コンテンツにスキップ

フォーエヴァー・チェンジズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『フォーエヴァー・チェンジズ』
ラヴスタジオ・アルバム
リリース
録音 1967年6月9日 - 9月25日 カリフォルニア州ハリウッド サンセット・サウンド・レコーダーズ[1]
ジャンル ロックフォークロックサイケデリック・ロック
時間
レーベル エレクトラ・レコード
プロデュース アーサー・リー、ブルース・ボトニック
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 63位(イギリス・2001年[3]
  • 154位(アメリカ[4]
  • ラヴ アルバム 年表
    ダ・カーポ
    (1966年)
    フォーエヴァー・チェンジズ
    (1967年)
    Four Sail
    (1969年)
    テンプレートを表示

    フォーエヴァー・チェンジズ』(Forever Changes)は、アメリカ合衆国バンドラヴ1967年に発表した3作目のスタジオ・アルバム。リリース当時は大きな成功に至らなかったが、多くの批評家によって高く評価されてきた作品である[5]

    背景

    [編集]

    ブルース・ボトニックによれば、当初はニール・ヤングを共同プロデューサーに迎える案もあったが、当時ヤングはバッファロー・スプリングフィールドとしての活動に拘束されており、体調も思わしくなかったため、最終的にはボトニックとバンドの中心人物アーサー・リーの共同プロデュース体制となった[6]。また、ジョン・エコールズによれば、一つの物語を綴ったナレーションと楽曲を組み合わせ、2枚組LPのコンセプト・アルバムとして発売するアイディアもあったが、物語は完成せず、最終的に収録された楽曲に関しても、その物語に基づいた曲が全部完成するには至らなかったという[7]

    ブルース・ボトニックと「エレクトラ」創設者のジャック・ホルツマン英語版は、本作にはストリングスが必要と判断してデヴィッド・エンジェルをアレンジャーとして招いたが、ホルツマンによれば、アーサー・リーはこのアイディアに反対していたという[8]。また、「アンドモアアゲイン」と「ザ・デイリー・プラネット」では、ビリー・ストレンジ(ギター)、ドン・ランディ(ピアノ)、ハル・ブレイン(ドラムス)といったスタジオ・ミュージシャンが起用され、ベースはキャロル・ケイが弾いたといわれている[1]

    反響

    [編集]

    リリース当時はセールス的に大きな成功を収められず、Billboard 200では154位に終わり、ラヴのアルバムとしては初めて全米トップ100入りを逃す結果となった[4]。また、シングル「アローン・アゲイン・オア」は、Billboard Hot 100入りを果たしたものの最高99位に終わった[9]

    評価

    [編集]

    マーク・デミングオールミュージックにおいて満点の5点を付け「ラヴの『フォーエヴァー・チェンジズ』は、1967年の初リリース時にはチャートにおいて大した注意を引くことができなかったが、何年も後になって、サマー・オブ・ラブから生まれたアルバムの中でも特に優れ、特に忘れられない作品の一つとして認識されるようになった」「ラヴの初期2作において支配的だった鋭利なエレクトリック・ギターは、ここでも時折、"A House Is Not a Motel"や"Live and Let Live"といった曲で登場しているが、『フォーエヴァー・チェンジズ』の大部分は、折り重なったアコースティック・ギターと、メロディを補強・強調するストリングスやホーンによる繊細なオーケストレーションを中心に構築されている」と評している[10]。Richard Cromelinは2001年3月9日付の『ロサンゼルス・タイムズ』紙において「時に時代遅れな骨董品と感じられることもあるとはいえ、『フォーエヴァー・チェンジズ』は、その型破りな構成と魅惑的な質感により、今なお挑戦的かつ爽快なアルバムであり続けている」と評している[11]。また、ロバート・プラントは、最も好きなアルバムの一つとして本作を挙げている[12]

    ローリング・ストーン』誌が選出した「オールタイム・グレイテスト・アルバム500」では40位にランク・イン[13]。2008年にはグラミーの殿堂入りを果たした[14]。また、ピッチフォーク・メディアのスタッフが2017年に選出した「1960年代のベスト・アルバム200」では33位となった[15]

    リイシュー

    [編集]

    ライノ・エンタテインメントから発売された2枚組CDのコンピレーション・アルバム『Love Story 1966-1972』には、本作からの全11曲が完全収録された[11]

    2001年発売のリマスターCDには7曲のボーナス・トラックが追加され[16]、そのうち「ユア・マインド・アンド・ウィ・ビロング・トゥギャザー」と「ラフィング・ストック」は、本作リリース後の1968年1月30日に録音されたシングル曲である[1]。イギリスでは、2001年再発盤が全英アルバムチャートで最高63位を記録し、オリジナル・リリース時には叶わなかった全英チャート入りを果たした[3]

    収録曲

    [編集]

    特記なき楽曲はアーサー・リー作。

    1. アローン・アゲイン・オア - "Alone Again Or" (Bryan MacLean) - 3:17
    2. ア・ハウス・イズ・ノット・ア・モーテル - "A House Is Not a Motel" - 3:31
    3. アンドモアアゲイン - "Andmoreagain" - 3:18
    4. ザ・デイリー・プラネット - "The Daily Planet" - 3:30
    5. オールド・マン - "Old Man" (B. MacLean) - 3:02
    6. ザ・レッド・テレフォン - "The Red Telephone" - 4:46
    7. クラーク・アンド・ヒルデール - "Maybe the People Would Be the Times or Between Clark and Hilldale" - 3:34
    8. リヴ・アンド・レット・リヴ - "Live and Let Live" - 5:26
    9. ザ・グッド・ヒューモア・マン - "The Good Humor Man He Sees Everything Like This" - 3:08
    10. バマー・イン・ザ・サマー - "Bummer in the Summer" - 2:24
    11. ユー・セット・ザ・シーン - "You Set the Scene" - 6:56

    2001年デラックス・エディション盤ボーナス・トラック

    [編集]
    1. ハミングバード(デモ) - "Hummingbirds" - 2:43
    2. ワンダー・ピープル(アウトテイク) - "Wonder People (I Do Wonder)" - 3:27
    3. アローン・アゲイン・オア(オルタネイト・ミックス) - "Alone Again Or (Alternate Mix)" (B. MacLean) - 2:55
    4. ユー・セット・ザ・シーン(オルタネイト・ミックス) - "You Set the Scene (Alternate Mix)" - 7:01
    5. ユア・マインド・アンド・ウィ・ビロング・トゥギャザー(トラッキング・セッションズ・ハイライツ) - "Your Mind and We Belong Together (Tracking Session Highlights)" - 8:16
    6. ユア・マインド・アンド・ウィ・ビロング・トゥギャザー - "Your Mind and We Belong Together" - 4:27
    7. ラフィング・ストック - "Laughing Stock" - 2:31

    参加ミュージシャン

    [編集]

    アディショナル・ミュージシャン

    2001年デラックス・エディション盤(R2 76717)のブックレットに記載されたクレジットでは、キャロル・ケイに関しては「poss(恐らく)」という扱いになっている。

    • デヴィッド・エンジェル - オーケストレーション
    • ストリングス・セクション
      • リチャード・バレーン、アーノルド・ベルニック、ジェイムズ・ゲッツォフ、マーシャル・ソスーン、ダレル・ターウィリガー - ヴァイオリン
      • ノーマン・ボトニック - ヴィオラ
      • ジェシ・エールリッヒ - チェロ
      • チャック・バーグホーファー - コントラバス
    • ブラス・セクション
    • ビリー・ストレンジ - ギター(on #3, #4)
    • ドン・ランディ - ピアノ(on #3, #4)
    • キャロル・ケイ - ベース(on #3, #4)
    • ハル・ブレイン - ドラムス(on #3, #4)

    脚注・出典

    [編集]
    1. ^ a b c 2001年デラックス・エディション盤(R2 76717)英文ブックレット内クレジット
    2. ^ Larkin, Colin (2007). Encyclopedia of Popular Music (5th ed.). Omnibus Press. ISBN 978-0857125958 
    3. ^ a b LOVE | full Official Chart History | Official Charts Company
    4. ^ a b Love Chart History - Billboard 200”. Billboard. 2018年3月21日閲覧。
    5. ^ Unterberger, Richie. “Love - Biography & History”. AllMusic. 2018年3月21日閲覧。
    6. ^ 2001年デラックス・エディション盤(R2 76717)英文ライナーノーツ(ベン・エドモンズ)
    7. ^ Pinnock, Tom (2016年7月15日). “Love's Forever Changes originally planned as a double album”. Uncut. Time Inc. (UK). 2018年3月21日閲覧。
    8. ^ コンピレーション・アルバム『Love Story 1966-1972』(Rhino Records, 1995 / R2 73500)英文ライナーノーツ (Phil Gallo) pp.17-19
    9. ^ Love Chart History - Hot 100”. Billboard. 2018年3月21日閲覧。
    10. ^ Deming, Mark. “Forever Changes - Love”. AllMusic. 2018年3月21日閲覧。
    11. ^ a b Cromelin, Richard (2001年3月9日). “Love's 'Forever Changes' Still Sounds Invigorating”. Los Angeles Times. 2018年3月21日閲覧。
    12. ^ Weiss, Jeff (2017年11月8日). “Love's Forever Changes at 50: Arthur Lee's Masterpiece Still Transcends Its Era”. LA Weekly. 2018年3月21日閲覧。
    13. ^ Love, 'Forever Changes' - 500 Greatest Albums of All Time”. Rolling Stone. 2018年3月21日閲覧。
    14. ^ GRAMMY Hall of Fame”. GRAMMY.com. Recording Academy. 2018年3月21日閲覧。
    15. ^ The 200 Best Albums of the 1960s”. Pitchfork. Condé Nast (2017年8月22日). 2018年3月21日閲覧。
    16. ^ Love - Forever Changes (CD, Album) at Discogs - 2001年リマスターCDの情報