ニューヨーク1997

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ニューヨーク1997
Escape from New York
監督 ジョン・カーペンター
脚本 ジョン・カーペンター
ニック・キャッスル
製作 デブラ・ヒル
ラリー・J・フランコ
出演者 カート・ラッセル
リー・ヴァン・クリーフ
アーネスト・ボーグナイン
ドナルド・プレザンス
アイザック・ヘイズ
ハリー・ディーン・スタントン
音楽 ジョン・カーペンター
アラン・ハワース
撮影 ディーン・カンディ
ジム・ルーカス
編集 トッド・ラムゼイ
配給 アメリカ合衆国の旗 アブコ・エンバシー
日本の旗 日本ヘラルド映画
公開 アメリカ合衆国の旗 1981年7月10日
日本の旗 1981年5月23日
上映時間 99分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
興行収入 $25,244,626[1]
次作 エスケープ・フロム・L.A.
テンプレートを表示

ニューヨーク1997』(原題:Escape from New York)は、1981年アメリカ映画

概要[編集]

製作をアブコ・エンバシー、監督をジョン・カーペンター、主演をカート・ラッセルがそれぞれ担当した、近未来SF映画である。

オープニングのマンハッタンのイラストはCGではなく、段ボール箱にガムテープを貼りブラックライトを当てたものである。また、冒頭のスネーク・プリスキンがグライダーを使い、夜陰に乗じてニューヨークに侵入を試みるシーンで、グライダーに搭載された暗視野装置のモニタに映し出される風景映像は、ミニチュアをリスフィルムで撮影して光学合成をかけたものである。まだCGに莫大な予算が必要だった当時としては現実的かつ効果的な手法であり、その後しばらくの間は「CGを使いたいが予算がない」という作品で多用されるテクニックとなった。

1996年には続編『エスケープ・フロム・L.A.』が製作された。

ストーリー[編集]

1988年、犯罪増加率が400%を突破したアメリカは、ニューヨーク・マンハッタン島を15メートルの巨大なコンクリート壁で囲み、一帯をまるごとアメリカ最大の刑務所とした。そこには終身刑の重犯罪者たちが集められ、週に1回セントラル・パークに投下される食料の配給以外は全て所内の囚人による自治に委ねられていた。

エネルギー危機によって米ソが開戦した第三次世界大戦が終結しつつあった1997年のある日、大統領専用機テロリストに乗っ取られ、マンハッタン島内に激突墜落させられる。大統領は脱出用ポッドで機外に逃れたが、救助に向かった強行突入部隊が発見したのはこじ空けられたポッドだけであり、大統領はすでに囚人たちによって拉致され、渡されたのは刑務所周辺を警備する全兵力の撤退を要求する囚人たちの要求書と、切り落とされた大統領の指1本だった。

大統領は米中ソの三国サミットへ向かう途中で、サミットでは参加国に対し、戦争の原因であるエネルギー問題を解決する核融合技術に関する発表内容が吹き込まれた録音テープを提示する予定だった。

警察本部長のホークは、元特殊部隊員で叙勲された英雄ながら、武装強盗の罪で終身刑の判決を受け、収監される予定だったスネーク・プリスキンを、放免を条件に刑務所内に単身潜入させることを思い付く。

嫌々ながら大統領救出作戦に同意したスネークは、頚動脈に24時間後に爆発するマイクロチップを注入されたうえでサプレッサー付きMAC10などの武器を渡され、グライダー世界貿易センタービルへ着地すると、大統領を人質に取ったギャングのリーダーや、街に蠢く囚人たちを相手に孤独な戦いを開始する。

キャスト[編集]

※括弧内は日本語吹替[2](2017年8月25日発売のブルーレイに収録)。

その他
此島愛子大久保正信石森達幸石丸謙二郎藤夏子藤本譲平林尚三/海沢昌代/小島敏彦秋元羊介水鳥鉄夫/東富士郎/幹本雄之三枝みち子

スタッフ[編集]

<日本語版制作スタッフ>

演出:福永莞爾
翻訳:平田勝茂
効果:南部満治/大橋勝次
選曲:河合直
制作:ザック・プロモーション
テレビ初回放送日:1982年10月27日(水) 日本テレビ 水曜ロードショー
『ニューヨーク1997』 Blu-rayに収録
規格品番 DAXA-5201
販売元  KADOKAWA
発売日  2017年08月25日

評価[編集]

レビュー・アグリゲーターRotten Tomatoesでは68件のレビューで支持率は85%、平均点は7.20/10となった[5]Metacriticでは12件のレビューを基に加重平均値が76/100となった[6]

関連作品[編集]

メタルギア
コナミのテレビゲーム。主人公のソリッド・スネークのモデルは、本作の主人公スネーク・プリスキンであり、麻酔銃を持って単独潜入を行って敵から隠れながら倒していくなど、ストーリー的にも本作をモデルにしている部分が多い。
シリーズ第4作『メタルギアソリッド2』では、ソリッド・スネークが雷電に名を尋ねられた際に「イロコィ・プリスキン」海軍中尉と名乗っており、またスネーク・プリスキンと同階級である。「イロコィ」はアメリカ合衆国が手本とした連邦制を敷くインディアンの部族「イロコィ族」から取られており、また現地の言葉で「毒蛇」を意味する。
さらに続編の『メタルギアソリッド3』では、ネイキッド・スネーク(ビッグ・ボス)が片目を失明して眼帯を装着する経緯が描かれ、スネーク・プリスキンとは左右の目が反対ながら、より外見が近くなっている。
なお、カーペンターに対して『メタルギア』シリーズを盗作疑惑で訴えることを勧める声もあったが、彼がシリーズの生みの親である小島秀夫と良好な関係を築いていたなどの理由から訴えることはなかった[7][8]ほか、『メタルギアソリッド2』の限定版パンフレットではカーペンターからのコメントが寄稿されている。
魔界都市〈新宿〉
菊地秀行の小説。本作にインスパイアされた作品。
ロックアウト
内容に本作から盗用した部分があるとされ、裁判の結果賠償金の支払いを命じられている。

脚注[編集]

  1. ^ Escape from New York (1981)”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2009年11月6日閲覧。
  2. ^ 初放送1982年10月27日 日本テレビ水曜ロードショー』。
  3. ^ 登場シーンカットにより本編未登場。
  4. ^ クレジットなし。
  5. ^ Escape from New York (1981)”. Rotten Tomatoes. Fandango Media. 2022年7月19日閲覧。
  6. ^ Escape from New York Reviews”. Metacritic. CBS Interactive. 2022年7月19日閲覧。
  7. ^ 映画「ニューヨーク1997」の監督、似た設定を持つ『メタルギア』の小島監督を訴えなかった理由語る。「彼はいいやつだったから」”. AUTOMATON (2015年10月28日). 2021年12月2日閲覧。
  8. ^ 『METAL GEAR SOLID』訴訟の可能性もあった ― ジョン・カーペンター監督が語る”. インサイド (2015年10月28日). 2021年12月2日閲覧。

参考文献[編集]

  • ジョン・ウォルシュ『ニューヨーク1997 ジョン・カーペンター映画術』富永晶子訳、2021年12月、DU BOOKS

外部リンク[編集]