「ユニタリ群」の版間の差分

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''n''次の'''ユニタリ群'''(ユニタリぐん、{{lang-en|unitary group}}) U(''n'') とは、''n''次[[ユニタリ行列]]のす[[群 (数学)|群]]のことである。[[演算]]は[[行列の積]]で与えられる。
''n'' 次の'''ユニタリ群'''(ユニタリぐん、{{lang-en-short|unitary group}}) U(''n'') とは、''n'' 次[[ユニタリ行列]]のす[[群 (数学)|群]]のことである。[[演算]]は[[行列の積]]で与えられる。


ユニタリ群は[[一般線型群]] GL(''n'', '''C''') の部分群である。
ユニタリ群は[[一般線型群]]の[[部分群]]である。


== 定義 ==
最も単純な ''n''=1 の U(1) は[[巡回群]]に対応し、[[絶対値]]が1の[[複素数]]からなる。全てのユニタリ群は U(1) のコピーを含む。
=== 複素数体上のユニタリ群 ===
:<math>\begin{align}
\operatorname{U}(n)
&= \{\, U \in \operatorname{GL}(n,\mathbb{C}) \mid \forall x, y \in \mathbb{C}^n : \langle Ux, Uy \rangle = \langle x, y \rangle \,\} \\
&= \{\, U \in \operatorname{GL}(n,\mathbb{C}) \mid U^\dagger U = I_n \,\}
\end{align}</math>
ここで GL(''n'', '''C''') は[[一般線型群]]、〈-, -〉は[[エルミート形式]]、†は[[エルミート共役]]である。


つまりユニタリ群の元は有限次複素線型空間のエルミート形式を―したがって[[ノルム]]を―保つ。これは「絶対値が 1 の複素数」の線型変換における類似物である<ref>Finite-Dimensional Vector Spaces (Paul R. Halmos) §59</ref>。
ユニタリ群 U(''n'') は次元 ''n''<sup>2</sup> の実[[リー群]]である。
U(''n'') の[[リー代数]]は''n''次[[歪エルミート行列]]からなり、その括弧積は[[交換子]]で与えられる。


=== 一般の体上のユニタリ群 ===
== 定義 ==
ユニタリ群は一般の[[体]]上では次のように定義される。
:<math>U(n) = \{ g\in GL(n,\mathbb{C}) ; g^\dagger g=I_n \}</math>
基礎体 ''K'' の2次[[拡大体]] ''L'' をとる。
ここで GL(''n'', '''C''') は[[一般線型群]]、†は[[エルミート共役]]である。
線型空間 ''V'' = ''L<sup>n</sup>'' 上の[[エルミート形式]]
:<math> \langle x, y \rangle = x_1 \overline{y_1} + \dotsb + x_n \overline{y_n} \qquad \big(x = (x_i),\ y = (y_i) \in V\big) </math>
(ここで <math>\overline{y_i}</math> は[[代数共役]]を表す)
を不変に保つ ''V'' 上の線型[[自己同型]]写像のなす群を U(''n'', ''K'', ''L'') と表し、これを'''ユニタリ群'''という。
:<math> \operatorname{U}(n, K, L) = \{\, U \in \operatorname{GL}(n, L) \mid \forall x, y \in V : \langle Ux, Uy \rangle = \langle x, y \rangle \,\} </math>

== 例 ==
[[有限体#構成例|4元体]]を '''F'''<sub>4</sub> = {0, 1, &omega;, &omega;<sup>2</sup>} とする。
ただし演算は関係式 &omega;<sup>2</sub> + &omega; + 1 = 0 から定める。 このとき U(2, '''F'''<sub>2</sub>, '''F'''<sub>4</sub>) は位数18の群で次の2元から生成される。
:<math>
\operatorname{U}(2, \mathbb{F}_2, \mathbb{F}_4) = \Big\langle
\begin{pmatrix} \omega & \omega \\ 0 & \omega \end{pmatrix},\
\begin{pmatrix} 0 & 1 \\ 1 & 0 \end{pmatrix} \Big\rangle
</math>

== 性質 ==
複素数体上のユニタリ群は以下の性質を満たす。
* 最も単純な ''n'' = 1 の U(1) は[[巡回群]]に対応し、[[絶対値]]が1の[[複素数]]からなる。全てのユニタリ群は U(1) のコピーを含む。
* ユニタリ群 U(''n'') は次元 ''n''<sup>2</sup> の実[[リー群]]である。
* U(''n'') の[[リー代数]]は ''n'' 次[[歪エルミート行列]]からなり、その括弧積は[[交換子]]で与えられる。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
*[[特殊ユニタリ群]]
*[[リー群]]
*[[リー群]]


== 脚注 ==
<references />
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{{デフォルトソート:ゆにたりくん}}
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2014年6月4日 (水) 16:30時点における版

n 次のユニタリ群(ユニタリぐん、: unitary group) U(n) とは、nユニタリ行列のなすのことである。演算行列の積で与えられる。

ユニタリ群は一般線型群部分群である。

定義

複素数体上のユニタリ群

ここで GL(n, C) は一般線型群、〈-, -〉はエルミート形式、†はエルミート共役である。

つまりユニタリ群の元は有限次複素線型空間のエルミート形式を―したがってノルムを―保つ。これは「絶対値が 1 の複素数」の線型変換における類似物である[1]

一般の体上のユニタリ群

ユニタリ群は一般の上では次のように定義される。 基礎体 K の2次拡大体 L をとる。 線型空間 V = Ln 上のエルミート形式

(ここで 代数共役を表す) を不変に保つ V 上の線型自己同型写像のなす群を U(n, K, L) と表し、これをユニタリ群という。

4元体F4 = {0, 1, ω, ω2} とする。 ただし演算は関係式 ω2 + ω + 1 = 0 から定める。 このとき U(2, F2, F4) は位数18の群で次の2元から生成される。

性質

複素数体上のユニタリ群は以下の性質を満たす。

関連項目

脚注

  1. ^ Finite-Dimensional Vector Spaces (Paul R. Halmos) §59