2015年イギリス総選挙
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党派別議席分布図 保守党 労働党 スコットランド国民党 自由民主党 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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2015年イギリス総選挙(2015ねんイギリスそうせんきょ、英語: United Kingdom general election, 2015)は、2015年5月7日にイギリスで実施された、英国議会の下院(庶民院)議員を選ぶ総選挙である。
概要[編集]
この選挙の焦点になったのは、イギリスがEU(ヨーロッパ連合)から離脱するかどうかで、デーヴィッド・キャメロン首相は、この総選挙で再任されれば、2017年まで期限を設けて、イギリス国内で「EU離脱の賛否」を問うことにしているが[1]、野党であるイギリス労働党のエド・ミリバンド党首は「EUの一員であるべきかどうかを政治のゲームに使うのはイギリスや輸出産業にとって最悪だ」と述べ、政権交代の必要性を訴えている[2]。また、イギリスからの独立を目指すスコットランド国民党が地元であるスコットランドで支持を伸ばしていて、EU離脱を訴えているイギリス独立党も「一定の支持」を得ている[2]。ただ、BBCの報道では「選挙後に発足する政権の構成が「全く予測不可能」な混戦」になりそうだと伝えられた[3]。
キャメロン首相は、この総選挙に勝って2期目を務めることが決定したら、次の首相にはならないとBBCテレビのインタビューに答えている[4]。
この選挙は、依頼された候補や陣営を勝たせることをビジネスとする、欧米の選挙アドバイザーたちの主戦場となっている、保守党は「オズの魔法使い」と呼ばれるオーストラリア人のリントン・クロスビー、2012年にオバマ米大統領の選挙対策本部長を務め、再選に導いたインターネット選挙のプロ、ジム・メッシーナを雇った。労働党はオバマの2度の選挙戦で首席アドバイザーを務めたデビッド・アクセルロッドを雇った[5]。
スコットランド国民党のM・ブラックが労働党のダグラス・アレクサンダーを下して当選し、1667年以来で最年少の下院議員に選出された[6]。
選挙制度[編集]
- 議会構成:イギリス議会は、上院(貴族院)と下院(庶民院)の両院から構成されるが、上院は世襲貴族と一代貴族の中から任命されるため選挙は行われず、下院議員のみが総選挙で選出される。
- 選挙権者:18歳以上のイギリス国籍を有する男女、および英連邦市民、アイルランド共和国市民で一定の欠格要件(刑務所に服役中など)に該当しない市民で、居住地域の自治体で選挙人登録をした者。
- 被選挙権者:18歳以上の英国籍を有している男女、および英連邦市民、アイルランド共和国市民で、一定の欠格要件(貴族院議員であることなど)に該当しない者。
下院議員の任期:5年(ただし、下院が解散された場合はその時点で議員職を失う)
- 定数:650議席
- 選出方法:完全小選挙区制(選挙区で最多得票を得た候補者が当選)
選挙結果[編集]
事前の世論調査では、保守党と労働党の支持率は拮抗し、2010年総選挙に引き続いて両党ともに過半数議席を獲れないハング・パーラメントが再現されるのではないかとの見方も強かったが、保守党が過半数326を上回る331議席を獲得する結果となった。5年ぶりの政権交代を目指していた労働党は、スコットランドでSNP(スコットランド国民党)が躍進した影響もあって、232議席と低迷した。保守党と連立政権を組んでいた自由民主党は8議席と、前回選挙より50議席近く減らして惨敗した。スコットランドの地域政党であるSNPは、スコットランドに割り当てられた59議席中56議席を獲得して躍進した[7]。また、イギリス独立党は議席数こそ1議席にとどまったものの、全体の得票率ではそれまでを大幅に上回る12.6%で、保守党・労働党に次ぐ得票を集めた。
現行の選挙制度の下では全議席が小選挙区制となっているため、その地区での少数党は議席をまったく得ることができない。そのため、地域政党は有利な選挙戦を戦える。スコットランドの地域政党であるSNPは2014年スコットランド独立住民投票の勢いから支持を集め、前回の獲得議席と比べ50議席増となっている。
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政党 | 議席数 | ± | 得票数 | 得票率 | ± | |
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保守党 | 331 | ![]() |
11,334,920 | 36.9 | ![]() | |
労働党 | 232 | ![]() |
9,347,326 | 30.4 | ![]() | |
スコットランド国民党 | 56 | ![]() |
1,454,436 | 4.7 | ![]() | |
自由民主党 | 8 | ![]() |
2,415,888 | 7.9 | ![]() | |
民主統一党 | 8 | 0 | 184,260 | 0.6 | 0.0 | |
シン・フェイン党 | 4 | ![]() |
176,232 | 0.6 | 0.0 | |
ブライド・カムリ | 3 | 0 | 181,694 | 0.6 | 0.0 | |
社会民主労働党 | 3 | 0 | 99,809 | 0.3 | 0.0 | |
アルスター統一党 | 2 | ![]() |
114,935 | 0.4 | 0.0 | |
イギリス独立党 | 1 | ![]() |
3,881,129 | 12.6 | ![]() | |
緑の党 | 1 | 0 | 1,157,613 | 3.8 | ![]() | |
同盟党 | 0 | ![]() |
61,556 | 0.2 | ![]() | |
諸派政党[8] | 0 | 0 | 123,586 | 0.3 | 0.0 | |
無所属 | 1 | 0 | 164,826 | 0.5 | ![]() | |
有効票 | - | - | 30,691,680 | |||
無効票・白票 | - | - | ||||
投票総数 | 650 | ±0 | 100.0 | |||
有権者(投票率) | - | - | 46,420,413 | 66.1 | ||
出典:BBC News Election 2015 Results(2015年5月9日閲覧)。 |
脚注[編集]
- ^ “研究機関「英はEUに残留し改革実現を」”. NHK. (2015年3月25日) 2015年3月30日閲覧。
- ^ a b “英議会下院が解散 選挙戦始まる”. NHK. (2015年3月31日) 2015年4月1日閲覧。
- ^ ロンドン=柳沢亨之 (2015年3月31日). “政権構成「全く予測不可能」…英、選挙戦始まる”. 読売新聞 2015年4月1日閲覧。
- ^ “アングル:英首相「3期目否定」は戦略ミスか、後任レース始動”. 朝日新聞. (2015年3月25日) 2015年3月30日閲覧。
- ^ “「オズの魔法使い」は奇跡を起こせるか? 再選狙う保守党の選挙プロたち ”. (2015年5月3日) 2015年5月15日閲覧。
- ^ “20歳の女子大生、英最年少議員に 労働党「影の外相」破り当選”. (2015年5月8日) 2015年5月15日閲覧。
- ^ “保守党、単独過半数確保=キャメロン首相は続投-予想外の大勝・英総選挙”. 時事ドットコム. (2015年5月9日) 2015年5月9日閲覧。
- ^ 当選者を出せなかった政党については、前回選挙で議席を得た政党を除き「諸派政党」として得票を合算して掲載。