「オートクチュール」の版間の差分
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シャンブル・サンディカは、[[コレクション]]後に大量に溢れるコピー品にも対応し、[[新聞]]や[[雑誌]]へ公開まで期限の条件をつけたり、取材する[[メディア (媒体)|メディア]]が全ての店を取材できるようにコレクションのスケジュール化を行い、海外メディアへのアピールにも大いに貢献している。 |
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加盟には様々な規定があり、それらをクリアしなければならない。例えば、1年に2度のコレクションを開催、コレクションでの発表数、[[アトリエ]]の常駐スタッフの数、専属[[マネキン]]の人数など厳格を極めた。しかし、70年代の高級既製服=[[プレタポルテ]]の台頭により、影響力や社会的役割を変えていかざるを得なかった。規定も毎年のように緩やかになり、顧客の減少という課題を背負いメゾンを維持させていくことが大きな課題になった。加盟店は'''[[メゾン]]'''(''maison'') と呼ばれ、生地の選定から縫製まで一貫して行う為の[[アトリエ]]を持っている。[[コルセット]]など特別の部分を除いてはフル・ハンドメイド、つまり、お針子が一刺し一刺し手縫いをして完成させる。[[刺繍]]も[[レース (手芸)|レース]]も皆手編みである。時には[[プリント]]柄さえもデザイナーが描き、[[布]]に転写し生地にすることもある。完成までには2、3度の仮縫いをして、最後に本縫いということになる。[[刺繍]]、[[羽]]飾り等は専門のアトリエに外注されることが多い。刺繍の「ル |
加盟には様々な規定があり、それらをクリアしなければならない。例えば、1年に2度のコレクションを開催、コレクションでの発表数、[[アトリエ]]の常駐スタッフの数、専属[[マネキン]]の人数など厳格を極めた。しかし、70年代の高級既製服=[[プレタポルテ]]の台頭により、影響力や社会的役割を変えていかざるを得なかった。規定も毎年のように緩やかになり、顧客の減少という課題を背負いメゾンを維持させていくことが大きな課題になった。加盟店は'''[[メゾン]]'''(''maison'') と呼ばれ、生地の選定から縫製まで一貫して行う為の[[アトリエ]]を持っている。[[コルセット]]など特別の部分を除いてはフル・ハンドメイド、つまり、お針子が一刺し一刺し手縫いをして完成させる。[[刺繍]]も[[レース (手芸)|レース]]も皆手編みである。時には[[プリント]]柄さえもデザイナーが描き、[[布]]に転写し生地にすることもある。完成までには2、3度の仮縫いをして、最後に本縫いということになる。[[刺繍]]、[[羽]]飾り等は専門のアトリエに外注されることが多い。刺繍の「ルサージュ」などが有名。 |
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現在は[[シャネル]]などの一部の[[メゾン]]を除いては殆どが赤字経営。それでもなおオートクチュール部門を会社が閉鎖しないのは、オートクチュールコレクションを行っていることで[[ブランド]]として「格」が上がり、[[プレタポルテ]]や[[香水]]、[[ライセンス]]事業の売り上げに多大な影響があるからである。 |
現在は[[シャネル]]などの一部の[[メゾン]]を除いては殆どが赤字経営。それでもなおオートクチュール部門を会社が閉鎖しないのは、オートクチュールコレクションを行っていることで[[ブランド]]として「格」が上がり、[[プレタポルテ]]や[[香水]]、[[ライセンス]]事業の売り上げに多大な影響があるからである。 |
2009年3月16日 (月) 05:10時点における版
オートクチュール(フランス語:haute couture)とは、フランス語で高級仕立て服のことで、一般に注文により造られるオーダーメイド一点物の高級服を指す。高級洋裁(店)とも訳される。haute(オート)は「高い」「高級」を意味する形容詞 haut(オー)の女性形、couture(クチュール。女性名詞)は「縫製」「仕立て服」および、その業者を意味する。
ファッションビジネスの世界では、パリのオートクチュール・コレクションへの参加規定を満たしているパリの高級衣装店組合(シャンブル・サンディカ) 加盟店で作る洋服のことを指す。
概要
20世紀初頭までパリには多くの高級仕立て店が乱立しており、「オートクチュール」の規格も曖昧であった。イギリスからやってきたデザイナーのシャルル・フレデリック・ウォルトがこれらの高級仕立て店をシャンブル・サンディカ(パリ・オートクチュール協会)として組織化した。
シャンブル・サンディカの設立により、それまで顧客の一方的な注文や、ある程度の規格の中から顧客が好みのデザインを指定して作ったり、デザイナーが客の希望を聞きながらデザインする服作りが、デザイナーがデザインしたものを顧客の体に合わせて仕立てて売るという『デザイナー主導』になり、顧客にとって「デザインを買う」=「芸術作品を買う」ということになった。単なるオーダーとの違いや芸術性から、デザイナーの社会的、芸術的地位が大いに高まった。一部の仕立て店はスカート丈や袖丈にいたるまで少しのデザイン変更も許さないと言われている。
シャンブル・サンディカは、コレクション後に大量に溢れるコピー品にも対応し、新聞や雑誌へ公開まで期限の条件をつけたり、取材するメディアが全ての店を取材できるようにコレクションのスケジュール化を行い、海外メディアへのアピールにも大いに貢献している。
加盟には様々な規定があり、それらをクリアしなければならない。例えば、1年に2度のコレクションを開催、コレクションでの発表数、アトリエの常駐スタッフの数、専属マネキンの人数など厳格を極めた。しかし、70年代の高級既製服=プレタポルテの台頭により、影響力や社会的役割を変えていかざるを得なかった。規定も毎年のように緩やかになり、顧客の減少という課題を背負いメゾンを維持させていくことが大きな課題になった。加盟店はメゾン(maison) と呼ばれ、生地の選定から縫製まで一貫して行う為のアトリエを持っている。コルセットなど特別の部分を除いてはフル・ハンドメイド、つまり、お針子が一刺し一刺し手縫いをして完成させる。刺繍もレースも皆手編みである。時にはプリント柄さえもデザイナーが描き、布に転写し生地にすることもある。完成までには2、3度の仮縫いをして、最後に本縫いということになる。刺繍、羽飾り等は専門のアトリエに外注されることが多い。刺繍の「ルサージュ」などが有名。
現在はシャネルなどの一部のメゾンを除いては殆どが赤字経営。それでもなおオートクチュール部門を会社が閉鎖しないのは、オートクチュールコレクションを行っていることでブランドとして「格」が上がり、プレタポルテや香水、ライセンス事業の売り上げに多大な影響があるからである。
値段が非常に高く(シャネルは約200万円~) 、顧客は一握りの大富豪に限られている。顧客は1950年代以降、減少し続けている為、現在ではメゾンのほとんどがプレタポルテ(既製服)も手がけている。現在の各メゾンの顧客の合計総数は明らかにされていないが、一説には毎シーズンごとに注文をする顧客は世界中で500人くらいと言われている。「モードの夢」としては未だにヨーロッパの王侯貴族やアラブの王族、国際的に活躍する女優、世界各国のファースト・レディ達には欠かせないものである。ジャクリーン・オナシス(元ケネディ大統領夫人) はヴァレンティノ・ガラヴァーニ、オードリー・ヘプバーンはジバンシー、カトリーヌ・ドヌーブはイブ・サン・ローラン、マドンナとクリスチャン・ラクロア、ジャン・ポール・ゴルティエ、アヌーク・エーメはウンガロ、ジャンヌ・モローはピエール・カルダン等。日本人で代表的だったのは、イヴ・サン・ローラン、ニナリッチを愛用した歌手の越路吹雪。シャネル、クリスチャン・ディオールといった一流メゾンのオートクチュールのアトリエに自分の名前の記されたリアルサイズのトルソー(マネキン) を置くというのは大変な誇りでもある。
1950年代まではパリコレと言えば、オートクチュール・コレクションのことであったが、パリでは1960年代からスタートしたプレタポルテ・コレクションがその後隆盛を極め、現在ではパリコレと言えば、プレタポルテ・コレクションを指す場合が多い。毎年1月と7月に開催されるパリ・オートクチュール・コレクションには、サンディカ正式加盟店とフランス国外招待メンバー、招待されたブランドだけが参加できる。
最近はプレタポルテコレクションよりも、オートクチュールコレクションの方がブランドの数が少ない為に、あえてオートクチュール・コレクション会期中にプレタポルテを発表してメディアへアピールするブランドもある。
2006年現在サンディカ正式加盟店
- アンドリーヌ・アンドレ(2005年新規加入)
- シャネル
- クリスチャン・ディオール
- ゴルチエ・パリ
- ジバンシィ
- クリスチャン・ラクロワ
- ジャン=ルイ・シェレル
- ドミニク・シロー
- フランク・ソルビエ(2005年新規加入)
- エマニュエル・ウンガロ
- カルバン
サンディカ招待・フランス国外メンバー
- ジョルジオ・アルマーニ・プリヴェ(サンディカによる海外招待メンバー)
- ヴァレンティノ・ガラヴァーニ(サンディカによる海外招待メンバー)
最近パリ・オートクチュール・コレクションにゲスト参加したブランド
- アン・ヴァレリー・アッシュ
- エリー・サーブ
- マルタン・マルジェラ
- エイメリック・フランソワ
- フェリープ・オリベイラ・バティスタ
- オノラトゥヴュ
- ティエリー・ミュグレー(サンディカによる海外招待メンバー)
- ミラ・ショーン(サンディカによる海外招待メンバー)
- アトリエ・ヴェルサーチ(現在は顧客に向けたサロン・ショーのみ。元々はサンディカによる海外招待メンバー)
- マウリツィオ・ガランテ
- オシマール・ベルソラート
- ティミスター
過去のパリ・オートクチュール・コレクション参加(シャンブル・サンディカ加盟) ブランド
- トラント(1968~)
- ロリス・アザロ
- バレンシアガ(~1968)
- ピエール・カルダン(1948~) - 現在は顧客に向けたサロン・ショーのみ。マスコミなどには非公開
- ハナエモリ - (1977~2004)2004年に森英恵はパリのメゾンを閉鎖し、サンディカを脱退。オートクチュールから引退した。しかし、日本の皇室や上流階級の婦人達からは絶大な人気がある為、それらに応える為にごく限られたセレブリティに対して制作している様子が窺える。
- ランバン(1890~)
- ギ・ラロッシュ(1956~)
- ジャン・パトゥ(1919~)
- パコ・ラバンヌ
- ニナ・リッチ(1932~)
- ロシャス
- エルザ・スキャパレッリ
- ヴィクター&ロルフ
- イヴ・サンローラン(1962~2002)
- ピエール・バルマン(1945~)
- グレ
- ルコアネ・エマン
- フィリップ・ブネ
- テット・ラピドス(1956~)
- ペル・スプーク
- クレージュ(1961~)