エミール・ゾラ
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エミール・ゾラ(Émile Zola, 1840年4月2日 - 1902年9月29日)は、フランスの小説家で、自然主義文学の定義者であり、代表的存在でもある。代表作に、全20作から成る≪ルーゴン・マッカール叢書(そうしょ)≫中の『ジェルミナール(芽月)』、『居酒屋』、『ナナ』がある。
目次 |
[編集] 生涯
イタリア人技術者である父とフランス人である母との1人息子として、パリに生まれた。ゾラは少年時代を南フランスのエクス=アン=プロヴァンスで過ごした。
18歳でパリに戻り、バカロレア(大学入学資格試験)に挑戦するが失敗し、出版社アシェット書店で働きながら(配送部に入社。後に広報部に移動)作家を目指してロマン主義的な作品を作った。このころから、評論を手がけ始め、マネなどの印象派の画家を擁護する批評を発表した。
1867年に『テレーズ・ラカン』を発表し、小説家としての足場を固めた。ゾラは実証的な自然科学の手法をそのまま文学に導入する「自然主義」を唱え(「実験小説論」)、その実践としてルーゴン・マッカール叢書を執筆した。当初は全くと言っていいほど売れず、専門家にしかその名を知られなかったが、第7作『居酒屋』で社会現象を起こすほどの大成功を収め、以後フランス自然文学の黄金期を築き、後にはフランス文芸家会長にも就任した。
ゾラがメダンに造った別荘は多くの文学者が集まるサロンとなった。モーパッサンやユイスマンスもゾラの別荘に出入りするうちに才能を認められた作家である。少年時代からの友人である画家のポール・セザンヌとは一時同居もしていたが、諸説により絶交している。
晩年は空想的社会主義に傾き、社会・政治活動に精力的に参加した。ドレフュス事件では、右翼的軍部の陰謀によりスパイ容疑にかけられた、ユダヤ系の参謀本部付砲兵大尉ドレフュスを弁護し、1898年に『我弾劾す』("J'accuse")に始まる公開状をオーロール紙に寄稿した。このため罪に問われ、イギリスに亡命するが、翌年帰国。ドレフュスの再審が決定(1906年に無罪確定)。
1902年、パリの自宅で一酸化炭素中毒のために死亡した。反対派による暗殺説もある。遺骸はパンテオンに眠る。
[編集] 著作
[編集] 《ルーゴン・マッカール叢書》
『ルーゴン家の繁栄』から『パスカル博士』まで20巻からなる。第二帝政時代のルーゴン・マッカール家の運命を描こうとしたもの。2002年から小田光雄等訳で、論創社より刊行されている。また藤原書店で「ゾラ・セレクション」全10巻が刊行中。
- 『ルーゴン家の繁栄』"La Fortune des Rougon", 1870年
- 南仏の架空の町プラッサンを舞台に、ナポレオン派と共和派の争いを、少年シルヴェールの悲恋を絡めて描く。
- (作成者註:ルーゴン・マッカール家第三世代までの顔見せ興行的な面がある必読の書)
- 『獲物の分け前』"La Curée", 1871年
- ルーゴン家の三男、アリスティド(サッカール)が、パリの再開発に伴う土地の投機に狂奔する。
- 『パリの胃袋』"Le Ventre de Paris", 1873年
- パリの市場を舞台に、ギニアから脱走してきた青年フロランは監督官として働き者との評判を取るが、やがて周囲に疑われるようになり、フロランの義妹リザ・クニュ(マッカールの娘)の密告で共和主義者として逮捕される。
- 『プラッサンの征服』"La Conquête de Plassans", 1874年
- 未訳
- 『ムーレ神父のあやまち』"La Faute de l'Abbé Mouret", 1875年
- 息抜きの一作。狂信的な神父セルジュ・ムーレはパラドゥーで野性的な少女アルビーヌと出会い、愛し合うようになるが、セルジュは信仰に悩み、やがてアルビーヌは死んでゆく。
- 『ウージェーヌ・ルーゴン閣下』"Son Excellence Eugène Rougon ", 1876年
- 未訳
- 『居酒屋』"L'Assommoir", 1876年
- ゾラの最大の出世作。パリに出てきた洗濯女ジェルヴェーズ・マッカールが死にものぐるいで働き、自分の店を持つまでになるが、やがて酒におぼれ、破滅してゆく様を描き、当時のフランス社会に大反響をもたらした。
- 『愛の一ページ』"Une page d'amour", 1878年
- 息抜きの一作。エレーヌ・ムーレは医師と恋に落ちるが、娘のジャンヌはそのために嫉妬に駆られて死んでゆく。パリの情景。
- 『ナナ』"Nana", 1879年
- ジェルヴェーズの娘アンナ(ナナ)が舞台女優から高級娼婦になり、周囲のブルジョワ・貴族を次々に破滅させてゆく。
- 『ごった煮』"Pot-Bouille", 1882年
- プラッサンから出てきたオクターヴ・ムーレが、その周囲のブルジョワ婦人と次々に情交を重ねてゆく。当時のブルジョワの風俗を戯画的に描く。
- 『ボヌール・デ・ダム百貨店』"Au Bonheur des Dames", 1883年
- 前作の主人公オクターヴが近代的百貨店ボヌール・デ・ダームの経営者として、周囲の小規模な商店を破滅させながら発展してゆく。ドゥニーズ・ボーデュとの恋。
- 『生きる歓び』"La Joie de Vivre", 1884年
- 息抜きの一作。ポーリーヌ(リザの娘)が、海辺のまちで健やかに育ち、ひっそりと暮らしてゆく。当時フランスでも隆盛を誇ったショーペンハウアー哲学に対するゾラの文学的回答。
- 『ジェルミナール』"Germinal", 1885年
- 炭坑における労働者の悲惨な生活、その生活苦から労働者が立ち上がりストライキを起こすが、そのストライキが敗北に終わるまでを描いた大作。主人公はジェルヴェーズの息子エチエンヌ・ランティエ。
- 『制作』"L'Œuvre", 1886年
- 画家クロード・ランティエは、理想の女を描こうと苦闘するが、やがて敗れて自殺する。妻のクリスティーヌは心を病む。
- 『大地』"La Terre", 1887年
- 軍隊を退役してきた農民ジャン・マッカールはフーアンの姪フランソワーズと結婚するが、フランソワーズは姉リーズともみ合いになり死に、ジャンは軍隊に戻る。フーアン家の財産争い。
- 『夢』"Le Rêve ", 1888年
- 息抜きの一作。シドニーの娘アンジェリックが、貴族の息子フェリシアンと恋に落ちる。当初反対していたフェリシアンの父もやがてアンジェリックの結婚を認めるが、彼女は結婚式の最中に息を引き取る。
- 『獣人』"La Bête Humaine", 1890年
- 休暇中の機関士ジャック・ランティエは、列車内での殺人を目撃する。ジャックはやがて犯人ルーボーの妻セヴリーヌと情を通じるが、彼女を衝動的に殺害する。
- 『金(かね)』"L'Argent", 1891年
- 土地投機に失敗したアリスティドは、「ユニヴァーサル銀行」を開業。バブル経済に乗って当初は破竹の勢いを示すが、やがて破綻する。
- 『壊滅』"La Débâcle", 1892年
- 無学な農民のジャンは軍隊でインテリ青年モーリスと親友になる。普仏戦争の敗北・第二帝政の崩壊、パリ・コミューンの混乱の中で、ジャンはモーリスを殺害してしまう。
- 『パスカル博士』"Le Docteur Pascal", 1893年
- パスカル・ルーゴンは故郷のプラッサンで一族の記録をとどめ、新しい遺伝理論の構築をはかる。彼は姪クロチルドと愛し合うが、心臓病で急死する。記録はパスカルの母フェリシテが焼き払う。
[編集] 《三都市叢書》
- 『ルルド』"Lourdes", 1894年
- 『ローマ』"Rome", 1896年
- 『パリ』"Paris", 1898年
[編集] 《四福音書叢書》
- 『豊饒』"Fécondité", 1899年
- 『労働』"Le Travail", 1901年
- 『真理』"La Vérité", 1903年
- 『正義』"La Justice", 未完
[編集] その他の作品
- 『ニノンへのコント』""Contes à Ninon, 1864年
- 『クロードの告白』"La confession de Claude", 1865年
- 『死せる女の願い』"Le vœu d'une morte", 1866年
- 『マルセイユの秘密』"Les mystères de Marseille", 1867年
- 『テレーズ・ラカン』"Thérèse Raquin", 1867年
- 『マドレーヌ・フェラ』"Madeleine Férat", 1868年
- 『新ニノンへのコント』"Nouveaux contes à Ninon", 1874年
- 『スルディ夫人』"Madame Sourdis", 1880年
- 『ビュルル大尉』"Le Capitaine Burle", 1882年
- 『ナイス・ミクラン』"Naïs Micoulin", 1884年
[編集] 映像化された作品
- 居酒屋 L'Assommoir (1933)
- 女優ナナ Nana
- テレーズ・ラカン Thou Shalt Not Therese Raquin (1928)
- 嘆きのテレーズ Therese Raquin (1952)
- 娼婦ナナ
- ジェルミナルGerminal (1995)
[編集] 参考
- 『ゾラの生涯』(The Life of Emile Zola, 1937) アメリカ映画。「ドレフュス事件」を取り扱った映画。
-
- 第10回米国アカデミー賞最優秀作品賞・助演男優賞(ジョーセフ・シルドクラフ)・脚色賞
- 邦訳は、新潮・岩波文庫に加え、近年、新訳の選集が、藤原書店と論創社で刊行している。
[編集] 外部リンク
- 伝記。 書誌学 (フランス語)


