キルト

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キルトを指す女性

キルト(quilt)は、表地(トップ・キルトトップ)と裏地の間に薄い綿を入れ、重ねた状態で指し縫い(キルティング)したもの。日本では、多色の布を縫い合わせたパッチワークキルトが主流。

布に綿をはさむ技法や、端切れを一枚布に仕立てる技法などは各地に存在し、古代エジプトですでに用いられていたとされるが、ここでは、ヨーロッパで発祥しアメリカで発展した技法について述べる。

なお、スコットランドの伝統衣装であるキルト (kilt) は、この記事で扱うキルト (quilt) とはまったく関係ない。

各地のキルト[編集]

ヨーロピアンキルト[編集]

キルトはヨーロッパの寒冷地で発祥したといわれ、保温のために布地に綿をはさんだのが始まりといわれている。

十字軍の遠征に伴って、保温着としてヨーロッパ各地に広まり、上流階級の女性の手芸としてさまざまな技法が編み出された。その後、清教徒のアメリカ移民とともにアメリカに伝わった。

アメリカンキルト[編集]

布地の有効利用のために、余った布や端布をつないで作ったのが始まりと言われている。当時は布の利用に主眼がおかれたため、モチーフなどの制作は行われなかった。

産業革命以降、くらしにゆとりがでるとキルトにも装飾性が求められるようになり、様々なモチーフが考案された。南北戦争の際に、モチーフを利用して暗号文を作成したという伝説が残っている。

1800年代半ばから、『キルティング・ビー』と呼ばれる、多人数で一枚のキルトを制作する会が催されるようになり、女性の主要な社交場となった。

1900年代に入り、女性の社会進出が一般化するとキルトは一時衰退するが、1970年にキルト研究家のジョナサン・ホルスタインがコレクションを公開すると、アートの一つとして再評価された。

ボルチモアキルト(バルチモアキルト)[編集]

1840年代から1860年代にかけて、ボルチモアの女性たちが作ったアルバム・スタイルのキルトで、ボルチモア・アルバム・キルトとも呼ばれる。メソジスト会派の女性が献金を募る目的で製作したり、牧師さんへの贈り物、結婚のお祝いとして作られたものが多い。 華やかな花のアップリケや風景を写実的に表した模様が特徴。 現在では、その手法を真似て作るものをボルティモアキルトと呼ぶ場合がある。

アーミッシュキルト[編集]

アーミッシュが作ったパッチワークキルト。無地の布を使った幾何学模様が特徴。

ハワイアンキルト[編集]

ハワイアンキルト

1820年代にイギリス人宣教師によって伝えられたパッチワークキルトが独自に発展したもの。 大判の一枚布を8つに折り畳んでカットするため、左右対称のモチーフができる。 ハワイでは、ハギレを利用する習慣がなかったため、大判の布をあえて細かく裁断して使用したといわれている。 パイナップルや花などのモチーフが特徴。

ジャパニーズキルト[編集]

刺し子を『日本のキルト』と呼ぶ場合もあるが、通常はキルトに含めず、日本的な感性で配色されたキルトや、和の素材を使用して作ったキルトを『ジャパニーズキルト』と呼ぶ場合が多い。

1975年資生堂の主催で開催されたキルト展において、ジョナサン・ホルスタインのコレクションが公開されたことから徐々に『キルター』と呼ばれる愛好家が増え、アメリカに次いでキルトが盛んになった。

当初はパッチワークキルトが主流だったが、トラプントやスラッシュキルト、クレージーキルトなどさまざまな技法を取り入れ、発展している。 しかし、日本においてキルトは趣味の範囲にあり、生活に根ざしたものとはなっていない。

アイランドキルト(カオハガン)[編集]

フィリピンカオハガン島で作られたキルト。自由な配色と南国的な明るいデザインが特徴。 1990年にカオハガン島を購入した崎山克彦夫妻が、現地の住民に伝えたキルトが元になっている。島の観光資源として注目されており、日本から招かれたキルト作家が技術指導にあたっている。

技法[編集]

パッチワークキルト
アップリケキルト(部分拡大)

パッチワークキルト[編集]

布をはぎ合わせて一枚の布にしたものを、トップにして作ったキルト。

アップリケキルト[編集]

土台布の上にモチーフを縫い付ける技法(=アップリケ)でトップが作られているキルト。 ハワイアンキルトも、そのひとつである。

ホワイトキルト(ホールクロスキルト)[編集]

トップに一枚布を使い、キルティングで模様を描いたキルト。

ストリングキルト(ストリッピーキルト)[編集]

パッチワークキルトの一種で、紐状の布を直線的にはいで作る。

セルティックキルト[編集]

アイルランドケルト族の伝統模様を使ったキルト。バイアステープを使用して模様を作り、キルトトップにアップリケする。最近では、伝統模様だけでなく、独自にデザインされた作品も多い。

セミノールキルト[編集]

フロリダセミノール族の模様を再現したキルト。ミシンを主に使用する。紐状の布をはいで一枚布に仕立て、それを切って角度をつけて並べ替え、縫い直す技法。

クレージーキルト[編集]

19世紀に盛んに作られたキルト。ベルベットなどの綿以外の上等な布を多用し、刺繍やレースなどで装飾を加えたものを、ヴィクトリアン・クレイジーキルトと呼ぶ。通常、中綿は入れない。 使用するパーツの形状や配置、配色に制限がない。

スラッシュキルト(シュリッツェ)[編集]

16世紀ドイツで考案された技法。 数枚の布を重ね、0.5cm - 2cm 間隔で縫い、縫い目と縫い目の間に切れ込みを入れて水にさらすと切れ込みの部分がほどけ、起毛し、リボンやモールを連ねたような作品が仕上がる。 格子状に縫い目を入れて×字型に切れ込みを入れる場合と、バイアス方向に直線上に縫い目と切れ目を入れる場合とがある。

ステンドグラスキルト[編集]

アップリケの縫い目の部分に黒い縁取りをして、ステンドグラスのように仕上げる技法。 バイヤステープを使う方法と、リバースアップリケのように縁取り布をくりぬいて作る方法がある。 単色の布を主に使用する。

ブティ[編集]

フランスで考案された技法。中綿を入れずにステッチを施し、ステッチの間に綿糸を詰めて凹凸を出す。通常のキルトに比べ、モチーフ部分を強調して立体化させることができる。 昔は、専門の職人がアトリエで作った。 貴族に好まれたことから、フランス革命の際に作品の大半が破棄された。

トラプント[編集]

イタリアで考案された技法。ブティに似ているが、中綿を入れた状態でキルティングを施し、さらに裏からモチーフ部分に綿や毛糸をつめる。

関連項目[編集]