4480020756
    • キャクストン版の抄訳。トリスタン挿話や聖杯伝説は割愛。

研究書[編集]

  • 中尾祐治『トマス・マロリーのアーサー王伝説 テキストと言語をめぐって』中部大学、2005年
  • 四宮満『アーサー王の死 トマス・マロリーの作品構造と文体』法政大学出版局、1991年