アルマンド・デュプランティス

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アルマンド・デュプランティス
6.00mに成功したアルマンド・デュプランティス(2019年8月24日、ストックホルム・スタディオン
個人情報
国籍
生誕 (1999-11-10) 1999年11月10日(24歳)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ルイジアナ州ラファイエット
身長181 cm (5 ft 11 in)[1]
体重79 kg (174 lb)[1]
スポーツ
 スウェーデン
競技陸上競技
種目棒高跳
クラブウプサラIF英語版
担当コーチGreg Duplantis
成績・タイトル
自己ベスト室内 6.22m 世界記録クレルモン=フェラン 2023年)
屋外 6.24 m 世界記録廈門 2024年)
獲得メダル
陸上競技
 スウェーデン
オリンピック
2020 東京 棒高跳
世界陸上
2019 ドーハ 棒高跳
2022 オレゴン 棒高跳
2023 ブダペスト 棒高跳
世界室内陸上
2022 ベオグラード 棒高跳
ヨーロッパ選手権大会
2018 ベルリン 棒高跳
ヨーロッパ室内選手権大会
2021 トルン 棒高跳
世界ジュニア選手権大会
2018 タンペレ 棒高跳
2016 ブィドゴシュチュ 棒高跳
ヨーロッパジュニア選手権大会
2017 グロッセート 棒高跳
世界ユース選手権大会
2015 カリ 棒高跳

アルマンド・グスタフ・"モンド"・デュプランティスArmand Gustav "Mondo" Duplantis, 1999年11月10日 - )は、アメリカ合衆国生まれスウェーデン棒高跳選手。現在の棒高跳世界記録保持者(屋外:6.24m、室内:6.22m)。15歳の時、2015年世界ユース陸上競技選手権大会の男子棒高跳で金メダルを獲得。年齢別の世界記録の多くを保持している。2018年のヨーロッパ陸上競技選手権大会で6.05mの記録(20歳以下の世界新記録)により金メダルを獲得し、2019年の世界陸上では銀メダルを獲得した。2021年の東京オリンピックでは金メダルを獲得した。2022年オレゴン世界陸上では屋外世界新記録となる6m21を跳び金メダルを獲得した。

経歴[編集]

アスリートの家系に生まれた。ケイジャンの子孫であり[2]アメリカ人の父、グレッグ・デュプランティス (Greg Duplantis) は、元棒高跳び選手であり5.80 mの記録を持つ。スウェーデン人の母Helena(旧姓Hedlund)は元七種競技選手とバレーボール選手である[3]。2人の兄、AndreasとAntoineと妹のJohannaもスポーツをしており、Andreasは2009年世界ユース選手権大会2012年世界ジュニア選手権大会の棒高跳にスウェーデン代表として出場。Antoineは高校で棒高跳びを辞め野球を始め、ルイジアナ州立大学チームの通算安打記録を更新し、2019年のMLBドラフトニューヨーク・メッツから12巡目で指名されマイナーで外野手としてプレーしている[4][5][6]

映像 - YouTube
アルマンド・デュプランティスの棒高跳びの成長

アルマンドは、ルイジアナ州ラファイエットの自宅で3歳の時に初めて棒高跳びを初め、すぐに大会に参加した。最初に7歳での世界記録を打ち立て、10歳の時に打ち立てた3.86mという記録は当時の11歳と12歳の世界記録を超えていた[7][8]。2015年7月現在、7歳から12歳の全ての歳における世界記録を保持している。2015年5月に破られるまで13歳での記録も保持していた[7][9]

2015年[編集]

2015年、ラファイエット高校英語版の1年の時、室内と屋外の両方で国内のフレッシュマン(1年生)記録を樹立し、Gatorade Louisiana Boys Track & Field Athlete of the Yearに選出された[10]。米国とスウェーデンの両方の多重国籍であり、国際的にどちらの国代表で出場するかどうかを選択することができたが、2015年6月にスウェーデンを選択したことが発表された[11][12]コロンビアカリで開催された2015年世界ユース選手権大会に初めてスウェーデン代表で出場し、1度目の試技で5.30mをクリアランスし、それによるカウントバックで金メダルを獲得した。これにより個人記録を2cm更新し、新たなユース選手権大会の記録を樹立した[13][14]

2016年[編集]

2016年2月6日にルイジアナ州バトンルージュで行われたhigh school meetで5.49mを跳び、16歳での世界記録、世界室内ユース記録、国内高校室内記録を樹立した。室内で18フィートを跳んだ最初の高校生であった[15][16]。デュプランティスの同い年のギリシャのEmmanouil Karalisが、1週間後に5.53mを跳び彼の世界記録を破った[17]

2017年[編集]

2017年2月11日、Millrose Gamesにおいて5.75mを跳び、世界室内ジュニア記録を樹立した[18]。この記録はIAAFにより承認された。1か月後、New Balance National Scholastic Championshipsにおいて同じ施設で5.82mに記録を伸ばした。この記録は使用されたペグの長さが正しいものではないため承認されなかった。2017年4月1日、Nike Clyde Littlefield Texas Relaysで5.90mを跳び、個人記録を更新し、新世界ジュニア記録を樹立した。また、この跳躍は3cmスウェーデンのシニア記録を上回った。IAAFはデュプランティスのスウェーデン代表の記録を認め、2017年12月2日、USATFもデュプランティスの記録をアメリカのジュニア記録として承認した[19]

2018年[編集]

ネバダ州リノで開催されたPole Vault Summitで5.83mを跳び、世界室内ジュニア記録を更新して2018年シーズンをスタートさせた。後にこの室内記録を5.88mまで伸ばし[20]、2018年のヨーロッパ陸上競技選手権大会で6.05mまで伸ばした。6.05mの記録により歴代5位の記録保持者となり、屋外では2位タイの記録を保持した[21]

2019年[編集]

ドーハで行われた2019年世界陸上において、3度目の試技で5.97mを跳び、2位となった[要出典]

2020年[編集]

2月4日、シーズン最初の大会で室内の6.00mを跳んだ。その後6.17mの世界新記録を3度試技した。2度目にバーをクリアしたが、落ちるときに腕でバーを払い落としてしまった[22]

2月8日、ポーランドのトルンで6.17mを跳び、ルノー・ラビレニが約6年前に樹立した世界記録を破った[23]。1週間後の2月15日にグラスゴーで、この記録を1cm伸ばし6.18mとした[24]

2月19日、6.07mを跳びMeeting Hauts de France Pas de Calaisを優勝したが、その後6.19mの世界新記録への挑戦には3度失敗した。数日後の2月23日にクレルモン=フェランで行われたAll Star Percheで6.01mを跳び優勝したが、そのシーズン最後の大会において、6.19mの新記録への挑戦は失敗に終わった。7月14日、Swedish Crown Princess Victoriaからスカラーシップを授与された[25]

9月17日、Rome Golden Gala Pietro Mennea ダイヤモンドリーグにおいて、2度目の試技で6.15mを跳び、セルゲイ・ブブカの6.14mの屋外世界記録を更新した。なお、WAは屋内と屋外の棒高跳びを別々の競技としては認めてはおらず、デュプランティスはすでに2020年2月に6.18mの世界記録を保持している。

2021年[編集]

東京オリンピックでは6.02mで金メダルを獲得した。

2022年[編集]

世界室内陸上競技選手権大会のリハーサル大会で6.19mの世界新記録、本大会で6.20mの世界新記録を次々に更新した[26]。 6月30日に開催されたダイヤモンドリーグストックホルムにて、屋外世界記録を記録を1cm更新する6.16mを記録し優勝した。7月24日に開催された世界陸上オレゴン大会では、屋外世界記録を5cm更新する6.21mを記録し優勝した。

2023年[編集]

2月25日、クレルモン=フェランで開催された室内の大会で、6.22mの屋内世界記録を樹立した。

9月17日、プレフォンテーンクラシックダイヤモンドリーグファイナルにて、屋外世界記録を2cm更新する6.23mを記録し優勝した。

2024年[編集]

ダイヤモンドリーグ(DL)2024年の第1戦となる廈門大会男子棒高跳において、自身が持つ従来の記録を1cm更新する6m24の世界新記録を打ち立てた[27]

大会記録[編集]

大会 会場 結果 補足
2015 世界U18選手権大会 コロンビアカリ 1位 5.30 m CR(選手権記録)
2016 世界U20選手権大会 ポーランド、ブィドゴシュチュ 3位 5.45 m
2017 ヨーロッパU20選手権大会 イタリア、グロッセート 1位 5.65 m CR
世界陸上 イギリス、ロンドン 9位 5.50 m
2018 世界室内陸上競技選手権大会 イギリス、バーミンガム 8th 5.70 m
世界U20選手権大会 フィンランド、タンペレ 1位 5.82 m CR
ヨーロッパ陸上競技選手権大会 ドイツ、ベルリン 6.05 m WU20R
2019 サウスイースタン・カンファレンス トラックアンドフィールド アーカンソー州フェイエットビル 6.00 m NCAA record[28]
世界陸上 カタール、ドーハ 2位 5.97 m
2020 World Athletics Indoor Tour ポーランド、トルン 1位 6.17 m WR
World Athletics Indoor Tour スコットランド、グラスゴー 6.18 m WR
ダイヤモンドリーグ イタリア、ローマ 6.15 m WB
2021 ヨーロッパ室内陸上競技選手権大会 ポーランド、トルン 6.05 m CR
東京オリンピック 日本、東京 6.02 m
2022 世界室内リハーサル大会 セルビアベオグラード 6.19 m WR
世界室内陸上競技選手権大会 セルビア、ベオグラード 6.20 m WR
DNガラン ストックホルム、スウェーデン 1位 6.16 m WB
オレゴン22 ユージーン、オレゴン州 1位 6.21 m WR

ギャラリー[編集]

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b European Athletics”. 2018年8月12日閲覧。
  2. ^ gntstarduplantisar. “Ancestry of Armand "Mondo" Duplantis - Up to the 16th generation”. Geneanet. 2020年11月22日閲覧。
  3. ^ Raymond A. Partsch III (2015年3月4日). “Pole vaulter Armand Duplantis clearing new heights”. The Advocate. http://theadvocate.com/sports/acadianapreps/11646428-123/pole-vaulter-armand-duplantis-clearing 2015年7月20日閲覧。 
  4. ^ Andreas Duplantis - Tilastopaja (要登録)
  5. ^ Randy Rosetta (2015年7月13日). “LSU freshman Antoine Duplantis meshes strong mental approach with athleticism as he steps into a chance to compete”. NOLA.com. http://www.nola.com/lsu/index.ssf/2015/07/lsu_freshman_antoine_duplantis.html 2015年7月20日閲覧。 
  6. ^ Antoine Duplantis Stats, Fantasy & News | MiLB.com
  7. ^ a b Johanna Gretschel (2015年1月14日). “National freshman PV record holder Armand Duplantis wants the world”. MileSplit. 2015年7月20日閲覧。
  8. ^ Dave Krider (2010年8月11日). “Louisiana's 10-year-old pole vault prodigy”. MaxPreps. 2015年7月20日閲覧。
  9. ^ Øystein Jarlsbo (2015年5月18日). “Pål (13) feiret 17. mai som verdensrekordholder i stav” (ノルウェー語). vg.no. 2015年7月20日閲覧。
  10. ^ Lafayette High pole vaulter Armand Duplantis named Gatorade Louisiana Track & Field Athlete of the Year”. The Advocate (2015年7月10日). 2015年7月20日閲覧。
  11. ^ Stavhoppartalang valde Sverige och Avesta” (スウェーデン語). Dala-Demokraten (2015年6月3日). 2015年7月20日閲覧。
  12. ^ Ludvig Holmberg (2015年6月2日). “Supertalangen byter landslag till Sverige” (スウェーデン語). Expressen. http://www.expressen.se/sport/friidrott/supertalangen-byter-landslag-till-sverige/ 2015年7月20日閲覧。 
  13. ^ Pontus Roos (2015年7月20日). “Sveriges nya supertalang fixade guld direkt” (スウェーデン語). ダーゲンス・ニュヘテル. http://www.dn.se/sport/sveriges-nya-supertalang-fixade-guld-direkt/ 2015年7月20日閲覧。 
  14. ^ Cathal Dennehy (2015年7月19日). “Boys' pole vault – IAAF World Youth Championships, Cali 2015”. IAAF. 2015年7月20日閲覧。
  15. ^ Johanna Gretschel (2016年2月6日). “Mondo Duplantis Breaks Pole Vault National High School Record!”. MileSplit. 2016年6月26日閲覧。
  16. ^ Ludvig Holmberg (2016年2月7日). “Svenska stortalangen slog världsrekordet” (スウェーデン語). Expressen. http://www.expressen.se/sport/friidrott/svenska-stortalangen-slog-varldsrekordet/ 2016年6月26日閲覧。 
  17. ^ Steven Mills (2016年2月14日). “Kazmirek gets world-leading heptathlon total in Tallinn – indoor round-up”. IAAF. 2016年6月26日閲覧。
  18. ^ IAAF: Wilson, Hassan and Okolo shine on night of world leads and records at Millrose Games- News - iaaf.org”. iaaf.org. 2018年8月12日閲覧。
  19. ^ http://www.legacy.usatf.org/usatf/files/48/48a09327-8d22-4be0-adc5-dd8bc3667e9c.pdf
  20. ^ IAAF: Record Books rewritten in Clermont - Ferrand and College Station - iaaf.org”. iaaf.org. 2018年8月12日閲覧。
  21. ^ Experten: Så högt var Duplantis guldhopp”. Aftonbladet. 2020年2月8日閲覧。
  22. ^ Armand Duplantis comes close to world record in Düsseldorf” (2020年2月4日). 2020年2月14日閲覧。
  23. ^ Armand Duplantis sets pole vault world record in Poland”. BBC News. 2020年2月8日閲覧。
  24. ^ “Armand Duplantis: Pole vaulter sets new world record at Glasgow Indoor Grand Prix” (英語). BBC Sport. (2020年2月15日). https://www.bbc.co.uk/sport/athletics/51514981 2020年2月15日閲覧。 
  25. ^ tellerreport (2020年6月10日). “Duplantis Victoria Scholarship” (英語). Sportbladet. https://www.tellerreport.com/sports/2020-06-09-duplantis-receives-the-victoria-scholarship.rkmo5t6nhL.html 2020年6月10日閲覧。 
  26. ^ デュプランティスが男子棒高跳び6m20の世界新 世界室内陸上”. フランス通信社 (2021年3月21日). 2021年3月23日閲覧。
  27. ^ デュプランティス6m24で男子棒高跳世界新! 今季屋外初戦でいきなり更新/DL廈門”. 月刊陸上競技. 2024年4月21日閲覧。
  28. ^ Duplantis vaults collegiate record of 6.00m in Fayetteville” (英語). www.worldathletics.org (2019年5月12日). 2020年2月16日閲覧。
  29. ^ Mondo Duplantis - 2019 - Track & Field”. LSU Tigers. 2020年2月8日閲覧。

外部リンク[編集]

記録
先代
ルノー・ラビレニ
男子棒高跳び世界記録保持者
2020年2月8日 -
次代
受賞
先代
ノア・ライルズ
Track & Field News High School Boys Athlete of the Year
2017年, 2018年
次代
Matthew Boling