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辻本豪三

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

辻本 豪三(つじもと ごうぞう、1953年2月[1] - )は、日本薬理学、生物系薬学研究者[2]。元京都大学薬学部教授。ゲノム創薬[3]の第一人者[4]

来歴

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奈良県出身[1]1978年北海道大学医学部卒業。淀川キリスト教病院東京女子医科大学脳神経センター、東京国立病院スタンフォード大学への留学を経て、1984年山梨医科大学薬理学教室助手、のち講師[5]1985年、「Desensitization of β-adrenergic receptor-mediated vascular smooth muscle relaxation(アドレナリン作働性β受容体を介する血管弛緩反応の脱感作現象)」により、信州大学から医学博士を取得[6]1989年、文部省在外研究によりアメリカ国立衛生研究所国立がんセンターへ派遣、引き続き1990年メリーランド大学ボルチモア校 (University of Maryland, Baltimore) 招聘教授として米国に滞在[5][7]1991年、国立小児病院(国立成育医療研究センターの前身の一つ)小児医療研究センターを経て、2002年京都大学大学院薬学研究科教授[5]

辻本が研究するゲノム創薬は、ヒトゲノムの解析を基に、新しい薬物療法を開発し、最終的には至適薬物療法(テーラーメード医療)の実現を目指すものである[3][5]。腎炎の進行に関与する酵素の特定[8]肥満の原因遺伝子の発見[9]など、一般に注目される[誰によって?]研究成果も上げた。

辻本は、2012年6月28日付で「一身上の都合」により京都大学を退職した[10]。その後、2012年7月31日に至り、京都大学が行った物品購入に絡む収賄の容疑で、東京地方検察庁特別捜査部に逮捕された[10]2014年2月17日東京地方裁判所で懲役2年・追徴金940万円の実刑判決が言い渡された[11]。その後控訴し、2015年2月26日に、二審の東京高等裁判所にて懲役1年8ヶ月・追徴金940万円の実刑判決となり[12]、翌年の8月30日付けで上告が棄却され、高裁判決が確定した[13]。すでに退職していたため、京都大学からは懲戒解雇相当の処分を受けている[14]。京都大学は、研究費が不正使用されたとして辻本に約1億5000万円の損害賠償を求める訴訟を起こし、2019年11月5日京都地方裁判所は全額の支払いを命じた[15]

著書

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単著

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主な共編著

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出典・脚注

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  1. ^ a b ゲノム創薬の研究現状および展望 - SciencePortal China 第48号
  2. ^ 科学研究助成費データベース 辻本豪三”. 国立情報学研究所. 2012年8月12日閲覧。
  3. ^ a b 1101000 - ゲノム創薬概論(辻本 豪三), 前期不定”. 京都大学. 2012年8月14日閲覧。
  4. ^ 鍛冶信太郎 (2012年8月1日). “ゲノム創薬 第一人者”. 朝日新聞(朝刊): p. 38 
  5. ^ a b c d 辻本豪三 (2008). “テーラーメイド医療の展望” (PDF). TDM研究 (日本TDM学会) (3): s54-s55. http://jstdm.umin.jp/journal/pdf/2503S047.pdf 2012年8月14日閲覧。. 
  6. ^ Desensitization of β-adrenergic receptor-mediated vascular smooth muscle relaxation 辻本豪三”. 国立国会図書館. 2012年8月14日閲覧。
  7. ^ 典拠とした資料には「メリーランド州立大学ボルチモア校」とあるが、ボルチモアにある医科大学院のある州立大学は University of Maryland, Baltimore であり、通常は「メリーランド大学ボルチモア校」と表現されるので、ここでは表記を改めた。
  8. ^ “腎炎の進行に関与のたんぱく質を特定 京大、治療薬に道”. 朝日新聞(夕刊): p. 9. (2005年5月20日)  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  9. ^ “肥満の原因遺伝子を発見 予防に役立つかも”. 朝日新聞(朝刊・大阪): p. 39. (2012年2月20日)  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  10. ^ a b 小林恵士、須藤龍也「元京大教授を逮捕 入札巡り600万円収賄容疑 東京地検」『朝日新聞(夕刊)』2012年7月31日、12面。 - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  11. ^ 京大の汚職事件、元教授に実刑判決…東京地裁 読売新聞 2014年2月17日
  12. ^ 収賄罪に問われた京大元教授の二審判決、懲役1年8月の実刑 バイオの社 2015年2月26日付
  13. ^ 京都大元教授の物品納入汚職、懲役1年8カ月確定 朝日新聞 2016年8月31日付
  14. ^ “元京大教授を懲戒解雇相当 贈収賄事件で実刑”. 産経新聞社. (2017年4月18日). http://www.sankei.com/smp/west/news/170418/wst1704180038-s1.html 2017年7月2日閲覧。 
  15. ^ “研究費不正の京大元教授に賠償命令 1億5000万円”. サンケイスポーツ. (2019年11月5日). https://www.sanspo.com/geino/amp/20191105/tro19110518140007-a.html 2019年11月30日閲覧。 

外部リンク

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