「重用区間」の版間の差分

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道路法で扱われる[[一般国道]]や[[都道府県道]]は、法律的には道路そのものを指すのではなく、単なる道路の路線(ルート)を指しているため、1本の道路の一部分が、ほかの国道や都道府県道の経路も兼ねている場合、複数の路線番号があっても問題ないものとして扱われる{{sfn|ロム・インターナショナル(編)|2005|p=46}}。例えば、道路の「総延長」は重用区間・未供用区間を含んだ延長を指し、「実延長」という場合は重用区間・未供用区間を含まない延長を言う。
道路法で扱われる[[一般国道]]や[[都道府県道]]は、法律的には道路そのものを指すのではなく、単なる道路の路線(ルート)を指しているため、1本の道路の一部分が、ほかの国道や都道府県道の経路も兼ねている場合、複数の路線番号があっても問題ないものとして扱われる{{sfn|ロム・インターナショナル(編)|2005|p=46}}。例えば、道路の「総延長」は重用区間・未供用区間を含んだ延長を指し、「実延長」という場合は重用区間・未供用区間を含まない延長を言う。


一般に道路標識や地図などの案内では、1本の道路に[[国道]]の路線どうしが重複するときは番号が小さいほうの番号、あるいは、国道と[[県道]]の路線が重複するときは国道のほうが優先的に表示され、国道の大きい路線番号や県道の方は省略される{{sfn|ロム・インターナショナル(編)|2005|p=46}}。場所によっては両方の標識が串団子のように表示される。一部では「3段おにぎり<ref group="注釈">[[国道#国道の標識|国道の標識]]を、その形状から「おにぎり」と呼ぶことがある。</ref>」となった標識もある。
一般に道路標識や地図などの案内では、1本の道路に[[国道]]の路線どうしが重複するときは番号が小さいほうの番号、あるいは、国道と[[県道]]の路線が重複するときは国道のほうが優先的に表示され、国道の大きい路線番号や県道の方は省略される{{sfn|ロム・インターナショナル(編)|2005|p=46}}。場所によっては両方の標識が串団子のように表示される。一部では「3段おにぎり<ref group="注釈">[[国道#国道の標識|国道の標識]]を、その形状から「おにぎり」と呼ぶことがある。</ref>」となった標識もある{{sfn|浅井建爾|2015|p=104}}

== 一般国道の重用区間 ==
日本の国土に張り巡らされている一般国道網は、山岳地域や市街地など、その地域の地勢によっては複数の一般国道の路線どうしが同じ経路を通らざるをえない場合があり、そのような場所を路線別に複数の並行するルートを作る必要はなく、また経済的にも合理的ではないため、同じ道路を複数の国道で共有している{{sfn|浅井建爾|2015|p=102}}。一般国道459路線ごとの延長を合計した総延長は7万7257[[キロメートル]] (km) あり、実延長の合計6万7427&nbsp;kmを差し引いた9830&nbsp;kmが重用区間の延長、すなわち重用延長である。国道では、わずかな区間を他の国道路線と経路を共有していることがほとんどであるが、なかには延長の半分以上を他の国道と重複している路線がある{{efn|国道愛好家の間では、「寄生虫国道」と呼ばれたりしている{{sfn|浅井建爾|2015|p=102}}。}}。

重用する路線の数は、必ずしも2本の路線とは限らず、3本や4本が重用している区間もある。その場所の自治体によっては路線番号ごとの国道標識を設置している場合もあるが、一般には路線番号が最も小さい路線の国道標識だけを設置しているところがほとんどである{{sfn|浅井建爾|2015|p=101}}。
* 4本の国道が重用している場所の例
** 新潟県[[魚沼市]]([[国道17号]]・[[国道252号]]・[[国道291号]]・[[国道352号]]){{sfn|浅井建爾|2015|p=102}}
** 奈良県[[橿原市]]([[国道24号]]・[[国道165号]]・[[国道166号]]・[[国道169号]]){{sfn|浅井建爾|2015|p=103}}
* 3本の国道が重用している場所の例
** 秋田県[[由利本荘市]]([[国道105号]]・[[国道107号]]・[[国道108号]]){{sfn|浅井建爾|2015|p=104}}
** 福島県[[南会津町]]([[国道121号]]・国道352号・[[国道400号]]){{sfn|浅井建爾|2015|p=104}}
** 栃木県[[鹿沼市]](国道121号・[[国道293号]]・国道352号){{sfn|浅井建爾|2015|p=104}}
** 愛知県[[新城市]]([[国道257号]]・[[国道420号]]・[[国道473号]]){{sfn|浅井建爾|2015|p=104}}
** 岐阜県[[高山市]]([[国道42号]]・[[国道158号]]・[[国道472号]]){{sfn|浅井建爾|2015|p=104}}
** 滋賀県[[長浜市]]([[国道8号]]・[[国道303号]]・[[国道365号]]){{sfn|浅井建爾|2015|p=104}}


== 脚注 ==
== 脚注 ==
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== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
* {{Cite book |和書 |author=浅井建爾 |edition= 初版|date=2015-10-10 |title=日本の道路がわかる辞典 |publisher=日本実業出版社 |isbn=978-4-534-05318-3 |ref=harv}}
* {{Cite book |和書 |author=ロム・インターナショナル(編) |date=2005-02-01 |title=道路地図 びっくり!博学知識 |publisher=[[河出書房新社]] |series=KAWADE夢文庫|isbn=4-309-49566-4|ref=harv}}
* {{Cite book |和書 |author=ロム・インターナショナル(編) |date=2005-02-01 |title=道路地図 びっくり!博学知識 |publisher=[[河出書房新社]] |series=KAWADE夢文庫|isbn=4-309-49566-4|ref=harv}}



2017年12月28日 (木) 21:41時点における版

重用区間(じゅうようくかん)とは、道路が他路線と複して供されている区間のこと。道路法関連の公式文書では重複区間の用語も用いられる。

重複区間の道路標識の例(北海道稚内市国道40号国道232号

道路法で扱われる一般国道都道府県道は、法律的には道路そのものを指すのではなく、単なる道路の路線(ルート)を指しているため、1本の道路の一部分が、ほかの国道や都道府県道の経路も兼ねている場合、複数の路線番号があっても問題ないものとして扱われる[1]。例えば、道路の「総延長」は重用区間・未供用区間を含んだ延長を指し、「実延長」という場合は重用区間・未供用区間を含まない延長を言う。

一般に道路標識や地図などの案内では、1本の道路に国道の路線どうしが重複するときは番号が小さいほうの番号、あるいは、国道と県道の路線が重複するときは国道のほうが優先的に表示され、国道の大きい路線番号や県道の方は省略される[1]。場所によっては両方の標識が串団子のように表示される。一部では「3段おにぎり[注釈 1]」となった標識もある[2]

一般国道の重用区間

日本の国土に張り巡らされている一般国道網は、山岳地域や市街地など、その地域の地勢によっては複数の一般国道の路線どうしが同じ経路を通らざるをえない場合があり、そのような場所を路線別に複数の並行するルートを作る必要はなく、また経済的にも合理的ではないため、同じ道路を複数の国道で共有している[3]。一般国道459路線ごとの延長を合計した総延長は7万7257キロメートル (km) あり、実延長の合計6万7427 kmを差し引いた9830 kmが重用区間の延長、すなわち重用延長である。国道では、わずかな区間を他の国道路線と経路を共有していることがほとんどであるが、なかには延長の半分以上を他の国道と重複している路線がある[注釈 2]

重用する路線の数は、必ずしも2本の路線とは限らず、3本や4本が重用している区間もある。その場所の自治体によっては路線番号ごとの国道標識を設置している場合もあるが、一般には路線番号が最も小さい路線の国道標識だけを設置しているところがほとんどである[4]

脚注

注釈

  1. ^ 国道の標識を、その形状から「おにぎり」と呼ぶことがある。
  2. ^ 国道愛好家の間では、「寄生虫国道」と呼ばれたりしている[3]

出典

参考文献

  • 浅井建爾『日本の道路がわかる辞典』(初版)日本実業出版社、2015年10月10日。ISBN 978-4-534-05318-3 
  • ロム・インターナショナル(編)『道路地図 びっくり!博学知識』河出書房新社〈KAWADE夢文庫〉、2005年2月1日。ISBN 4-309-49566-4 

関連項目

外部リンク

使用例