離乳食

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離乳食を食べている赤ちゃん

離乳食(りにゅうしょく)は、乳幼児に対して栄養源を母乳ミルクから切り替えるための食品

離乳と離乳食[編集]

離乳への移行[編集]

離乳とは、乳汁栄養(母乳や育児用ミルクなど)から幼児食へ移行するとともに食物を咀嚼する摂食機能が発達する過程をいう[1]

米国のガイドラインが定める乳児に離乳食を導入する最適な時期は大幅に変わってきており、1958年のガイドラインでは3か月から固形食、1970年代には4か月後半から、1990年代になって6か月からの導入に落ち着いた[2]

日本では1966年(昭和41年)に出版されたベンジャミン・スポックの『スポック博士の育児書』の翻訳書で生後3か月からオートミールの離乳食を与えることが推奨されていた。1980年(昭和55年)に厚生省が離乳ガイドラインを作り、母子健康手帳に5~6か月から離乳食を与えるよう記述された。2019年3月の厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」では「いつまで乳汁を継続することが適切かに関しては、母親等の考えを尊重して支援を進める。」とされている[3]

離乳期[編集]

離乳食を供する期間を離乳期という。期間としては、個人差もあるが4、5か月から1歳半くらいまでに離乳食を完了させ、通常の食事へ移行させることが一般的である(この期間には諸説あるが、いずれにしても乳幼児本人に無理のない時期で行われるのが望ましい)。

また、離乳期は乳幼児の月齢や食物の状態により、ゴックン期モグモグ期カミカミ期パクパク期と分類される。この区分には含まれないが、離乳準備期(単に準備期とも)と言われる期間もある。月齢はあくまでも目安であり、子供の発育状態などによって進め方は異なる。早く完了させたいからと次の段階に無理に進めると、下痢を起こしたり食事への興味を失ってしまうことがあるので注意が必要である。

補完食の概念[編集]

世界保健機関(WHO)のComplementary feeding: Family foods for breastfed children. 2000(「補完食:母乳で育っている子どもの家庭の食事」2006)では離乳食ではなく補完食(complementary feeding)の概念を用いている[4]

離乳期区分[編集]

準備期[編集]

離乳に入る前の準備として、果汁麦茶野菜スープなどをスプーンで与える(これは『スポック博士の育児書』(2〜3か月から与えると記述)に由来する。)。味付けはせず、果汁はミカンリンゴイチゴスイカモモなど酸味の少ない果物を絞り、湯冷ましで薄めて与える。ただし、糖分を多く含むため果汁を与えることの是非については、国内外で論議を呼んでいる(2007年11月に厚生労働省から出された「授乳・離乳の支援ガイド」には離乳前に果汁を与える必要性は無い、と明記された)。

母乳ミルク以外の味やスプーンに慣れさせることが目的である。月齢2〜3か月頃から与えて良いが、子供が嫌がるなら無理強いはせず、機嫌の良い時に与えるようにする。

ゴックン期[編集]

月齢の目安は5〜6か月。食物の奥に送り、飲み込めるようになる。つぶしやすりおろした食品など、噛まずに飲み込めるドロドロ状の食事を与える。目安はポタージュの固さである。授乳回数を1回減らし、離乳食に切り替える(慣れてきたら更に授乳回数を減らし、離乳食を2回にする)。

子供にとっては初めての食品となるので、1さじ与えることから始め、徐々に慣らしていく。

魚類は白身魚のみ、肉類は飲み込みにくいため控えた方が良い。油脂塩分糖類などの調味料は控え、極力素材の味のみで与える。

モグモグ期[編集]

月齢の目安は7〜8か月。舌の動きが活発になり、舌を前後・上下に動かし、と舌で食物を潰せるようになる。固さの目安は豆腐の固さである。授乳3回、離乳食2回が1日の目安である。

魚類は赤身魚も与えられるようになる。肉類は脂肪分の少ないひき肉がよく用いられる。油脂や調味料も用いて良いが極めて薄味にする(大部分の大人は物足りない、もしくは味を感じない程度)。

カミカミ期[編集]

月齢の目安は9〜11か月。舌の動きが更に活発になり、前後・上下・左右に動かす。舌で潰せない食物を歯ぐきで噛み潰せるようになる。固さの目安はバナナの固さである。授乳2回、離乳食3回が1日の目安である。

穀類状から軟飯に移行し、全卵卵白)も少量から与えて良くなる。また、子供が自分で手を出して食べたがる行為も、この頃から見られるようになることがある。

パクパク期[編集]

月齢の目安は11〜15か月。舌が自由に動かせるようになり、また、も生えて来て摂食活動が活発になる。食物の固さはカミカミ期よりやや固い程度で、目安は肉団子の固さである。この頃から母乳粉ミルクではなくフォローアップミルクに移行する場合もある。

穀類は軟飯から大人と同じ白飯が食べられるようになる。大人の食事から取り分けたものを食べさせても良いが、基本は薄味にする。

与えてはいけない食品[編集]

食物アレルギーの発症の危険や、消化能力の発達、免疫の発達などを勘案し、特定の時期まで与えてはいけない、もしくは控えた方が良い食材・食品もある[5]

  • 蜂蜜黒砂糖…乳児ボツリヌス症の予防のため満1歳まで使用しない[1]
  • ソバイカタコエビカニ…初期まで使用しない。
  • 卵…卵黄よりも卵白、固茹でより半熟の方がアレルギー症状を起こしやすい[1]。卵白は中期〜後期まで使用しない。
  • …中期まで使用しない。後期以降でも細かく刻んで与える。
  • 牛乳…たんぱく質やミネラルが多いため乳児の消化機能では処理できず、アレルゲン性も高いため、1歳まで飲用には適さない(7~8か月頃から離乳食の食材に使用する場合は含まれない)[1]。牛乳を飲用で与える場合は、鉄欠乏性貧血予防の観点から1歳経過後が望ましい[3]。なお、乳児から幼児早期の食物アレルギーの主要原因食物でもあるので注意を要する[3]
  • ニンニク…後期まで使用しない。

ただし、学会有識者地域家庭独自の教えなどで、「果汁は6か月まで与えない方がいい」「バナナは1歳まで与えない方がいい」など、時代や場合によって、与えていけないといわれる食品の内容は異なる(この2者に関しては、幼少の頃から糖分の高い物を与えない方が良い、という考えに基づくものだと考えられる)。万が一の事故アレルギー疾患を予防するためにも、子供の状態を見極め、医師保健所などの適切な指導を受けることが肝要である。

市販品[編集]

数多くのメーカーからレトルト食品瓶詰の離乳食(これらをベビーフードと呼ぶ)が市販されている。主にスーパードラッグストアコンビニなどで販売されており、離乳期別に固さや適切な栄養バランスが整えられている。食器がついている物もあり、外食時や旅行時に便利である。

また、一部のファミリーレストランでは離乳食をメニューとして供している所もある。

手づかみ食べ[編集]

離乳食後期・完了期から行う手づかみ食べは赤ちゃんが食べ物を、目で確かめて、手指でつかみ、口まで運び口に入れるという目と手と口の協調運動であり、摂食機能の発達の上で重要な役割を担う。

  1. 目で食べ物の大きさや形を確かめる。
  2. 手でつかむ事によって、食べ物の温度や固さを確かめるとともにどの程度で握れば適当かという体験をつみ重ねる。 
  3. 口まで運ぶ段階では指しゃぶりやおもちゃをなめたりして、口と手を協調させてきた経験がいかされる。

[編集]

  1. ^ a b c d 第3章 授乳・離乳の進め方”. 佐賀県. 2020年3月20日閲覧。
  2. ^ いつから離乳食をはじめますか?”. 医薬基盤・健康・栄養研究所. 2020年3月20日閲覧。
  3. ^ a b c 授乳・離乳の支援ガイド 「授乳・離乳の支援ガイド」改定に関する研究会”. 厚生労働省. 2020年3月20日閲覧。
  4. ^ 「補完食:母乳で育っている子どもの家庭の食事」2006”. 日本ラクテーション・コンサルタント協会. 2020年3月20日閲覧。
  5. ^ 厚生労働省、『授乳・離乳支援ガイド』、42〜53頁、(2017年4月24日取得、http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/s0314-17.html )。

関連項目[編集]