茂原市立図書館

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茂原市立図書館
Mobara Public Library
南総サンヴェルプラザ
茂原市立図書館(2019年4月)
施設情報
前身 茂原市公民館付属図書館・千葉県立中央図書館長生分館
専門分野 総合
事業主体 茂原市
管理運営 図書館流通センター
開館 1954年昭和29年)7月13日
所在地 297-0023
千葉県茂原市千代田町1丁目6-1 茂原サンヴェル 6F
位置 北緯35度25分36.8秒 東経140度18分10.7秒 / 北緯35.426889度 東経140.302972度 / 35.426889; 140.302972座標: 北緯35度25分36.8秒 東経140度18分10.7秒 / 北緯35.426889度 東経140.302972度 / 35.426889; 140.302972
ISIL JP-1000806
統計情報
蔵書数 137,569(2019年度時点)
貸出数 145,927(2019年度)
貸出者数 48,266(2019年度)
条例 茂原市立図書館の設置及び管理に関する条例(昭和47年5月1日茂原市条例第67号)
公式サイト https://opac.library-mobara.jp/
備考 数字は茂原市立図書館のみのもの[1]
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茂原市立図書館(もばらしりつとしょかん)は、千葉県茂原市にある公立公共図書館。なお、茂原市には市立図書館のほか公民館等にも図書施設があり、条例上は後者は市立図書館に属していないが、本項では茂原市立図書館及び市内図書施設について述べる[2]

概要[編集]

2014年(平成26年)まで一宮川近くの茂原市八千代に施設があった[3]。しかし、水害による2度の浸水や老朽化により、JR茂原駅南口に隣接する南総サンヴェルプラザ(茂原駅南口再開発ビル、旧茂原そごう)6階に2014年(平成26年)7月20日に移転開館した[3][4]。施設として利用されているのは6階の一部、 2,175平方メートル[5]

その後、茂原市教育委員会では茂原市高師の商業施設「茂原ショッピングプラザアスモ」へ2025年春ごろに再移転する計画を検討している[3]

なお、2014年(平成26年)3月の茂原市議会での議決に基づき、図書館流通センターが図書館の指定管理者に指定されている(指定期間は2014年4月1日から2019年3月31日まで[6]。その後、2018年12月の議決により、2019年4月1日から2024年3月31日まで再指定[7])。

貸出のための図書館カードは、茂原市在住・在勤・在学者および長生郡在住者のみ発行可能となっている。茂原市立図書館及び市内図書施設(後述)で共通して利用できる。

沿革[編集]

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1952年(昭和27年)に合併により茂原市が誕生したことを機に、茂原市では市立図書館設立の要求が高まった。

このころ千葉県立中央図書館では、廿日出逸暁館長が、県内各地に図書館を育成するため、県立図書館の分館を、各地域の中心市町村に、市町村立図書館と併設の形で設置する、という事業を進めていた[8]。茂原市側は県当局に、市立図書館の新設と分館の併設を申請し、これが受け入れられたため、1954年(昭和29年)1月18日、千葉県教育委員会と茂原市教育委員会の間で、千葉県立中央図書館の分館設置に関する覚書が交換された[9]

建物としては、茂原市立茂原小学校の東隣、茂原市茂原605番地(北緯35度25分29.2秒 東経140度18分1.1秒 / 北緯35.424778度 東経140.300306度 / 35.424778; 140.300306 (茂原市立図書館(1954-1973)))にあった千葉県立茂原農業高等学校千葉県立茂原樟陽高等学校の前身)の旧校舎が再利用されることになった[注釈 1]。6月30日、茂原市議会は茂原市公民館(図書館)設置条例を可決し公布した。7月13日、茂原市公民館付属図書館(千葉県立中央図書館長生分館併設)として開館。11月10日[注釈 2]より館外貸出を開始した[11]

1959年(昭和34年)4月6日、茂原市立図書館設置条例が議決、即日公布され、茂原市図書館と改称し公民館から独立した[12]

1961年(昭和36年)10月1日、図書館設置条例改正により図書館協議会が設置される[13]

1965年4月1日、読書センター制度発足[14]

1966年(昭和41年)4月、千葉県立中央図書館長生分館の職員が茂原市職員に移籍。10月1日、それまで市長が兼職していた館長職が専任職となる[15]

1967年(昭和42年)6月1日、併設されていた茂原市公民館が新築移転したため独立館となる[15][14]

1972年(昭和47年)8月3日、茂原市八千代2-9(北緯35度25分20.4秒 東経140度17分41.5秒 / 北緯35.422333度 東経140.294861度 / 35.422333; 140.294861 (茂原市立図書館(1973-2014)))の一宮川沿いに新館の建設を開始した。加藤設計事務所が設計、熊谷組が施工[14]。鉄筋2階建て(一部3階建て)、建築面積1053㎡、延べ床面積2023㎡、収容可能冊数7万冊[16]

1973年(昭和48年)3月22日、新館移転のため休館。4月1日、茂原市立図書館と改称[14]。5月1日、新館に移転し再開[16][14]

1979年(昭和54年)11月7日、茂原市総合市民センター図書室開設[17]1985年(昭和60年)7月15日、東部台文化会館図書室開設[17]

1987年(昭和62年)3月31日、千葉県立中央図書館長生分館が廃止される。12月17日、千葉県東方沖地震のため書架が倒壊するなどの被害を受け、1週間の臨時休館となる[17]

1988年(昭和63年)4月1日、電算システム導入。8月1日、レコード・CDの貸出を開始する[17]

1989年(平成元年)8月1日、集中豪雨により一宮川が氾濫し、1階が浸水被害を受ける。資料には被害がなかったが、コンピュータの冠水や床面の清掃などのため1週間の臨時休館となる[18][17]

1996年(平成8年)9月24日、台風17号により一宮川が氾濫し、再度の浸水被害を受け10日間の臨時休館となる[19][17]

2002年(平成14年)9月1日、図書館ホームページ開設(当初は茂原市ホームページ内、2003年10月1日から独自ドメインで運営)[17]。10月15日、茂原市が茂原駅前の茂原駅南口再開発ビル(サンヴェル、旧茂原そごう)6階のワンフロアを借り上げ、「茂原駅前学習プラザ」を開設した。学習プラザには図書室のほか活動室・会議室・多目的ホールなどが設置されており、図書館と共通の図書館カードが利用できた。これにともない、総合市民センター図書室は8月23日に閉室している。なお、サンヴェルは1992年に完成し茂原そごうが入居していたが、2000年に閉店し、以来、大部分が空きビルとなっていたものである[17][20]

2013年(平成25年)10月16日、台風26号による水害で一宮川が氾濫、1階が浸水被害を受ける。最大で床上30cmまで浸水したため、本棚の1段目にあった書籍や蔵書管理機器、インターネット関連機器などが水没し、使用不能となった[21][22]。この被災により、10月28日まで休館を余儀なくされたのみならず、書籍・CD等約1万5000点(所蔵資料の約1割)が廃棄処分となった[23][24]。なお被災当時、図書館長は携帯電話の電話を切っており、市教育委員会からの緊急連絡に気づかず、職員に対して適切な指示を出さなかった、として、市教育委員会は12月18日に職務怠慢で減給(10分の1)2月の懲戒処分とした、と発表した[25]。この被災に加え、以前から建物の老朽化が問題になっていたことや、過去にも水害で被災していることもあって、茂原市は移転計画を進め、11月26日、市立図書館をサンヴェル6階の「茂原駅前学習プラザ」に移転する計画を明らかにした[26][24]

移転[編集]

2014年(平成26年)3月31日、移転準備のため図書館を閉館。これにともない、茂原駅前学習プラザは廃止された[27][28]7月20日、サンヴェル6階に移転開館[4][27][29]

2015年(平成27年)6月1日、DVDの貸出を開始した[27]

再移転計画[編集]

図書館は2014年に移転したが、「駐車台数が少ない」という利用者の声があったほか、緊急避難的な移転だったために読書スペース等が十分でないなどの課題があった[3]

2022年(令和4年)4月、商業施設「茂原ショッピングプラザアスモ」の運営事業者から移転の提案があり、駐車場の利便性向上や賃料の削減が見込めることから、茂原市教育委員会では2025年春ごろの移転オープンを検討している[3]

その他の市内図書施設[編集]

茂原市立図書館のほかに、市内には以下の図書室が設置されている[2]

  • 鶴枝公民館図書室
  • 本納公民館図書室
  • 東部台文化会館図書室
  • 五郷福祉センター図書室
  • 豊田福祉センター図書室
  • 二宮福祉センター図書室
  • 東郷福祉センター図書室
  • 豊岡福祉センター図書室

注釈[編集]

  1. ^ この校舎は1899年(明治32年)に千葉県農学校(千葉県立茂原農業高等学校の前身)が茂原市に移転してきた際に建設されたもので、同校が1953年(昭和28年)に移転したため空き校舎になっていた[10]。2016年現在は千代田公園(茂原市千代田町2丁目8-12)となっている。
  2. ^ 茂原市立図書館 2015, p. 3 では11月9日となっている。

出典[編集]

  1. ^ 令和元年度統計”. 茂原市立図書館 (2020年3月31日). 2021年7月12日閲覧。
  2. ^ a b 年末年始 休館のお知らせ”. 茂原市立図書館. 2023年8月31日閲覧。
  3. ^ a b c d e 茂原アスモ内に市立図書館移転へ 市教委検討 駐車場増え賃料も削減 25年春オープン見込む”. 千葉日報 (2023年8月12日). 2023年8月31日閲覧。
  4. ^ a b 「新茂原市立図書館オープン 台風被害で駅前に移転」『千葉日報』千葉日報社、2014年7月21日、朝刊、9面。
  5. ^ 茂原市立図書館 2015, p. 6.
  6. ^ 茂原市立図書館指定管理者の指定について”. 茂原市 (2015年2月25日). 2016年7月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年6月26日閲覧。
  7. ^ 茂原市立図書館指定管理者の指定について(平成31年4月から)”. 茂原市 (2018年12月21日). 2019年11月23日閲覧。
  8. ^ 千葉県図書館史編纂委員会 1968, pp. 128–131, 176–185.
  9. ^ 千葉県図書館史編纂委員会 1968, pp. 176–177, 307.
  10. ^ 創立百周年記念誌編纂委員会記念誌編纂部 編『茂農の歴史百年』千葉県立茂原農業高等学校創立百周年記念事業実行委員会、1997年2月15日。 
  11. ^ 千葉県図書館史編纂委員会 1968, pp. 176–177, 307–308, 311.
  12. ^ 千葉県図書館史編纂委員会 1968, pp. 309, 311.
  13. ^ 千葉県図書館史編纂委員会 1968, pp. 310–311.
  14. ^ a b c d e 茂原市立図書館 2015, p. 3.
  15. ^ a b 千葉県図書館史編纂委員会 1968, pp. 312–313.
  16. ^ a b 森田 1998, p. 262.
  17. ^ a b c d e f g h 茂原市立図書館 2015, p. 4.
  18. ^ 「一家総出で泥洗い流す 茂原の豪雨禍」『千葉日報』1989年8月2日付15面。
  19. ^ 「台風17号、つめ跡深く 家屋浸水2800棟余」『朝日新聞』1996年9月25日付朝刊千葉版。
  20. ^ 「街の玄関口に学習プラザ JR茂原駅前再開発ビル」『千葉日報』2002年10月16日付15面。
  21. ^ 台風で1万2千冊水浸し 茂原市立図書館」『千葉日報』千葉日報社、2013年10月19日、朝刊、21面。
  22. ^ 台風26号で千葉県茂原市立図書館が被災”. カレントアウェアネス・ポータル (2013年10月21日). 2021年7月12日閲覧。
  23. ^ きょうから業務再開 茂原市立図書館」『千葉日報』千葉日報社、2013年10月29日、朝刊、9面。
  24. ^ a b 台風26号で被災した千葉県茂原市立図書館が移転を予定”. カレントアウェアネス・ポータル (2013年11月28日). 2021年7月12日閲覧。
  25. ^ 茂原市立図書館の台風被害 市教委 館長らを懲戒」『千葉日報』千葉日報社、2013年12月19日、朝刊、19面。
  26. ^ 茂原市立図書館が 移転へ」『千葉日報』千葉日報社、2013年11月27日、朝刊、7面。
  27. ^ a b c 茂原市立図書館 2015, p. 5.
  28. ^ 茂原市立図書館が移転のため閉館します」『広報もばら』第931号、2頁、2014年2月1日https://www.city.mobara.chiba.jp/0000001672.html 
  29. ^ 新しく、利用しやすくなった図書館へ ぜひご来館ください」『広報もばら』第941号、2頁、2014年7月1日http://www.city.mobara.chiba.jp/0000001643.html 

参考文献[編集]

  • 千葉県図書館史編纂委員会 編『千葉県図書館史』千葉県立中央図書館、1968年9月12日。 
  • 茂原市立図書館『平成27年度 茂原市立図書館概要』茂原市立図書館、2015年7月1日。 
  • 森田保『千葉県の図書館』三一書房、1998年6月15日、262-264頁。ISBN 4-380-98257-2 

外部リンク[編集]