カノン (パッヘルベル)

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ヨハン・パッヘルベルカノンは、ドイツ作曲家ヨハン・パッヘルベルバロック時代中頃の1680年付近に作曲したカノン様式の作品である。「3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調」(: Kanon und Gigue in D-Dur für drei Violinen und Basso Continuo)の第1曲。この曲は、パッヘルベルのカノンの名で広く親しまれており、パッヘルベルの作品のなかで最も有名な、そして一般に知られている唯一の作品である。

しばしば、クラシック音楽の入門曲として取り上げられる。また、ポピュラー音楽において引用されることも多い[1]卒業式結婚披露宴BGMとされることもある。

曲の構成[編集]

カノンが有名だが、原曲はカノンとジーグで1組になっており、カノンの次にジーグが演奏される。ヴァイオリン3本と通奏低音チェロコントラバスチェンバロで奏する)のために書かれている。

カノン[編集]

三声に通奏低音を伴う単純な同度カノン。ニ長調、 4分の4拍子。

2小節のバスを繰り返してその上でカノンを演奏するという構成をとっている。以下の楽譜はその冒頭部である。

カノンの冒頭の9小節。旋律が他のパートへそのまま受け継がれている。三声の同度カノンである。

第1ヴァイオリンの水色の旋律が第2ヴァイオリン、第3ヴァイオリンへと順々に受け渡されていっている様子がわかる。緑色、桃色、橙色の旋律がそれぞれ2小節ずれながら他のパートへ受け継がれていっている様子が観察できる。

Pachelbel Canon bass line (quarter notes).svg

通奏低音は2小節単位で和声(あるいはコード)が循環している。すなわち、D - A - Bm - F#m - G - D - Em/G - A (コードネーム表示、芸大和声式表示では I - V - VI - III - IV - I - II1 - V)という和声進行(部分によって同じ低音の上に異なる和音を構築することがある)を28回繰り返す、という構造をしている。従って、パッサカリアないしシャコンヌとしてこの曲をとらえることもできる。

ジーグ[編集]

フーガ風な処理で始められるニ長調、8分の12拍子の典型的なジーグ。現代では第1曲カノンが単独で頻繁に演奏されるのに比べると演奏機会は少ない。

大逆循環[編集]

パッヘルベルのカノンにおける和声進行は大逆循環[要出典]と呼ばれ、非常に快く耳に響くためバロック期から現代に至るまで多くの作曲家が愛用している。ただ、このような性質から、大逆循環はしばしば創意工夫が足りないことの代名詞のように言われることもある。また、俗にカノン進行とも呼ばれるが、カノンとは本来和声の進行についての規則でないことに注意する必要がある。

なお、上記各コード(D - A - Bm - F#m - G - D - Em/G - A)の一部を代理コードなどに変えた、低音部に D - C# - B - A - G - F# - E (or G) - A という下降進行を持った曲も数多く作られている。

脚注[編集]

  1. ^ [1]、例えば、山下達郎の「クリスマス・イブ」には、間奏に彼自身の多重コーラスによるパッヘルベルのカノンが引用されている。

外部リンク[編集]