フィアット・フィオリーノ

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フィオリーノFiorino )は、イタリアの自動車メーカーであるフィアット社の小型商用車である。

初代(1977年-1988年、1989年-1995年)[編集]

フィアット・フィオリーノ(初代)
概要
別名 フィアット・147 シティ (ブラジル)[1]
Emelba 127 Poker
セアト・フィオリーノ
製造国 イタリアの旗 イタリアトリノ、フィアットミラフィオリ)
ブラジルの旗 ブラジルベチン
アルゼンチンの旗 アルゼンチンコルドバSevel
スペインの旗 スペインカタルーニャ州
販売期間 1977年1988年
1989年1995年(アルゼンチン)
ボディ
駆動方式 前輪駆動
パワートレイン
エンジン ガソリン:
903cc OHV 直列4気筒
1,049cc OHC 直列4気筒
1,297cc OHC 直列4気筒 (BR)
1,301cc OHC 直列4気筒 (RA)
1,372cc OHC 直列4気筒 (RA)
ディーゼル:
1,301cc OHC 直列4気筒
車両寸法
ホイールベース 2,225 mm
全長 3,835 mm
全幅 1,564 mm
全高 1,810 mm
車両重量 870 kg
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最初のフィオリーノはフィアット・127 シリーズ2の後部に高さ1.3メートル (4 ft 3 in)の箱状の荷室を載せた「ハイキューブ」(high-cube)デザインの車であり[2]、この後に幾つかのヨーロッパの自動車メーカーがこれを真似た。1977年11月初めに発売され[2]1980年フェイスリフトを受けた。エンジンはフィアット・127と同じものを使用していた。第1世代のフィオリーノはブラジルミナスジェライス州アルゼンチンコルドバにある工場で生産された。ピックアップトラック版はブラジルで「フィアット・147 シティ」(Fiat 147 City)と呼ばれた[1]

スペイン製モデル[編集]

セアト フィオリーノ・ピックアップ

フィオリーノはスペインではセアト社とフィアット社の合弁事業により生産され、「Emelba 127 Poker」と呼ばれ[3]、パネルバンとピックアップトラックが提供された。1986年まで生産された127 Pokerは後に「セアト・フィオリーノ」(SEAT Fiorino)と改称され、セアト・127(SEAT 127)と同じエンジンを搭載したセアト・テラ(SEAT Terra)に代替された。スペイン製のフィオリーノはバルセロナにある工場で生産された。

エンジン[編集]

モデル エンジン 排気量 出力 トルク 注記
0.9 8V ガソリン L4 903 cc 45 PS (33 kW; 44 hp) 64 N⋅m (47 lb⋅ft)
1.05 8V ガソリン L4 1049 cc 50 PS (37 kW; 49 hp) 77 N⋅m (57 lb⋅ft)
1.3 8V ディーゼル L4 1301 cc 45 PS (33 kW; 44 hp) 103 N⋅m (76 lb⋅ft)

2代目(1988年-2014年)[編集]

フィアット・フィオリーノ(2代目)
概要
別名 フィアット・プレミオピックアップ(ベネズエラ)
フィアット・ウノピックアップ(ブラジル)
製造国 ブラジルの旗 ブラジル(ベチン、フィアットオートモベイス)
アルゼンチンの旗 アルゼンチン(コルドバ、Sevel)
販売期間 1988年2013年
1995年2014年(アルゼンチン)
ボディ
駆動方式 前輪駆動
パワートレイン
エンジン ガソリン
999cc 直列4気筒
1,108cc 直列4気筒
1,116cc 直列4気筒
1,301cc 直列4気筒
1,368cc 直列4気筒
1,497cc 直列4気筒
1,581cc 直列4気筒
ディーゼル
1,697cc 直列4気筒
変速機 4/5速MT
車両寸法
ホイールベース 2,365 mm(1988-1994)
2,580 mm(1994-)
全長 3,949 mm(1988-1992)
4,160 mm(1994-)
全幅 1,555 mm(1988-1992)
1,620 mm(1994-)
全高 1,893 mm(1988-1992)
1,920 mm(1994-)
車両重量 950-1,025 kg
系譜
後継 フィアット・ドブロ(ヨーロッパ)
フィアット・ストラーダ(ピックアップ)
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1984年にブラジル製のフィアット・ウノを基としたより近代的なモデルが発売された。第2世代のフィオリーノはパノラマ(Panorama)とピックアップトラックのボディでも提供された。この新しいフィオリーノは1988年から2000年までヨーロッパ市場向けにイタリアのボローニャで生産された(25万台以上)。フィオリーノはヨーロッパ内で特にパネルバン・モデルが大きな成功を収めた。

1992年フィアット・ティーポの影響を受けた新しいスタイリングでフェイスリフトを受け[4]、新設計のプラットフォーム、新しい内装、より環境性能の高いエンジンを取り入れた。ヨーロッパ市場での最後のフェイスリフトは1997年に実施された。

1994年フィアット・ミッレ(ヨーロッパで旧型となったウノの廉価モデル)のプラットフォームを与えられた新しいモデルが南アフリカ共和国で登場した。ブラジルのミナスジェライス州にある工場で生産されているこのモデルは、現在でもブラジル、パラグアイ、アルゼンチン、チリで販売されている。第2世代のフィオリーノは当初アルゼンチンでも生産されていた。100万台以上のフィオリーが南アフリカで販売された。2004年フィアット・ドブロ風の顔周りを備えた新たにフェイスリフトを施されたモデルが登場した。2009年には新しい赤色のフィアットのロゴを車体前面に取り付けられた新しいモデルが導入された。

フィオリーノはフィアット社が中華人民共和国での生産を承認した最初の車種であり、1996年からパリオシエナが登場した2001年まで生産された。

エンジン[編集]

エンジンはフィアット 1.7L 8 V自然吸気版とターボチャージャー付版、1.4L 8V FIRE ガソリンエンジンと南アフリカでは1.0Lと1.5L 8V、ブラジルではガソリンエタノールの双方で稼働するフレキシブル・フューエル技術(flexible fuel technology)対応の2種の1,242 ccエンジンを搭載している。

3代目[編集]

ヨーロッパ(2007年-)[編集]

フィアット・フィオリーノ(3代目)
概要
別名 フィアット・フィオリーノパノラマ(トルコ)
製造国 トルコの旗 トルコブルサ
販売期間 2007年 – (トルコ)
2012年2016年(アルゼンチン)
ボディ
ボディタイプ 3ドアパネルバン
5ドアパッセンジャーバン
駆動方式 前輪駆動
プラットフォーム SCCSプラットフォーム
パワートレイン
エンジン 1.4L 直列4気筒(ガソリン)
1.4L 直列4気筒(ガソリン)
1.4L 直列4気筒(ガソリン/ CNG)
1.3L 直列4気筒(ディーゼル)
1.4L 直列4気筒(ディーゼル)
変速機 5/6速MT
5/6速AMT
車両寸法
ホイールベース 2,513 mm
全長 3,864–3,964 mm
全幅 1,716 mm
全高 1,721 mm
車両重量 1,165 kg
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ブラジル(2013年-)[編集]

フィアット・フィオリーノ(3代目)
概要
別名 ラム・プロマスターラピッド(メキシコ)
ラム・V700ラピッド(チリ、ボリビア、コロンビア、ペルー)
製造国 ブラジルの旗 ブラジル(ベチン、FCA-Planta Betim)
販売期間 2013年 -
パワートレイン
エンジン 1.4L 直列4気筒(ガソリン/エタノール)
変速機 5速MT
車両寸法
ホイールベース 2,717 mm
全長 4,384 mm
全幅 1,809 mm
全高 1,900 mm
車両重量 1,117 kg
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車名の由来[編集]

フィオリーノは「フローリン金貨」として知られるイタリアの古い貨幣に由来している[2]

脚注[編集]

  1. ^ a b Fiat 147 history”. Clube147.hpg.ig.com.br. 2010年4月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年9月30日閲覧。
  2. ^ a b c Auto Motor und Sport Heft 23 Seite 6. Stuttgart: Vereinigte Motor-Verlag GmbH & Co KG. (1977) 
  3. ^ 17:56 (2010年2月19日). “Emelba 127 Poker”. Debates.coches.net. 2010年9月30日閲覧。
  4. ^ Nuovo Fiorino, piu' spazio e piu' chili”. Archiviostorico.corriere.it (2009年12月24日). 2010年9月30日閲覧。

外部リンク[編集]