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一方、量子色力学におけるCP対称性の破れは[[中性子]]の[[電気双極子]]などを通して観測できるが、量子色力学では極めて高い精度でCP対称性が成立していることが分かってきた。
一方、量子色力学におけるCP対称性の破れは[[中性子]]の[[電気双極子]]などを通して観測できるが、量子色力学では極めて高い精度でCP対称性が成立していることが分かってきた。
この両者の違いは[[標準模型]]の破綻を必ずしも意味しないが、何らかの説明を必要とする不自然なものであると考えられた。
この両者の違いは[[標準模型]]の破綻を必ずしも意味しないが、何らかの説明を必要とする不自然なものであると考えられた。
この問題は'''[[:en:Strong CP problem|強いCP問題]]'''({{en|strong CP problem}}と呼ばれている。
この問題は'''{{仮リンク|強いCP問題|en|Strong CP problem}}'''と呼ばれている。


'''アクシオン'''は強いCP問題の解決策の一つとして提唱された未発見の粒子である。
'''アクシオン'''は強いCP問題の解決策の一つとして提唱された未発見の粒子である。
アクシオンは[[:en:Peccei–Quinn theory|Peccei-Quinn対称性]]の[[自発的対称性の破れ]]に伴って出現する(擬)[[南部・ゴールドストーン粒子]]である。
アクシオンは{{仮リンク|ペッチェイ・クイン対称性|en|Peccei–Quinn theory}}の[[自発的対称性の破れ]]に伴って出現する(擬)[[南部・ゴールドストーン粒子]]である。
Peccei-Quinn対称性は量子色力学に対して[[量子異常|アノマリー]]を持ち、この性質によりアクシオンは量子色力学の位相を動的に吸収することが可能となっている。
ペッチェイ・クイン対称性は量子色力学に対して[[量子異常|アノマリー]]を持ち、この性質によりアクシオンは量子色力学の位相を動的に吸収することが可能となっている。
様々な実験や観測を考慮した結果、アクシオンの質量は[[電子]]の約1億分の1以下という非常に微小なものだと考えられている。
様々な実験や観測を考慮した結果、アクシオンの質量は[[電子]]の約1億分の1以下という非常に微小なものだと考えられている。



2018年3月10日 (土) 12:52時点における版

アクシオン
組成 素粒子
相互作用 電磁相互作用
重力相互作用
発見 未発見
電荷 0
スピン 0
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アクシオン英語: axion)、あるいはアキシオンとは、素粒子物理学において、 標準模型の未解決問題のひとつである強いCP問題を解決するとしてその存在が期待されている仮説上の未発見の素粒子である。 暗黒物質の候補の一つでもある。

概要

標準模型にはCP対称性を破る位相パラメーターが2つ存在する。 一つはCKM行列の位相であり、もうひとつは量子色力学の位相である。 CKM行列の位相はベル実験を始めとするB中間子崩壊の精密測定によって測られており、CKM行列はCP対称性を大きく破っていることが知られている。 一方、量子色力学におけるCP対称性の破れは中性子電気双極子などを通して観測できるが、量子色力学では極めて高い精度でCP対称性が成立していることが分かってきた。 この両者の違いは標準模型の破綻を必ずしも意味しないが、何らかの説明を必要とする不自然なものであると考えられた。 この問題は強いCP問題と呼ばれている。

アクシオンは強いCP問題の解決策の一つとして提唱された未発見の粒子である。 アクシオンはペッチェイ・クイン対称性英語版自発的対称性の破れに伴って出現する(擬)南部・ゴールドストーン粒子である。 ペッチェイ・クイン対称性は量子色力学に対してアノマリーを持ち、この性質によりアクシオンは量子色力学の位相を動的に吸収することが可能となっている。 様々な実験や観測を考慮した結果、アクシオンの質量は電子の約1億分の1以下という非常に微小なものだと考えられている。

アクシオンは強い磁場の中でに変わると予測されており、この性質を利用して検出が世界各国で試みられている。たとえば東京大学のグループは、太陽から飛来するアクシオンを強磁場を印加してX線に変換し検出する試みを行っている。暗黒物質の候補にもあげられているため、京都グループはリドベルグ原子を用いて検出する独自のアイディアにより探索を続けている。アメリカのグループは、超伝導磁石を用いた強磁場の元で暗黒物質のアクシオンが電磁波に変換して検出を試みる最先端にいる。最近では素粒子実験物理学のメッカであるヨーロッパのCERNにおいても、太陽から飛来するアクシオンを大変高い感度で検出を試みる実験が進められている。

外部リンク