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タトラKT8D5

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タトラカー > タトラKT8D5
タトラKT8D5
KT8D5(オストラヴァ1992年撮影)
基本情報
製造所 ČKDタトラ
製造年 1984年(試作車)
1986年1989年 - 1993年(量産車)
1998年 - 1999年(KT8D5N)
製造数 KT8D5 148両
KT8D5SU 5両
KT8D5K 46両
KT8D5N 7両
運用開始 1986年
主要諸元
編成 3車体連接車(A車 + C車 + B車)
軸配置 Bo'Bo'Bo'Bo'
軌間 1,435 mm1,524 mm
電気方式 直流600 V
架空電車線方式
最高速度 65.0 km/h
起動加速度 1.8 m/s2
編成定員 着席54人
立席177人(乗車密度5人/m2時)
立席283人(乗車密度8人/m2時)
車両重量 38.0 t
38.5 t(KT8D5.RN2)
43.1 t(KT8D5.RN2S)
全長 31,240 mm
車体長 30,300 mm
全幅 2,480 mm
全高 3,550 mm
車体高 3,145 mm
床面高さ 925 mm
375 mm(低床部分)
車輪径 700 mm
固定軸距 1,900 mm
台車中心間距離 7,500 mm
動力伝達方式 直角カルダン駆動方式
主電動機 TR023
主電動機出力 45 kw
出力 360 kw
制御方式 電機子チョッパ制御(サイリスタチョッパ制御)
制動装置 発電ブレーキドラムブレーキ
備考 主要数値は[1][2][3][4][5][6][7][8][9][10][11]に基づく。
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タトラKT8D5は、かつてチェコスロバキア(現:チェコ)のプラハに存在したČKDタトラが製造した路面電車車両タトラカー)の1つ。大量輸送が可能な3車体連接車で、チェコスロバキア北朝鮮など社会主義諸国に導入された[12][4][5][6][7][8]

導入までの経緯

チェコスロバキア(現:チェコ)の首都・プラハを走るプラハ市電には、1951年タトラT1以降、地元のČKDタトラで製造されたタトラカーと呼ばれる路面電車車両の導入が続いていた。1960年代以降は1両でも運転可能なタトラT3の大量導入が実施されたが、1970年代以降は車体形状や制御装置を一新した新型車両が他都市に導入されるようになり、プラハ市電を運営していたプラハ公共交通公社(Dopravní podnik hl. m. Prahy)は電機子チョッパ制御などの新技術を導入した新機軸の車両を開発するようタトラ国営会社へと依頼した。これを受け、1967年の時点で検討されていた3車体連接車の開発計画を応用する形で設計が行われたのがKT8D5である[13][5][14][15]

概要

編成は3つの連接車体で構成され、先頭車体(A車・B車)には運転台が設置されているため、ループ線が存在しない路線・系統でも折り返し運転が可能となっている。また自動連結器が搭載されているため、KT8D5同士を始めとする連結運転が可能である。折戸式の乗降扉は車体両側面に設置され、先頭車体には2箇所、中間車体(C車)には1箇所に存在する。車内には革張りのクロスシートが配置され、屋根上の暖房ユニットや発電ブレーキからの排熱を利用した温風を車内に送り込むスロットが設置されている一方、冷房は設置されておらず外部からの換気による温度調節がなされる[5][6][7][8][16]

2基の主電動機(出力45 kw)が搭載された動力台車は歴代のタトラカーと同様にアメリカのPCCカーを由来とした構造が引き続き採用され、車輪は防振ゴムを挟み騒音や振動を防ぐ弾性車輪となっている。運転台からの速度制御についてもPCCカーと同様に足踏みペダル式となっている。制御装置は電機子チョッパ制御(TV3)が用いられる。先頭車体の屋根上には集電装置(パンタグラフ)に加えて抵抗器や換気装置、暖房ユニットが搭載されている[8]

運用

1984年に2両の試作車が完成し、プラハ市電で試運転が実施された後、1986年から量産が開始された。導入地域や製造年代によって以下の形式が製造されたが、車体幅が2,480 mmと広く取られた事からプラハ市電など導入にあたって電停や線形の改良が必要となった地域も存在した[5][6]

導入都市

KT8D5プルゼニ
KT8D5コシツェ

タトラ国営会社(→ČKDタトラ)で製造されたタトラKT8D5が導入された都市は以下の通りである。国名や都市名の一部には略称を含む。これらの車両の中で、コシツェ市電に導入された40両のうち10両はミシュコルツ市電ハンガリー)、4両は平壌市電北朝鮮)、3両はシュトラウスベルク鉄道ドイツ)に譲渡された他、ミシュコルツ市電へはモスト・リトヴィーノフ市電からも3両が譲渡されている。また、モスクワ市電に導入された1両については早期にヴォルゴグラード・メトロトラムへの譲渡が実施されている[4][18][21]

KT8D5 導入都市一覧[4][18][10]
形式 導入国 都市 導入両数
KT8D5 チェコスロバキア
(現:チェコ)
プラハ
(プラハ市電)
48両
ブルノ
(ブルノ市電)
23両
オストラヴァ
(オストラヴァ市電)
16両
プルゼニ
(プルゼニ市電)
12両
モスト
リトヴィーノフチェコ語版
(モスト・リトヴィーノフ市電)
8両
チェコスロバキア
(現:スロバキア)
コシツェ
(コシツェ市電)
40両
ソビエト連邦
(現:ロシア連邦)
モスクワ
(モスクワ市電)
1両
KT8D5SU チェコスロバキア
(現:チェコ)
ブルノ
(ブルノ市電)
5両
KT8D5K 北朝鮮 平壌
(平壌市電)
45両
ボスニア・ヘルツェゴビナ サラエボ
サラエボ市電
1両
KT8D5N チェコ ブルノ
(ブルノ市電)
7両

改造

2000年代以降、チェコスロバキア向けの車両を中心にチェコのアライアンスTW(Aliance TW Team)によって更新工事が行われており、中間車体を床上高さ350 mmの新造車体(ML8LF)に交換する事で車内の20%をバリアフリーに対応した低床構造にする他、外板の薄さが課題となっていた車体の強化、台車や制御装置、暖房装置など主要機器の修繕、車内の改装などが実施されている。更に運転台についても機器の更新やスイッチ類の配置見直しに加え、冷房装置の搭載やバックミラーの設置など快適性や安全性の向上がなされている。これらの更新車両は、改造内容によって以下の形式に分かれる[22][8]

関連形式

脚注

注釈

  1. ^ 保存(9048)および事故廃車(9006)のため運用から離脱していたプラハ市電の2両を除く。
  2. ^ 双方とも元はチェコ各都市から譲渡された車両であり、超低床電車導入に伴い余剰となった経緯を持つ。

出典

  1. ^ Vladimír Kraus 1987, p. 7.
  2. ^ Vladimír Kraus 1987, p. 12-13.
  3. ^ Vladimír Kraus 1987, p. 74.
  4. ^ a b c d e f g h Ryszard Piech (2008年3月18日). “Tramwaje Tatry na przestrzeni dziejów (3) od KT8 do upadku” (ポーランド語). InfoTram. 2020年1月22日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g Zuzana Fojčíková (2013年5月21日). “„Kachnu“ už v Praze na kolejích lidé nepotkají, tramvaje KT8D5 končí” (チェコ語). iDNES.cz. 2020年1月22日閲覧。
  6. ^ a b c d e DALŠÍ VOZY KT8D5 Z MISKOLCE MÍŘÍ DO PRAHY” (チェコ語). Československý Dopravák (2019年5月17日). 2020年1月22日閲覧。
  7. ^ a b c „Hranaté“ tramvaje KT8D5 v Praze po 27 letech končí” (チェコ語). E15.cz (2013年5月21日). 2020年1月22日閲覧。
  8. ^ a b c d e f Zuzana Fojčíková. “ČKD Tatra KT8” (スロバキア語). imhd.sk. 2020年1月22日閲覧。
  9. ^ a b Fuhrpark”. Strausberger Eisenbahn GmBH (2015年9月). 2020年1月22日閲覧。
  10. ^ a b c Martina Hoblová (2014). “Včelka Mája po rekonstrukci odletěla zpět do Německa”. Opranva tramwají: 8-11. http://www.opravnatramvaji.cz/images/Včelka_Mája_po_rekonstrukci_odletěla_zpět_do_Německa.pdf. 
  11. ^ Tramcar KT8D5N Model Basic Features” (英語). SKD TRADE a.s.. 2020年1月22日閲覧。
  12. ^ Vladimír Kraus 1987, p. 1.
  13. ^ Vladimír Kraus 1987, p. 6.
  14. ^ 大賀寿郎『戎光祥レイルウェイ・リブレット1 路面電車発達史 ―世界を制覇したPCCカーとタトラカー』戎光祥出版、2016年3月、93頁。ISBN 978-4-86403-196-7 
  15. ^ Ryszard Piech (2008年3月4日). “Tramwaje Tatry na przestrzeni dziejów (1)” (ポーランド語). InfoTram. 2020年1月26日閲覧。
  16. ^ Vladimír Kraus 1987, p. 7-8.
  17. ^ a b Libor, Hinčica (2008). “Tramvaje KT8D5R.N2 v Brně”. Československý dopravák (2): 4-6. 
  18. ^ a b c d SEVERNÍ KOREA MÁ (ÚDAJNĚ) NOVOU TRAMVAJ” (チェコ語). Československý Dopravák (2018年8月5日). 2020年1月22日閲覧。
  19. ^ やまだトシヒデ「第6章 路面電車の世界」『ポケット図解 韓国の電車と地下鉄をとことん楽しむ本』秀和システム、2012年8月31日、235頁。ISBN 978-4798034881 
  20. ^ Martin, Černý (2002). Malý atlas městské dopravy 2002. Praha: Gradis Bohemia. pp. 83. ISBN 80-902791-5-5 
  21. ^ 鹿島雅美「ドイツの路面電車全都市を巡る 15」『鉄道ファン』第47巻第2号、交友社、2007年2月、146頁。 
  22. ^ a b Modernizace tramvají KT8” (チェコ語). Pragoimex. 2009年3月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月22日閲覧。
  23. ^ Miroslav, Albrecht (2003). “Modernizace vozu KT8D5 v Ostravě”. Městská doprava (4): 4-6. 
  24. ^ TV Progress Traction Equipment for Tramcar Refurbishment” (英語). Cegelec. 2020年1月22日閲覧。
  25. ^ Jan Sůra (2018年1月15日). “DPP modernizuje další tramvaje na částečně nízkopodlažní” (チェコ語). Zdopravy. 2020年1月22日閲覧。
  26. ^ Libor, Hinčica; Vladislav, Borek; Jaroslav, Čelustka (2007). “Nízkopodlažní tramvaje KT8D5.RN2P v Praze”. Československý dopravák (4): 8–11. 
  27. ^ Ryszard Piech. “RT8D5M” (チェコ語). Pražské tramvaje. 2019年12月5日閲覧。
  28. ^ Новые трамваи от компании «Татра-Юг» презентовали на международном инвестиционном форуме «5Т» в Одессе”. Пассажирский Транспорт (2019年10月9日). 2022年5月8日閲覧。
  29. ^ Colin Zwirko (2018年7月31日). “New tram cars appear on Pyongyang’s Liberation Street line” (英語). NKNews. 2020年1月22日閲覧。

参考資料