コンテンツにスキップ

「ラジアータパイン」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
en:One Tree Hill, New Zealand 00:47, 5 March 2012‎ UTC を翻訳、および他資料を参考に加筆。
タグ: サイズの大幅な増減
1行目: 1行目:
{{生物分類表
{{生物分類表
|名称 = ラジアータパイン
|名称 = ラジアータマツ
|色 = lightgreen
|色 = lightgreen
|画像 = [[ファイル:Monterey-Kiefer.jpg|250px]]
|画像 = [[ファイル:Monterey-Kiefer.jpg|250px]]
|画像キャプション = ラジアータパインの幼木
|画像キャプション = ラジアータマツの幼木
|status = LR/lc
|status =
|status_ref =
|status_ref = <ref>[http://www.iucnredlist.org/apps/redlist/details/42408/0 Conifer Specialist Group 1998. ''Pinus radiata''. In: IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.4.]</ref>
|界 = [[植物|植物界]] {{Sname||Plantae}}
|界 = [[植物|植物界]] {{Sname||Plantae}}
|門 = [[裸子植物門]] {{Sname||Pinophyta}}
|門 = [[裸子植物門]] {{Sname||Pinophyta}}
14行目: 14行目:
|科 = [[マツ科]] {{Sname||Pinaceae}}
|科 = [[マツ科]] {{Sname||Pinaceae}}
|属 = [[マツ属]] {{Snamei||Pinus}}
|属 = [[マツ属]] {{Snamei||Pinus}}
|種 = '''ラジアータパイン''' {{Snamei|P. radiata}}
|種 = '''ラジアータマツ''' {{Snamei|P. radiata}}
|学名 = {{Snamei||Pinus radiata}} {{Taxonomist|D.Don}}
|学名 = {{Snamei||Pinus radiata}} {{Taxonomist|D.Don}}
|和名 = ラジアータマツ
|和名 = '''モントレーマツ'''、'''ラジアータマツ'''、ラジアータパイン
|英名 = Radiata Pine
|英名 = '''Monterey Pine''', '''Radiata Pine'''
|生息図 = [[File:Pinus radiata levila.PNG|250px]]
|生息図キャプション = ''Pinus radiata''の原産地
}}
}}
'''ラジアータパイン'''、もしくは'''ラジアータマツ'''({{lang-en|Radiata Pine}}、[[学名]]:{{Snamei||Pinus radiata}})、[[マツ科]][[マツ属]]常緑[[針葉]]である。原産地のアメリカでは自生地の地名から、モントレーパイン(Montrey Pine)とも呼ばれるのが一般的である。
'''ラジアータパイン''' (''Pinus radiata'') はマツ科マツ属の樹である。

== 名前と分類 ==
<!--- 主な名称とその由来、亜種・変種など --->
マツ科マツ属、いわゆるマツ(松)の仲間の一種。以下の2[[変種]]が認められている。
* ''Pinus radiata'' var.''radiata'' (基変種)
* ''P. radiata'' var. ''bianta''

基変種 ''Pinus radiata'' var. ''radiata'' について産地別に枝、針葉や球果を多数集めたところ、Cambria の個体群は変種とまではいかないものの他の2つの生息地と違う傾向が見られた。オーストラリアの研究ではこれらの形態・[[表現型]]的な違いに加えて遅い成長率、季節ごとの成長に違いが見出されており、おそらく遺伝子的に他の個体群と異なるとされている<ref name="Forde,Margot1964"/>。近年の研究では各生息地間に僅かな遺伝子的な差異が認められた。そのほとんどは生息地に固有のものだという<ref>Moran, G. F., J. C. Bell, and K. G. Eldridge. 1988. The genetic structure and the conservation of the five natural populations of ''Pinus radiata''. Canadian Journal of Forest Research 18:506-514.</ref>。

本種と''Pinus attenuata'' や[[ビショップマツ]] (''Pinus muricata'') との間で大きく[[遺伝子移入]]があるという証拠はないが、雑種の出現は地域的にしか見られない<ref name="Forde,Margot1964"/>。

学名''Pinus radiata'' の種小名 ''radiata'' は英語のradial(放射状) に由来し、毬果の鱗片の特徴に基づいて名付けられた。英名として一般的な '''Montrey Pine''' は本種が広く分布するカリフォルニア州の半島の名前に由来する。他の名前としてはスペイン語風の インシグニスマツ (pino insignisが由来) や 種小名 ''radiata'' から'''Radiata pine'''と呼ばれることも多い。種小名由来の名称は世界的によく使われる。

[[日本]]でも'''Monterey Pine'''を直訳した'''モントレーマツ'''が標準[[和名]]として与えられているが、種小名に由来する'''ラジアタマツ'''、'''ラジアータマツ'''、ラジアータパインなどと呼ばれることも多い。ラディアタと表記されることもある。木材の輸入先として大きなニュージーランドやチリを頭に付けた'''ニュージーランドマツ'''や'''チリーマツ'''という表記も木材・建築業界など、一部で使われているようである<ref>[http://www.jawic.or.jp/kurashi/wtree/s17-rajiata.htm 木のあるくらし ラジアータマツ、ラジアータパイン]</ref>。


== 分布 ==
== 分布 ==
<!--- 自生地・移入地の様子、地形・気候・地質など --->
[[File:Pinus radiata levila.PNG|thumb|right|radiataとその変種の分布図]]
基変種、変種ともに自生地は非常に限られている。 基変種は[[アメリカ合衆国]]西部[[カリフォルニア州]]セントラルコースト (Central coast) の互いに隔絶した3地点、[[サンマテオ郡]] (San Mateo), [[サンタクルーズ郡 (カリフォルニア州)|サンタクルーズ郡]] (Santa Cruz), [[サンルイスオビスポ郡 (カリフォルニア州)|サンルイスオビスポ郡]] (San Luis Obispo) で確認されている。この3地点の中で最も北にある場所はAno Nuevoの東側である。同様に真ん中の場所はMonterey や Carmel から約50km南に行ったところである。一番南の場所は Pico Creek Cambria 地域から約100 km離れている<ref>Griffin, James R., and William B. Critchfield. 1972. (Reprinted with supplement, 1976). The distribution of forest trees in California. USDA Forest Service, Research Paper PSW-82. Pacific Southwest Forest and Range Experiment Station, Berkeley, CA. 118 p.</ref>。一番北の場所から一番南の場所までは約200 km離れている。いずれの場所でも海岸に比較的近い場所に生えており、海岸から10 km以上離れた内陸に場所に生えていることはほとんどない。本項では以下、これらカリフォルニアの3地点について近隣の名前をとり、'''Ano Nuevo'''(最も北の地点)、'''Monterey'''(真ん中の地点)、'''Cambria'''(最も南の地点)と記す。
原産地は[[アメリカ合衆国]]西部の[[カリフォルニア州]]であり、中でも[[太平洋]]側の中でもモントレー湾周辺の限られた地域に分布している。


変種 ''P. radiata'' var. ''bianta'' は[[グアダルーペ島]] ({{lang-en|Guadalupe island}}、{{lang-es|Isla Guadalupe}}) とセドロス島 (英語:Cedros Island、スペイン語: Isla Cedros) に分布していることが確認されている。これらの島は基変種の分布する南限カリフォルニア州 Cambria からそれぞれ約750km、約900kmも離れた[[太平洋]]上の小島である<ref name="Libby,Bannister,Linhart1968">Libby, W. J., M. H. Bannister, and Y. B. Linhart. 1968. The pines of Cedros and Guadalupe Islands. Journal of Forestry 66(11):846-853.</ref>。
[[変種]](学名 ''Pinus radiate'' var. ''bianta'')が[[グアダルーペ島]](Isla Guadalupe)で発見されており、Guadalupe pine と呼ばれている。もうひとつ、本種の変種、もしくは[[亜種]]に分類できるかもしれない個体がセドロス島(Cedros Island)で見つかっている。この2つの島はともに太平洋に浮かぶ島で[[メキシコ]]の[[バハ・カリフォルニア州]]に所属している。


本種の生育する地域の[[気候]]は[[太平洋]]を流れる[[寒流]] ([[カリフォルニア海流]])の影響を強く受けており、[[湿度]]が高く、[[気温]]は低く、[[夏]]には[[霧]]が発生する。生息地の一つカリフォルニア州 Monterey の湿度が最低になるのは7月であるが、その時でも平均で60-70%であり湿度は高い<ref name="Lindsay1937">Lindsay, A. D. 1937. Report on Monterey pine (''Pinus radiata'' D. Don) in its native habitat. Commonwealth (Australia) Forestry Bureau, Bulletin 10. 57 p.</ref>。霧は年間の1/3以上の日に発生する<ref name="Sudworth,George1908">Sudworth, George B. 1908. Forest trees of the Pacific slope. USDA Forest Service, Washington, DC. 441 p.</ref>。
優れた林業用樹種との評価により、[[南半球]]を中心に大規模に植林されており、原産地以外でも見ることが可能である<ref name="Gymnospermdatabase">[http://www.conifers.org/pi/pin/radiata.htm Pinus radiata (D. Don 1836)], Gymnosperm Database</ref>。


気温の変動は全体的に少ない。とは言っても細かく見れば―5℃から40℃まで幅がある。月平均気温で比べてみると、最も寒い月と最も暑い月で比べてみるとその差は約7℃であり、寒暖の差は少ないと言える。具体的には冬の平均気温が9℃から11℃、夏の平均気温が16℃から18℃である。成長期に当たる2月から6月の平均気温は11℃から16℃で、最高気温は17℃から24℃である<ref name="Scott1960"/>。[[霜]]の降りない期間は年間約300日である。
== 特徴 ==
本種は自然条件下では樹高15 m-30 mに生長するにとどまるが、適当な条件下で栽培することにより樹高60 mに達する。この時枝は上を向き、梢端は丸くなる。葉は針葉で明るい緑色をしており、3枚ずつ束生している。(変種の''bianta''では2枚ずつ束生)で長さは8 cm-15 cmほどで先端は鈍い。球果([[松かさ]])は7 cm-17 cmの長さで卵状の形をしている。多くの場合、枝に左右非対称に着き、斜めにできる。樹皮は裂けており暗い灰色から茶色である。


年間[[降水量]]は約400- 900mmであり、年によって変動する。このうち、12月から3月までに300 - 500mmの降水があるが、残りの時期は月平均50mmにも満たない。特に7月と8月は雨が降らないことが多い。降水による水分が期待できない季節、樹木は海から内陸へと移動してきた霧を浴びることで、[[樹冠]]から水分を吸収している。モントレー半島 (Monterey Peninsula) の高所では霧を浴びることで一週間当たり15mmの降水量に相当する水分を得ている<ref>McDonald, John Bruce. 1959. An ecological study of Monterey pine in Monterey County, California. Thesis (M.S.), University of California, Berkeley. 58 p.</ref>。[[雪]]は原産地においては降らない。アメリカ本土の3か所の分布地を湿度の点で見るとAno Nuevoは最も降水量が多く、Monterey は最も霧が多い、Cambria は最も乾燥している<ref name="Axelrod,Daniel1982">Axelrod, Daniel 1. 1982. Age and origin of the Monterey endemic area. Madroño 29(3):127-147.</ref>。原産地付近での風は弱く、年間平均で2m/s程度である。5月は最も風が強く、8月がもっとも弱い<ref name="Lindsay1937"/>。
本種はBishop pineやKnobcone pineに近いと考えられ、どちらの種とも容易に交雑する。見た目もよく似ているが、Bishop pineとは葉のつき方で区別できる。また、Bishop pine、Knobcone pineはともに球果の突起が本種に比べて、大きさの割には鋭くないので見分けがつく。


グアダルーペ島とセドロス島の気候は[[地中海性気候]]が色濃く出ており、アメリカ本土よりも雨は少なく気温の変動は極端である。どちらの島でも分布域は霧の影響が強く、マツは霧の切れ間で風上の斜面に生息することが多い。稀に水分の多い深い谷の斜面でも見られる。セドロス島ではマツが生育する場所は霧が最も頻繁に発生し、集中するような場所である<ref name="Libby et al.1972">Libby, W. J., A. G. Brown, and J. M. Fielding. 1972. Effects of hedging radiata pine on production, rooting, and early growth of cuttings. New Zealand Journal of Forest Science 2(2):263-283.</ref>。
最近植林されているのは原生場所の樹とは大きく異なり多数の個体の中から選抜されたエリート、いわゆる「精英樹」である。プランテーションにおいて、本種は一般的に3 m四方の場所に植えつけられる。場所は平地から険しい山岳地帯までいろいろ設定される。このような中で成長具合により選抜される。これはやや古典的な方法で、ごく最近などは苗木に対して広く成長因子(光条件、水分条件、遺伝子など)を駆使して選抜も行う。このように選別に力を入れるのは、1990年代以降の森林計画が木材として優れた樹木、つまり極めてまっすぐな長い幹持つものを求めたためである。精英樹に関しては3段階の枝打ちが行われ、成木になるころには下から2/3の高さまで枝がない状態になる。
自然状態の樹は曲がったり、瘤が出来たり、材の内部に樹液や樹脂が溢れていたりする。このような状態では木材として使いものにならず、燃料用にしか使い道がない。しかし、選抜された精鋭樹は色々な使い道がある。


原産地における分布域は狭いながらも、生育する土壌は変化に富んでいる。 Ano Nuevo では基岩(underlying rock)は[[頁岩]]ないしは海底由来の砂岩 (marine sandstone)である。Monterey においてはこれらに加えて[[花崗岩]]も含まれる。Cambria においては石灰岩、砂岩、[[チャート (岩石)|チャート]]、[[粘板岩]]である。
== 生態 ==

本種は山火事の騒動に対して適応した種であり、本種の球果にとって火事が起きるのは好ましい外的条件(serotiny)である。どういうことかと言うと、森林火災の熱により開くまでは、球果は固く閉じられたままだということである。このように火災により、既存の植生が壊滅状態になった状態で球果が開き、大量の種子が散布される。ただし、火災時の熱ほどなくても、気温が高ければ球果が開き種子を散布することが知られている<ref>[Little, Elbert L. Jr. 1980. The Audubon Society field guide to North American trees. New York: Alfred A. Knopf.]</ref>。
アメリカ本土のAno Nuevo, Monterey, Cambriaの3か所の地質はいずれもよく似ている。大部分は砂っぽい[[ローム (土壌)|ローム]]でしばしば海に由来する[[堆積物]]である。マツにとって良い場所では有機物の厚い堆積が見られる。有機物の体積は8 - 15cmの層となることが多く、内部には水や適度の栄養分を含む。このような土壌は斜面で見つかることが多く、水はけが良いのも特徴である。深さ50 -85cmのところには粘土層がある。粘土層はとても大切である。マツの根は一般的にこの層よりも下には伸びていかないが、根の多くはこの層を僅かに貫通する。このような根は根と菌類の共生の形態である[[菌根]]が形成されている<ref>Ernstrom, Dan. 1983. Personal communication. Soil Conservation Service, Davis, CA</ref>。土壌は一般的に[[酸性]]を示し、土層の上部、もしくは粘土層内部は特に酸性が強くなることが多い。粘土の水はけの悪さと酸性の強さが相まって、菌根の形成に良い影響を与えると考えられている。

本種が好むのは一般的に丘のような地形か緩やかな斜面である。Santa Luica 山脈では例外的に標高300mの場所に分布しているが、他の場所では海岸と険しい内陸の山岳地帯の間の緩やかな起伏である。アメリカ本土の分布域においてはどの地点でも北斜面に好んで分布することは共通している。他にAno Nuevoでは他のどの方位の斜面にも見られ、Montereyにおいては南向きの狭い谷で見られるが、分布の南限Cambriaでは北側の斜面以外には全く見られなくなる。メキシコの島嶼部ではゆるい所から急なところまで、傾斜の度合いにかかわらず斜面に見られる。標高はグアダルーペ島で300 - 1100m、セドロス島で270 -650mぐらいである<ref name="Libby,Bannister,Linhart1968"/>。

分布を制限するものは各地で異なる。Ano Nuevoにおいては海岸に近い場所の浅い土壌が分布を制限する要因と見られる。Montereyにおいては降水量の少なさに加えて、土壌の深さ・構造・粘土層の位置などが分布に影響している。Cambriaにおいては気候と土壌の関係上、高木が成立出来ずに草や低木に移行していくと考えられる。

化石の記録では、[[更新世]]後期には現在よりも広い範囲に分布していたことが伺える。この時代は[[氷河期]]であり海岸線は今よりも後退していた。現在は海中となるような場所や現在は島となっているような場所、具体的にはTomales Bay, Littele Sur, Carpinteria, Rancho La Brea, and Santa Cruz Islandで化石が発見されている<ref>Axelrod, Daniel 1. 1977. Outline history of California vegetation. In Terrestrial Vegetation of California. p. 139-193. Michael G. Barbour and Jack Major, eds. John Wiley, New York.</ref>。


本種は天然分布が狭いだけでなく、アメリカでは林業用樹種としてもほとんど使われていない。1960年代の資料によれば、アメリカ本土における分布面積は推定で4,900haから6,500ha程度であるとみられている<ref name="Offord et al 1964">Offord, Harold R. 1964. Diseases of Monterey pine in native stands of California and in plantations of western North America. USDA Forest Service, Research Paper PSW-14. Pacific Southwest Forest and Range Experiment Station, Berkeley, CA. 37 p.</ref>。しかし、その後の変動、特に増加が顕著であるためにこの値は今では当てにならない。たとえば、Ano Nuevo近郊では1970年代に95ha増加している<ref>Griffin, James R. 1981. Personal communication. Hastings Natural History Reservation, Carmel Valley, CA.</ref>。これは植林したことによっての増加である。しかし、そのような増加を含めても、メキシコの島を合わせた全ての面積は8000haに満たないとみられている<ref name="Libby,Bannister,Linhart1968"/>。
原生地における自然状態において、本種は特有の動植物との関係がある。本種は原生地においては[[モントレーイトスギ]](学名:''Cupressus macrocarpa''、園芸種のコニファーと同種)とともに[[林冠]]を構成している。これは原生地のモントレー郡(Monterey County)では海岸部だけで見られる光景である<ref>{{cite web |url=http://www.globaltwitcher.com/artspec_information.asp?thingid=62524 |title=Monterey Cypress (''Cupressus macrocarpa'') |last1=Hogan |first1=C. Michael |last2=Frankis |first2=Michael P. |year=2009 |publisher=GlobalTwitcher.com |accessdate=14 January 2011}}</ref>。また、モントレーの森林のうちの一つは、[[キジムシロ属]]の''Potentilla hickmanii''が発見された場所である。珍しいランの一種''Piperia yadonii''がカリフォルニア州ペブルビーチ(Pebble Beach)付近の本種の林に生えている。この他にも小型の[[ヤドリギ類]]''Arceuthobium littorum''の宿主となっていたりする<ref>[http://www.rmrs.nau.edu/publications/ah_709/index.html Hawksworth, F.G. and D. Wiens. 1996. Dwarf mistletoes: Biology, pathology and systematics. Agriculture Handbook 709. Washington, DC: U.S.D.A. Forest Service.]</ref>。この''Arceuthobium''属のヤドリギは光合成を行わず、すべての栄養を宿主に依存している。


しかし、世界に目を向けると最も植林されているマツ<ref>Critchfield, William B., and Elbert L. Little, Jr. 1966. Geographic distribution of the pines of the world. U.S. Department of Agriculture, Miscellaneous Publication 991. Washington, DC. 97 p.</ref>という面白い特徴を持つ。生長の早さ、質の良いパルプが取れるのみでなく、木材としても十分使える品質が評価されて[[オーストラリア]]、[[ニュージーランド]]、[[スペイン]]などでは外来樹種としては最も植えられている<ref name="Scott1960">Scott, C. W. 1960. ''Pinus radiata.'' Food and Agriculture Organization of the United Nations, Forestry and Forest Products Study 14. Rome, Italy. 328 p.</ref>。[[アルゼンチン]]、[[チリ]]、[[ウルグアイ]]、[[ケニア]]と[[南アフリカ]]においても主要な扱いを受けている。これらの国では自国で使うばかりでなく、輸出して外貨を獲得することも行われるし、[[天然林]]の伐採を減らすことも期待されている。ただし、日本では植えられていることは稀である[[公園]]や[[植物園]]で生体を見かけることはほとんどない。
モントレー郡(Monterey county)パシフィックグローブ(Pacific Grove)の林は長距離を移動することで有名なチョウの一種、[[オオカバマダラ]]が冬の間過ごす場所である<ref>[http://www.pgmuseum.org/Monarchs.htm Monarch Grove Sanctuary]</ref>。


逃げ出した個体が野生化し問題を引き起こしている例も知られている。ニュージーランドでは本種および[[コントルタマツ]] (''Pinus contorta'')、[[ベイマツ]] (''Pseudotsuga menzeisii'')を中心とした外来樹木の野生化が問題になっている。これら外来種の野生化は[[生物多様性]]、主要産業でもある[[牧畜]]、土地の価値に悪影響をもたらすことなどが懸念されており、行政機関やボランティアによる抜き取り・枯殺処理が行われている。
<gallery>
<gallery>
File:Cupressus macrocarpa Pinus radiata2.jpg|海岸沿い
File:Pine bark.jpg|樹皮の様子
File:Pinus Radiata detail.jpg|枝の先端部
File:Pinus radiata Cambria.jpg|霧が立ちこめる場所
File:Pinus radiata.JPG|スペインの公園にて
File:Pine cone edit.jpg|林床に落ちたradiataの松かさ
file:Wilding conifers NZ map.svg|NZで野生化が問題になっている地域
File:Arceuthobium abietinum 1.jpg|''Arcetthobium''属のヤドリギ(''A. abietinum'')。(写真は[[モミ属]]に寄生する種類で''A. littorum''とは別種)
File:Viceroy 2.jpg|「渡り」をすることで有名な蝶。オオカバマダラ。
</gallery>
</gallery>


== 原産地における保全状態 ==
== 態 ==
<!--- 外見の特徴 --->
=== カリフォルニア州 ===
樹高は10-40m程度であり産地や条件で変動するが、基変種 ''radiata'' の場合は大抵は20-30m程度、小さいと10m、大きいと40m近くになる。樹高の高い個体は小さな渓谷で見つかることが多い。[[胸高直径]]は大きく変動し条件の良い場所では60cmを超える。120cmを超える巨大なものも稀に見られる。グアダルーペ島において最も高い個体は樹高33m、胸高直径が最も太いものは211cmの記録がある。セドロス島では最も高い個体は樹高32m、胸高直径が大きいのは77cmであった<ref name="Libby,Bannister,Linhart1968"/>。
カリフォルニア州には変種''radiata''(狭義のラジアータパイン)の自生地として3か所が残っているものの、[[フザリウム]]属の菌による漏脂病(Pitch Canker)により絶滅の恐れがある状況である。菌類による病害はアメリカ南東部を起源とし、1986年以降はカリフォルニア州でも報告されるようになっている。樹木がこの病気で弱ってくると[[キクイムシ]]が集まってくるようになり、これが他の健全木への[[媒介者]]になる。一部の自生地では8割から9割の個体がこの病気に感染しており、仮に本種を中心に林業を進めているニュージーランドなどに感染が広がれば、壊滅的な影響をもたらすと懸念されている。<ref name="Gymnospermdatabase"/>


枝は被圧<ref group="注釈">被陰ともいう。日光を遮られること</ref>されると枯れてしまうものの、幹から離れにくいために枯れ枝を多くを。密集地では枝を出しにくく、枝の無い綺麗な幹になる<ref name="Sudworth,George1908"/>。成木の樹皮は鱗状に大きく裂ける。
=== バハ・カリフォルニア州 ===

グアダルーペ島(Guadalupe Island)に分布している変種''bianta''(現地名Guadalupe Pine)は[[レッドリスト]]で[[絶滅寸前]]に分類されている。この大きな原因は[[ヤギ]]による食害のためであり、種から芽生えた直後の個体まで食べられてしまった。この状態が19世紀半ばからつい最近まで続いた結果、世代交代が満足に進まず老木ばかりとなり、それらも寿命で枯れていくので、2001年から2002年の時点では100本余りが残るだけとなっていた。
針葉は基変種は8-15cmのもの3本が束生するが、変種 ''bianta'' は2枚が束生する。
これらの生存個体のうち、若い個体については2001年以降にフェンスで囲ってヤギの食害を受けないようにし、問題の本質であるヤギについても2005年までに駆除を完了した。成木の個体数が増加するには約150年かかるとみられている。対岸のカリフォルニアで蔓延する漏脂病の島への侵入は現存個体にとって最大の脅威になると懸念されている。

[[樹冠]]の発達は樹齢と空間に関係がある。混んでいる場所では小さな樹冠を付ける。旺盛に生長している個体では樹冠が平坦で歪になった後も、樹齢35年から45年程度まで成長を続ける。胸高直径が30 -45cmの個体では幅5,6mの樹冠になるが、混んでいる場所っ出はもっと小さくなる。胸高直径75cmの個体の樹冠は幅9 -12mであった。30mを超すような巨木であっても生きている枝を付けている部分の幅は樹高の1/3から1/6しかない<ref name="Lindsay1937"/>。


<gallery>
<gallery>
File:Dead pine tree.jpg|樹形。火災による枯死木。オーストラリアの人工林にて
File:Resin from Pinus Radiata Stump.JPG|樹脂(いわゆる松ヤニ)
File:Pine bark.jpg|樹皮
File:Pinus Radiata detail.jpg|葉は三針葉
File:Pinus radiata fruit.JPG|鈴なりの球果
File:Starr 051224-8594 Pinus radiata.jpg|雄花
File:Starr 030419-0172 Pinus radiata.jpg|若い球果。棘が目立つ
</gallery>
</gallery>


== 地以外での様子 ==
== 生活環 ==
<!--- 生殖・個体の再生産・ライフサイクル --->
条件さえそろえば40年程度で樹高が最大になる生長の速さ、気温や土壌に広い適性があることなどが評価されて、有用な林業樹種として世界中で植林されている。
原産地においては晩冬から早春に開花する。本種は他のマツ同様に雌雄同株であり、1つの株が雄蕊のみを持つ雄花、雌蕊のみを持つ雌花の2種類の花をつける。たくさんの雄花が枝の脇に、雌花は枝の先端部に形成されるが、雌花はまれに2年生の枝にも形成されることが見られる<ref name="Krugman,Stanley,James,Jenkinson1974">Krugman, Stanley L., and James L. Jenkinson. 1974. Pinus L., Pine. In Seeds of woody plants in the United States. p. 598-638. C. S. Schopmeyer, tech. coord. U.S. Department of Agriculture, Agriculture Handbook 450. Washington, DC.</ref>。


性成熟するのは樹齢が5年生から10年生の時期であるが、たとえ開けた条件の良い場所で育てても実際には15年生から20年生になるまで実をつけない。密集した場所ではさらに遅くなる。球果が熟すのは2年目の秋で、翌年の早春の暖かい日に鱗片を開き中の種子を散布する。熟した球果は明るい茶色で長さは8 - 18cm、中に入っている種子は楕円形で艶のある黒色で小さく平均2cmである。Cambria産の個体は最も大きな球果と種を付け、Monterey産のそれらは最も小さい<ref name="Forde,Margot1964">Forde, Margot B. 1964. Variation in natural populations of ''Pinus radiata'' in California. Part 3. Cone characters. New Zealand Journal of Botany 2(4):459-485.</ref>。1つの球果には120粒から200粒の種子がはいっている。
日本においては本格的な植林こそされていないものの、[[チリ]]や[[ニュージーランド]]で植林されたものが、丸太や製材品の形で日本に多く輸入されている。


球果は熟しても枝からは落ちにくく、長期間枝に付着したままで開閉を繰り返す。他のマツ同様、暖かく乾燥していると開いて中の種子を散布する。熱と乾燥を同時にもたらす火災が起こると、多数の球果が開き、中に入っていた多数の種子が散布される。
=== オーストラリア ===
<!---
オーストラリアでは広大なプランテーションで栽培されている。(しかし、オーストラリア全土の森林面積からみると1%に満たない)。本種が占める面積が多すぎると、在来種の野生動物のすみかが失われるということが懸念されている。ごく一部ではあるが、本種の森林に適応し、在来の環境よりも反映している種もいる。特に[[オウム]]の一種[[キイロオクロオウム]]は本種の種子を食べることが出来、従来の餌よりも好む。
低温湿層処理などを何もしていない、未処理の種子を20℃の条件で発芽させて調べたところ、1週間後のgermination energyは16%、25日後のgerminative capacityは81%だった。別の実験で日中30℃、夜間20℃の条件でgerminative capacityを調べたところ28日後のそれは67%だったという。
--->
更新するに当たり最高の条件は火災の発生である。熱と乾燥によって最大限の数の球果が開き、しかも競合する植生は一時的とはいえ壊滅し、最高の発芽床になる<ref name="Vogl,Richard,Qayne,Armstrong,Keith,White,Kenneth,Cole1977">Vogl, Richard J., Wayne P. Armstrong, Keith L. White, and Kenneth L. Cole. 1977. The closed-cone pines and cypresses. In Terrestrial Vegetation of California. p. 295-358. Michael G. Barbour and Jack Major, eds. John Wiley, New York.</ref>。だから火災の跡地にはとんでもない数の実生が生えてくることがある。火災跡地の森林において、1haあたり120万本から240万本もの実生が見られたという<ref name="Roy,Douglass1966">Roy, Douglass F. 1966. Silvical characteristics of Monterey pine (Pinus radiata D. Don). USDA Forest Service, Research Paper PSW-31. Pacific Southwest Forest and Range Experiment Station, Berkeley, CA. 21 p.</ref>。


発芽では 子葉は地上に出てくる(epigeal) 。子葉は5枚から6枚で針葉状。数カ月後には2回目の葉が生えそろうが、3年生になるまでこの2回目の葉以降を出さない。根系は多くの苗で細い直根 (taproot) が発達し、直下の地中へと延びている。実生の成長に最高なのは日差しを遮るものが何もないことである。だから伐採跡地、火災跡地は実生の発芽と速い成長に都合が良い。林地残材 (slash)がたくさんあるところでは実生の密度は下がるが、逆に少しあるぐらいならば乾燥を防ぎ実生の定着に有効である。
オーストラリアでは1950年代以降、[[ノクチリオキバチ]](''Sirex noctilio'')が寄生することによる枯死が相次いでいる。このハチはヨーロッパや北アフリカ、アジアを原産とするキバチの一種で、マツ科の樹木に産卵する。産卵時に卵とともに菌類を植え付けるのが特徴で、幼虫は材とともに菌類を食べながら育つ。これはキクイムシの仲間にも良く見られる形態であり、前述のカリフォルニアの漏脂病などもキクイムシとの共生菌が原因である。原産地のマツはこの菌に耐性があるのだが、北米大陸原産の本種は耐性がなく、一時期は80%以上を枯死させてしまうほどであった。その後マツが耐性をつけてきたこと、迅速な破砕・焼却処分、ハチに寄生する線虫の散布などによって被害は減少傾向にある。


発芽したばかりの実生はとても速く成長する。1年目の成長期を終えた実生は高さが30 - 50cmに達するのが一般的である。枝の成長は2月には始まり、9月まで続く。競合する針葉樹と比べた場合。地温が低くても生長を始める傾向があるという。土壌中の水分の欠乏が秋の成長を止める。生長の終わりは個体によって、年によって異なる<ref name="Lindsay1937"/>。5年生の苗木は胸高直径6cm、樹高6mまで成長する<ref name="Larsen et al 1915">Larsen, Louis T. 1915. Monterey pine. Society of American Foresters Proceedings 10(l):68-74.</ref>。このころには根を垂直に伸ばすよりも横に伸ばすようになる。
=== チリ ===
チリにおいては木材生産用として、在来の森林を伐採した上で、本種を植林されている<ref>[http://botany.si.edu/projects/cpd/sa/sa45.htm "TEMPERATE RAIN FOREST of Chile "]</ref>


実生の根は地温15℃のときに最もよく成長する。これは他のマツと比べると約5℃低い。本種の[[水ポテンシャル]]は-1.5 MPaまで下がるが、これは[[気孔]]の開閉だけでは達成できない数値である。同様の現象が[[ポンデローサマツ]] (''Pinus ponderosa'') やコントルタマツ (''P. contorta'') でも観察されている<ref>Kaufmann, Merrill R. 1977. Soil temperature and drought effects on growth of Monterey pine. Forest Science 23(3):317-325.</ref>。
=== ニュージーランド ===
ニュージランドにおいて、本種が最初に持ち込まれたのは1859年である<ref>[http://www.friendswbg.org.nz/downhill5a.htm ''"...he first NZ introduction of British seedlings in 1859..."'']</ref><ref>[http://www.teara.govt.nz/en/radiata-pine "Radiata pine"], Te Ara</ref>。今日では、NZの人工林において実に9割を本種が占めている<ref name="Maf">{{cite web |url=http://www.maf.govt.nz/mafnet/rural-nz/statistics-and-forecasts/sonzaf/archive/sonzaf-2007.pdf |title=Situation and outlook for New Zealand agriculture and forestry |publisher=NZ Ministry of Agriculture and Forestry |year=2007 |format=PDF |accessdate=2010-10-19}}</ref>。この数字は[[北島 (ニュージーランド)|北島]]中央部に位置し、NZ最大の人工林「Kaingaroa の森」を含む。本種は木材生産によって多大な利益をもたらす一方で、いくつかの地域においては野生化が進行している。これは他の外来のマツ科植物とともに「Wilding Conifer」や「Wilding Pine」と呼ばれて問題視されており、多額の予算をつぎ込んで生息域の拡大の防止が進めるという皮肉な状況となっている。


苗木の伸長生長<ref group="注釈">縦方向の生長のこと</ref>は条件の悪い所では15年生ぐらいぐらいから低下するが、条件の良い所では50年生ぐらいまで続くという<ref name="Larsen et al 1915"/>寿命は比較的短い。大きさは80年生から100年生程度で最大になることが多く、150年生を超す個体は少ないという<ref name="Sudworth,George1908"/>。
ニュージーランドのラジアータパインもオーストラリア同様ノクチリオキバチによる枯死が問題になった。ニュージーランドではオーストラリアよりも早くにハチが見つかり、被害も1940年代からとやや早かったが、オーストラリアほどの被害はなかった。


<gallery>
=== アメリカ合衆国 ===
File:Starr 070908-9270 Pinus radiata.jpg|焦げて開いた球果
カリフォルニア、及び気候が似ている地域では、個人宅の庭樹や、公共の場において広く植林されている。
File:Starr 070908-9134 Pinus radiata.jpg|実生
File:Starr 070908-9412 Pinus radiata.jpg|火災後の森林。たくさんの実生が見える
</gallery>

== 生態 ==
<!--- 他の生物との関係・ただし人間との関係を除く --->
=== 他の植物との関係 ===
Ano Nuevoにおいて混生し、上層を構成する樹種には以下のようなものがある。ベイマツ (''Pseudotsuga menzeisii'')、[[セコイア]] (''Sequoia semeperviens''), ポンデローサマツ(''Pinus ponderosa''), ''P. attenuata'', ''Quercus agrifolia'', ''Arbutus menziesii''など。

島嶼部での混生する植生はとても貧弱である。グアダルーペ島においてはナラの一種''Quercus tomentella''、''Eryghea edulls''や草本と混生する。セドロス島においてはビショップマツ (''Pinus muricata'')、''Yucca'' spp. や''Oputia'' spp. と混生する。

本種は上層木にもなり、下層木にもなることがあることことから、中程度の耐陰性を持つとの評価である<ref>Baker, Frederick S. 1949. A revised tolerance table. Journal of Forestry 47(3):179-181.</ref>。耐陰性は樹齢とともに変化し、稚樹の時は高いが生長するにつれて低くなっていくという<ref name="Larsen et al 1915"/>。

本種には[[ヤドリギ類|ヤドリギの一種]] ''Arceuthobium occidentale'' が寄生することがある。樹齢は関係無いようであるが、Ano Nuevoでは見られないという<ref>Roy, Douglass F. 1966. Silvical characteristics of Monterey pine (''Pinus radiata'' D. Don). USDA Forest Service, Research Paper PSW-31. Pacific Southwest Forest and Range Experiment Station, Berkeley, CA. 21 p.</ref>。

火災が無い場合は本種よりも高く成長し、より長寿な植物、たとえば[[ベイマツ]] (''Pseudotsuga menzeisii''、ダグラス・ファーとも)が優勢になると見られている。カリフォルニアにおいては本種の同齢林<ref group="注釈">同じ樹齢の個体が多数集まって構成されている森林</ref>が見られることが多いが、これは火災跡地に再生してきたことを示している。


ニュージーランドにおける外来針葉樹の野生化問題では高木であるこれらの樹種が、低木や草本を被圧して悪影響をもたらすことが懸念されている。
アメリカにもノクチリオキバチが侵入していることが確認されている。本種を始め、北米特産のマツは耐性のないものが多く、その拡大が危惧されている。

<gallery>
File:Wilding pines, Canterbury, New Zealand.jpg|NZの草原に侵入した外来針葉樹
</gallery>

=== 動物との関係 ===
何種類もの昆虫がマツの色々な部位を餌として利用している。葉を食べるものは44属56種に上るという<ref>Furniss, R. L., and V. M. Carolin. 1977. Western forest insects. U.S. Department of Agriculture, Miscellaneous Publication 1339. Washington, DC. 654 p.</ref>。[[ゾウムシ]]や[[キクイムシ]]の仲間は[[形成層]]を食べるために若い個体では枯死に結びつくことがある。

[[ユーラシア]]地域を原産とする[[ノクチリオキバチ]] (''Sirex noctilio'') は産卵時に卵と共にある種の菌類をマツに注入する。幼虫はマツの材だけでなく菌類も同時に食べて育つ。原産地のマツはこの菌類に抵抗性があるが、アメリカ大陸原産の本種は感受性が高く寄生されると、導水障害を起こして枯れてしまうことも多い。キバチは[[オセアニア]]や[[南米]]などにも侵入し、特にオーストラリアの植林地では1950年代の一時期壊滅的な被害を出したところもある<ref>二井一禎, 肘井直樹. 2000. 森林微生物生態学. 朝倉書店. 東京.</ref>。キバチは北米大陸にも侵入が確認されており、本種以外にも抵抗力のないマツが多いアメリカではその拡大が危惧されている<ref>USDA PEST alert "Sirex woodwasp"</ref>。

ある種の鳥類と小型哺乳類の中には本種の種子に大きく依存して生活して生活しているものも知られている。[[アメリカカケス]] (''Aphelocoma californica'')、ステラーカケス (''Cyanocitta stelleri'')などは特に顕著である。小型哺乳類で大事なのはシカシロアシネズミ (''Peromyscus maniculatus'')、シマリス類やジリス類 (ground squirrels)などが挙げられている<ref>Coleman, George A. 1905. Report upon Monterey pine, made for the Pacific Improvement Company. Unpublished report, Pacific Southwest Forest and Range Experiment Station, Redding, CA. 74 p.</ref>。

グアダルーペ島においては野生化した[[ヤギ]]が実生や苗木を食べてしまうので、更新が進まずに絶滅寸前まで個体数が減少している。ヤギの駆除は2005年に完了したものの、成木の個体数が回復するには長い年月がかかるとみられている。

牧畜の盛んなニュージーランドでは本種の人工林内に家畜を放牧することもよく研究されている。林内放牧、 (Forest Farming、林間放牧) と呼ばれる[[アグロフォレストリー]]の一種である<ref>[http://www.insights.co.nz/sustainable_plantations_wrp.aspx THE PREFERRED SPECIES]</ref>。


<gallery>
<gallery>
File:Pine tree forest02.jpg|オーストラリアの植林地
File:Wilding conifers NZ map.svg|ニュージーランドにおいて野生化した個体が問題となっている地域
File:Firewoodposter2.jpg|薪の移動を控えるように呼び掛けるポスター。アメリカ
File:Firewoodposter2.jpg|薪の移動を控えるように呼び掛けるポスター。アメリカ
file:Sirex noctilio Pinus radiata.jpg|ノクチリオキバチの成虫。キバチは腰が太い原始的なハチである。
file:Sirex noctilio Pinus radiata.jpg|ノクチリオキバチの成虫。キバチは腰が太い原始的なハチである。
</gallery>
</gallery>


== 利用 ==
=== 微生物との関係 ===
他のマツ同様、[[根]]と[[菌類]]が[[共生]]して出来た[[菌根]]を形成し、相互に有益な関係を築いている。本種と菌根を形成する菌類は7種類とも<ref name="Chu-Chou, Myra.1985">Chu-Chou, Myra. 1985. Effect of different mycorrhizal fungi on Pinus radiata seedling growth. In Proceedings of the 6th North American Conference on Mycorrhizae, June 25-29, 1984, Bend, Oregon. p. 208. Forest Research Laboratory, Oregon State University, Corvallis</ref>、16種類以上<ref name="Offord et al 1964"/>とも言われている。いくつかある菌根菌の中でも特にショウロ (''Rhizopogon rubescens'')と[[ホンショウロ]] (''R. luteolus'')はマツの伸長成長、マツへの栄養分供給能力において最も優れているという<ref name="Chu-Chou, Myra.1985"/>
辺材は淡い色をしており、心材はそれよりもやや濃く淡い褐色を示す。生長の良い若い木では辺材が大部分を占める。[[年輪]]はあまり明確ではなく、肌目は均一である。乾燥は早くて狂いも少ない。加工性も良好で、[[比重]]の割には強いが耐久性は低いとされる<ref>大図説世界の木材The International Book of Wood (小学館)</ref>。


一方でマツに害を与える菌も多い。マツ類、トウヒ類、モミ類など各種針葉樹を侵し、欧米で大きな問題になっている[[マツノネクチタケ]] (''Heterobasidion annosum'') による被害は本種でも発生している。マツノネクチタケと並ぶ病原菌である[[ナラタケ]]類 (''Armillaria'' spp.)による[[ならたけ病]]はナラ類と混生しているところでは被害があるものの、本種はあまり侵されないという。
木材として利用する場合、一般的には薬剤処理が扱われ、浸したり圧力をかける処理が行われる。このような処理を受けたものは、[[下見板]]、[[柱]]、桁、[[合板]]などとして家の建築用材や[[コンクリート]]の[[型枠]]材、木造[[ボート]]を作るのに使われる。ボートに使う用いるときは多くの場合、防水処理のために[[エポキシ樹脂]]でコーティングされる。品質が低いものについては破砕処理され、[[ウッドチップ]]になる。チップは製紙原料として[[リグニン]]の除去、漂泊処理などを受けて[[パルプ]]になったり、微細なチップを高温高圧条件で接着した[[パーティクルボード]]の原料となる。パーティクルボードは遮音性に優れるので、[[フローリング]]などに使用される。


カリフォルニアでは[[フザリウム]]の一種[[:en:Fusarium circinatum|''Fusarium circinatum'']]による病気が大きな問題になっている。同じ菌は日本の[[リュウキュウマツ]]で問題になっており、'''マツ類漏脂胴枯病'''などと呼ばれている。
== 問題 ==
<gallery>
本種のように原産地を離れたところで栽培される種は、栽培地で見れば[[外来種]]であり、現地の[[生態系]]や人々の生活に多大な影響を及ぼす恐れがある。
file:Rhizopogon rubescens.jpg|ショウロ
file:Pine pitch canker.jpg|漏脂胴枯病により枝葉の枯死が見られる[[モンチコラマツ]] ''P. monticola''
file:Heterobasidion.annosum2.-.lindsey.jpg|マツノネクチタケ
</gallery>


== 脚注 ==
== 人間との関係 ==
<!--- 木材・特用林産物の性質なども --->
{{reflist|2}}
辺材は淡い色をしており、心材はそれよりもやや濃く淡い褐色を示す。生長の良い若い木では辺材が大部分を占める。[[年輪]]はあまり明確ではなく、肌目は均一である。乾燥は早くて狂いも少ない。加工性も良好で、[[比重]]の割には強いが耐久性は低いとされる<ref>平井信二, 小原二郎. 1979. 大図説世界の木材 The International Book of Wood. 小学館. 東京</ref>。


木材として利用する場合、一般的には薬剤処理が扱われ、浸したり圧力をかける処理が行われる。このような処理を受けたものは、[[下見板]]、[[柱]]、桁、[[合板]]などとして家の建築用材や[[コンクリート]]の[[型枠]]材、木造[[ボート]]を作るのに使われる。ボートに使う用いるときは多くの場合、防水処理のために[[エポキシ樹脂]]でコーティングされる。品質が低いものについては破砕処理され、[[ウッドチップ]]になる。チップは製紙原料として[[リグニン]]の除去、漂泊処理などを受けて[[パルプ]]になったり、微細なチップを高温高圧条件で接着した[[パーティクルボード]]の原料となる。パーティクルボードは遮音性に優れるので、[[フローリング]]などに使用される。
== 出典・参考文献 ==

* (財)日本木材総合情報センター
本種を中心に林業を行っているニュージーランドやチリから輸入される木材は[[財務省]]の貿易統計、[[林野庁]]の木材需給表などでも「その他」で括られずに個別の値が出ている。一例として日本に輸入されるニュージーランド材についてみてみると、平成12年度(2000年)に日本がニュージーランドから輸入している木材<ref group="注釈">丸太の材積に丸太以外のもの(製材品、パルプチップ、合板)は丸太材積に換算したものを足したもの</ref>は丸太換算にして約4300千㎥強(全輸入量の4.4%)である。ニュージーランドからの輸入はこの年をピークに減少しており、平成20年(2008年)のそれは約3000千㎥(全輸入量の3.8%)となっている。平成12年度の内訳は丸太が1843千㎥(このうち製材用丸太が1058㎥)で、製材品が433千㎥(丸太換算)となっている<ref name="">林野庁 (編). 2010. 平成22年版 森林・林業白書. 全国林業改良普及協会. 東京. 付表pp12 -13</ref>。
* 平成22年度版 森林・林業白書(林野庁編)


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
[[file:One Tree Hill Auckland by Sajeewa.jpg|thumb|200px|right|記念碑の立つ丘の頂]]
* [[植林活動]]
; ワンツリーヒル ([[:en:One Tree Hill, New Zealand|One Tree Hill]])
* [[人工林]]
: ニュージランド北部[[オークランド (ニュージーランド)|オークランド]] (Auckland) 近郊にある標高182mの小高い丘である。この丘の頂上に本種の有名な個体があった。この場所は[[地峡]]に位置し、その展望のよさ、急斜面と崩れやすい地質のため敵が進行しにくいといった防衛上の利点、海が近いため食料を手にしやすいなどの理由で当地の先住民[[マオリ]]の部族が古くから暮らしていた。丘の名前は白人の入植者たちがオークランドを発見したとき、この丘の頂近くに1本の木(one tree)を見つけたことに由来する。マオリの言葉ではこの場所を'''Maungakiekie'''と呼び、「kiekie (''Freycinetia banksii'') の生える山」、もしくは「1本のtotara (''Podocarpus totara''、マオリが神聖な木として崇める樹種) 」という意味だという。白人たちはこの木を切り倒し、1本のラジアータマツを植えた。マツは大木に生長し、丘の象徴となっていたものの1994年10月と2000年10月に政府に不満を持つマオリによって[[チェーンソー]]で襲撃を受けた。特に2000年の攻撃では個体の半分が枯死する致命傷を負い、同月下旬に伐採・撤去された。この個体は幹の部分の円盤標本を含め多くの部位が保存されている。巨木の消えた丘は、洒落を含めてノンツリーヒル (None Tree Hill、木が無い丘) などと呼ばれている<ref>[[:en:One Tree Hill, New Zealand]] 00:47, 5 March 2012‎ UTC の版</ref>。

== 注釈 ==
<references group="注釈"/>

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{reflist}}

== 参考文献 ==
* Wikipedia 英語版 [[:en:Pinus radiata]]
* United States Department of Agriculture Forest Service "Monterey pine"


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
{{Commons|Pinus radiata}}
{{commons|Pinus radiata}}
* [http://plants.usda.gov/java/profile?symbol=PIRA2 ''Pinus radiata''] [[アメリカ合衆国農務省]]
* [http://plants.usda.gov/java/profile?symbol=PIRA2 ''Pinus radiata''] 合衆国農務省 (United States Department of Agriculture, USDA)
* [http://www.conifers.org/pi/pin/radiata.htm conifers.org - ''Pinus radiata'']
* [http://www.conifers.org/pi/pin/radiata.htm conifers.org - ''Pinus radiata'']
* [http://www.fs.fed.us/database/feis/plants/tree/pinrad/all.html ''Pinus radiata''] アメリカ合衆国農務省林野局
* [http://www.fs.fed.us/database/feis/plants/tree/pinrad/all.html ''Pinus radiata''] 合衆国農務省林野局 (USDA Forest Service)
* [http://www.doc.govt.nz/conservation/threats-and-impacts/weeds/common-weeds-in-new-zealand/wilding-pines Wilding Pines: Weeds] Department of Conservation (ニュージーランド自然保護省)による野生化問題と対策の紹介

* [http://www.wildingconifers.org.nz New Zealand Wilding Conifer Management Group] ニュージーランドにおける野生化問題を取り扱うサイト
{{デフォルトソート:らしああたはいん}}
{{デフォルトソート:らしあたまつ}}
{{Plant-stub}}


[[Category:マツ属]]
[[Category:マツ属]]

2012年4月29日 (日) 12:05時点における版

ラジアータマツ
ラジアータマツの幼木
分類
: 植物界 Plantae
: 裸子植物門 Pinophyta
亜門 : マツ亜門 Pinophytina
: マツ綱 Pinopsida
亜綱 : マツ亜綱 Pinidae
: マツ目 Pinales
: マツ科 Pinaceae
: マツ属 Pinus
: ラジアータマツ P. radiata
学名
Pinus radiata D.Don
和名
モントレーマツラジアータマツ、ラジアータパイン
英名
Monterey Pine, Radiata Pine
Pinus radiataの原産地

ラジアータパイン (Pinus radiata) はマツ科マツ属の樹木である。

名前と分類

マツ科マツ属、いわゆるマツ(松)の仲間の一種。以下の2変種が認められている。

  • Pinus radiata var.radiata (基変種)
  • P. radiata var. bianta

基変種 Pinus radiata var. radiata について産地別に枝、針葉や球果を多数集めたところ、Cambria の個体群は変種とまではいかないものの他の2つの生息地と違う傾向が見られた。オーストラリアの研究ではこれらの形態・表現型的な違いに加えて遅い成長率、季節ごとの成長に違いが見出されており、おそらく遺伝子的に他の個体群と異なるとされている[1]。近年の研究では各生息地間に僅かな遺伝子的な差異が認められた。そのほとんどは生息地に固有のものだという[2]

本種とPinus attenuataビショップマツ (Pinus muricata) との間で大きく遺伝子移入があるという証拠はないが、雑種の出現は地域的にしか見られない[1]

学名Pinus radiata の種小名 radiata は英語のradial(放射状) に由来し、毬果の鱗片の特徴に基づいて名付けられた。英名として一般的な Montrey Pine は本種が広く分布するカリフォルニア州の半島の名前に由来する。他の名前としてはスペイン語風の インシグニスマツ (pino insignisが由来) や 種小名 radiata からRadiata pineと呼ばれることも多い。種小名由来の名称は世界的によく使われる。

日本でもMonterey Pineを直訳したモントレーマツが標準和名として与えられているが、種小名に由来するラジアタマツラジアータマツ、ラジアータパインなどと呼ばれることも多い。ラディアタと表記されることもある。木材の輸入先として大きなニュージーランドやチリを頭に付けたニュージーランドマツチリーマツという表記も木材・建築業界など、一部で使われているようである[3]

分布

基変種、変種ともに自生地は非常に限られている。 基変種はアメリカ合衆国西部カリフォルニア州セントラルコースト (Central coast) の互いに隔絶した3地点、サンマテオ郡 (San Mateo), サンタクルーズ郡 (Santa Cruz), サンルイスオビスポ郡 (San Luis Obispo) で確認されている。この3地点の中で最も北にある場所はAno Nuevoの東側である。同様に真ん中の場所はMonterey や Carmel から約50km南に行ったところである。一番南の場所は Pico Creek Cambria 地域から約100 km離れている[4]。一番北の場所から一番南の場所までは約200 km離れている。いずれの場所でも海岸に比較的近い場所に生えており、海岸から10 km以上離れた内陸に場所に生えていることはほとんどない。本項では以下、これらカリフォルニアの3地点について近隣の名前をとり、Ano Nuevo(最も北の地点)、Monterey(真ん中の地点)、Cambria(最も南の地点)と記す。

変種 P. radiata var. biantaグアダルーペ島 (英語: Guadalupe islandスペイン語: Isla Guadalupe) とセドロス島 (英語:Cedros Island、スペイン語: Isla Cedros) に分布していることが確認されている。これらの島は基変種の分布する南限カリフォルニア州 Cambria からそれぞれ約750km、約900kmも離れた太平洋上の小島である[5]

本種の生育する地域の気候太平洋を流れる寒流 (カリフォルニア海流)の影響を強く受けており、湿度が高く、気温は低く、にはが発生する。生息地の一つカリフォルニア州 Monterey の湿度が最低になるのは7月であるが、その時でも平均で60-70%であり湿度は高い[6]。霧は年間の1/3以上の日に発生する[7]

気温の変動は全体的に少ない。とは言っても細かく見れば―5℃から40℃まで幅がある。月平均気温で比べてみると、最も寒い月と最も暑い月で比べてみるとその差は約7℃であり、寒暖の差は少ないと言える。具体的には冬の平均気温が9℃から11℃、夏の平均気温が16℃から18℃である。成長期に当たる2月から6月の平均気温は11℃から16℃で、最高気温は17℃から24℃である[8]の降りない期間は年間約300日である。

年間降水量は約400- 900mmであり、年によって変動する。このうち、12月から3月までに300 - 500mmの降水があるが、残りの時期は月平均50mmにも満たない。特に7月と8月は雨が降らないことが多い。降水による水分が期待できない季節、樹木は海から内陸へと移動してきた霧を浴びることで、樹冠から水分を吸収している。モントレー半島 (Monterey Peninsula) の高所では霧を浴びることで一週間当たり15mmの降水量に相当する水分を得ている[9]は原産地においては降らない。アメリカ本土の3か所の分布地を湿度の点で見るとAno Nuevoは最も降水量が多く、Monterey は最も霧が多い、Cambria は最も乾燥している[10]。原産地付近での風は弱く、年間平均で2m/s程度である。5月は最も風が強く、8月がもっとも弱い[6]

グアダルーペ島とセドロス島の気候は地中海性気候が色濃く出ており、アメリカ本土よりも雨は少なく気温の変動は極端である。どちらの島でも分布域は霧の影響が強く、マツは霧の切れ間で風上の斜面に生息することが多い。稀に水分の多い深い谷の斜面でも見られる。セドロス島ではマツが生育する場所は霧が最も頻繁に発生し、集中するような場所である[11]

原産地における分布域は狭いながらも、生育する土壌は変化に富んでいる。 Ano Nuevo では基岩(underlying rock)は頁岩ないしは海底由来の砂岩 (marine sandstone)である。Monterey においてはこれらに加えて花崗岩も含まれる。Cambria においては石灰岩、砂岩、チャート粘板岩である。

アメリカ本土のAno Nuevo, Monterey, Cambriaの3か所の地質はいずれもよく似ている。大部分は砂っぽいロームでしばしば海に由来する堆積物である。マツにとって良い場所では有機物の厚い堆積が見られる。有機物の体積は8 - 15cmの層となることが多く、内部には水や適度の栄養分を含む。このような土壌は斜面で見つかることが多く、水はけが良いのも特徴である。深さ50 -85cmのところには粘土層がある。粘土層はとても大切である。マツの根は一般的にこの層よりも下には伸びていかないが、根の多くはこの層を僅かに貫通する。このような根は根と菌類の共生の形態である菌根が形成されている[12]。土壌は一般的に酸性を示し、土層の上部、もしくは粘土層内部は特に酸性が強くなることが多い。粘土の水はけの悪さと酸性の強さが相まって、菌根の形成に良い影響を与えると考えられている。

本種が好むのは一般的に丘のような地形か緩やかな斜面である。Santa Luica 山脈では例外的に標高300mの場所に分布しているが、他の場所では海岸と険しい内陸の山岳地帯の間の緩やかな起伏である。アメリカ本土の分布域においてはどの地点でも北斜面に好んで分布することは共通している。他にAno Nuevoでは他のどの方位の斜面にも見られ、Montereyにおいては南向きの狭い谷で見られるが、分布の南限Cambriaでは北側の斜面以外には全く見られなくなる。メキシコの島嶼部ではゆるい所から急なところまで、傾斜の度合いにかかわらず斜面に見られる。標高はグアダルーペ島で300 - 1100m、セドロス島で270 -650mぐらいである[5]

分布を制限するものは各地で異なる。Ano Nuevoにおいては海岸に近い場所の浅い土壌が分布を制限する要因と見られる。Montereyにおいては降水量の少なさに加えて、土壌の深さ・構造・粘土層の位置などが分布に影響している。Cambriaにおいては気候と土壌の関係上、高木が成立出来ずに草や低木に移行していくと考えられる。

化石の記録では、更新世後期には現在よりも広い範囲に分布していたことが伺える。この時代は氷河期であり海岸線は今よりも後退していた。現在は海中となるような場所や現在は島となっているような場所、具体的にはTomales Bay, Littele Sur, Carpinteria, Rancho La Brea, and Santa Cruz Islandで化石が発見されている[13]

本種は天然分布が狭いだけでなく、アメリカでは林業用樹種としてもほとんど使われていない。1960年代の資料によれば、アメリカ本土における分布面積は推定で4,900haから6,500ha程度であるとみられている[14]。しかし、その後の変動、特に増加が顕著であるためにこの値は今では当てにならない。たとえば、Ano Nuevo近郊では1970年代に95ha増加している[15]。これは植林したことによっての増加である。しかし、そのような増加を含めても、メキシコの島を合わせた全ての面積は8000haに満たないとみられている[5]

しかし、世界に目を向けると最も植林されているマツ[16]という面白い特徴を持つ。生長の早さ、質の良いパルプが取れるのみでなく、木材としても十分使える品質が評価されてオーストラリアニュージーランドスペインなどでは外来樹種としては最も植えられている[8]アルゼンチンチリウルグアイケニア南アフリカにおいても主要な扱いを受けている。これらの国では自国で使うばかりでなく、輸出して外貨を獲得することも行われるし、天然林の伐採を減らすことも期待されている。ただし、日本では植えられていることは稀である公園植物園で生体を見かけることはほとんどない。

逃げ出した個体が野生化し問題を引き起こしている例も知られている。ニュージーランドでは本種およびコントルタマツ (Pinus contorta)、ベイマツ (Pseudotsuga menzeisii)を中心とした外来樹木の野生化が問題になっている。これら外来種の野生化は生物多様性、主要産業でもある牧畜、土地の価値に悪影響をもたらすことなどが懸念されており、行政機関やボランティアによる抜き取り・枯殺処理が行われている。

形態

樹高は10-40m程度であり産地や条件で変動するが、基変種 radiata の場合は大抵は20-30m程度、小さいと10m、大きいと40m近くになる。樹高の高い個体は小さな渓谷で見つかることが多い。胸高直径は大きく変動し条件の良い場所では60cmを超える。120cmを超える巨大なものも稀に見られる。グアダルーペ島において最も高い個体は樹高33m、胸高直径が最も太いものは211cmの記録がある。セドロス島では最も高い個体は樹高32m、胸高直径が大きいのは77cmであった[5]

枝は被圧[注釈 1]されると枯れてしまうものの、幹から離れにくいために枯れ枝を多くを。密集地では枝を出しにくく、枝の無い綺麗な幹になる[7]。成木の樹皮は鱗状に大きく裂ける。

針葉は基変種は8-15cmのもの3本が束生するが、変種 bianta は2枚が束生する。

樹冠の発達は樹齢と空間に関係がある。混んでいる場所では小さな樹冠を付ける。旺盛に生長している個体では樹冠が平坦で歪になった後も、樹齢35年から45年程度まで成長を続ける。胸高直径が30 -45cmの個体では幅5,6mの樹冠になるが、混んでいる場所っ出はもっと小さくなる。胸高直径75cmの個体の樹冠は幅9 -12mであった。30mを超すような巨木であっても生きている枝を付けている部分の幅は樹高の1/3から1/6しかない[6]

生活環

原産地においては晩冬から早春に開花する。本種は他のマツ同様に雌雄同株であり、1つの株が雄蕊のみを持つ雄花、雌蕊のみを持つ雌花の2種類の花をつける。たくさんの雄花が枝の脇に、雌花は枝の先端部に形成されるが、雌花はまれに2年生の枝にも形成されることが見られる[17]

性成熟するのは樹齢が5年生から10年生の時期であるが、たとえ開けた条件の良い場所で育てても実際には15年生から20年生になるまで実をつけない。密集した場所ではさらに遅くなる。球果が熟すのは2年目の秋で、翌年の早春の暖かい日に鱗片を開き中の種子を散布する。熟した球果は明るい茶色で長さは8 - 18cm、中に入っている種子は楕円形で艶のある黒色で小さく平均2cmである。Cambria産の個体は最も大きな球果と種を付け、Monterey産のそれらは最も小さい[1]。1つの球果には120粒から200粒の種子がはいっている。

球果は熟しても枝からは落ちにくく、長期間枝に付着したままで開閉を繰り返す。他のマツ同様、暖かく乾燥していると開いて中の種子を散布する。熱と乾燥を同時にもたらす火災が起こると、多数の球果が開き、中に入っていた多数の種子が散布される。 更新するに当たり最高の条件は火災の発生である。熱と乾燥によって最大限の数の球果が開き、しかも競合する植生は一時的とはいえ壊滅し、最高の発芽床になる[18]。だから火災の跡地にはとんでもない数の実生が生えてくることがある。火災跡地の森林において、1haあたり120万本から240万本もの実生が見られたという[19]

発芽では 子葉は地上に出てくる(epigeal) 。子葉は5枚から6枚で針葉状。数カ月後には2回目の葉が生えそろうが、3年生になるまでこの2回目の葉以降を出さない。根系は多くの苗で細い直根 (taproot) が発達し、直下の地中へと延びている。実生の成長に最高なのは日差しを遮るものが何もないことである。だから伐採跡地、火災跡地は実生の発芽と速い成長に都合が良い。林地残材 (slash)がたくさんあるところでは実生の密度は下がるが、逆に少しあるぐらいならば乾燥を防ぎ実生の定着に有効である。

発芽したばかりの実生はとても速く成長する。1年目の成長期を終えた実生は高さが30 - 50cmに達するのが一般的である。枝の成長は2月には始まり、9月まで続く。競合する針葉樹と比べた場合。地温が低くても生長を始める傾向があるという。土壌中の水分の欠乏が秋の成長を止める。生長の終わりは個体によって、年によって異なる[6]。5年生の苗木は胸高直径6cm、樹高6mまで成長する[20]。このころには根を垂直に伸ばすよりも横に伸ばすようになる。

実生の根は地温15℃のときに最もよく成長する。これは他のマツと比べると約5℃低い。本種の水ポテンシャルは-1.5 MPaまで下がるが、これは気孔の開閉だけでは達成できない数値である。同様の現象がポンデローサマツ (Pinus ponderosa) やコントルタマツ (P. contorta) でも観察されている[21]

苗木の伸長生長[注釈 2]は条件の悪い所では15年生ぐらいぐらいから低下するが、条件の良い所では50年生ぐらいまで続くという[20]寿命は比較的短い。大きさは80年生から100年生程度で最大になることが多く、150年生を超す個体は少ないという[7]

生態

他の植物との関係

Ano Nuevoにおいて混生し、上層を構成する樹種には以下のようなものがある。ベイマツ (Pseudotsuga menzeisii)、セコイア (Sequoia semeperviens), ポンデローサマツ(Pinus ponderosa), P. attenuata, Quercus agrifolia, Arbutus menziesiiなど。

島嶼部での混生する植生はとても貧弱である。グアダルーペ島においてはナラの一種Quercus tomentellaEryghea edullsや草本と混生する。セドロス島においてはビショップマツ (Pinus muricata)、Yucca spp. やOputia spp. と混生する。

本種は上層木にもなり、下層木にもなることがあることことから、中程度の耐陰性を持つとの評価である[22]。耐陰性は樹齢とともに変化し、稚樹の時は高いが生長するにつれて低くなっていくという[20]

本種にはヤドリギの一種 Arceuthobium occidentale が寄生することがある。樹齢は関係無いようであるが、Ano Nuevoでは見られないという[23]

火災が無い場合は本種よりも高く成長し、より長寿な植物、たとえばベイマツ (Pseudotsuga menzeisii、ダグラス・ファーとも)が優勢になると見られている。カリフォルニアにおいては本種の同齢林[注釈 3]が見られることが多いが、これは火災跡地に再生してきたことを示している。

ニュージーランドにおける外来針葉樹の野生化問題では高木であるこれらの樹種が、低木や草本を被圧して悪影響をもたらすことが懸念されている。

動物との関係

何種類もの昆虫がマツの色々な部位を餌として利用している。葉を食べるものは44属56種に上るという[24]ゾウムシキクイムシの仲間は形成層を食べるために若い個体では枯死に結びつくことがある。

ユーラシア地域を原産とするノクチリオキバチ (Sirex noctilio) は産卵時に卵と共にある種の菌類をマツに注入する。幼虫はマツの材だけでなく菌類も同時に食べて育つ。原産地のマツはこの菌類に抵抗性があるが、アメリカ大陸原産の本種は感受性が高く寄生されると、導水障害を起こして枯れてしまうことも多い。キバチはオセアニア南米などにも侵入し、特にオーストラリアの植林地では1950年代の一時期壊滅的な被害を出したところもある[25]。キバチは北米大陸にも侵入が確認されており、本種以外にも抵抗力のないマツが多いアメリカではその拡大が危惧されている[26]

ある種の鳥類と小型哺乳類の中には本種の種子に大きく依存して生活して生活しているものも知られている。アメリカカケス (Aphelocoma californica)、ステラーカケス (Cyanocitta stelleri)などは特に顕著である。小型哺乳類で大事なのはシカシロアシネズミ (Peromyscus maniculatus)、シマリス類やジリス類 (ground squirrels)などが挙げられている[27]

グアダルーペ島においては野生化したヤギが実生や苗木を食べてしまうので、更新が進まずに絶滅寸前まで個体数が減少している。ヤギの駆除は2005年に完了したものの、成木の個体数が回復するには長い年月がかかるとみられている。

牧畜の盛んなニュージーランドでは本種の人工林内に家畜を放牧することもよく研究されている。林内放牧、 (Forest Farming、林間放牧) と呼ばれるアグロフォレストリーの一種である[28]

微生物との関係

他のマツ同様、菌類共生して出来た菌根を形成し、相互に有益な関係を築いている。本種と菌根を形成する菌類は7種類とも[29]、16種類以上[14]とも言われている。いくつかある菌根菌の中でも特にショウロ (Rhizopogon rubescens)とホンショウロ (R. luteolus)はマツの伸長成長、マツへの栄養分供給能力において最も優れているという[29]

一方でマツに害を与える菌も多い。マツ類、トウヒ類、モミ類など各種針葉樹を侵し、欧米で大きな問題になっているマツノネクチタケ (Heterobasidion annosum) による被害は本種でも発生している。マツノネクチタケと並ぶ病原菌であるナラタケ類 (Armillaria spp.)によるならたけ病はナラ類と混生しているところでは被害があるものの、本種はあまり侵されないという。

カリフォルニアではフザリウムの一種Fusarium circinatumによる病気が大きな問題になっている。同じ菌は日本のリュウキュウマツで問題になっており、マツ類漏脂胴枯病などと呼ばれている。

人間との関係

辺材は淡い色をしており、心材はそれよりもやや濃く淡い褐色を示す。生長の良い若い木では辺材が大部分を占める。年輪はあまり明確ではなく、肌目は均一である。乾燥は早くて狂いも少ない。加工性も良好で、比重の割には強いが耐久性は低いとされる[30]

木材として利用する場合、一般的には薬剤処理が扱われ、浸したり圧力をかける処理が行われる。このような処理を受けたものは、下見板、桁、合板などとして家の建築用材やコンクリート型枠材、木造ボートを作るのに使われる。ボートに使う用いるときは多くの場合、防水処理のためにエポキシ樹脂でコーティングされる。品質が低いものについては破砕処理され、ウッドチップになる。チップは製紙原料としてリグニンの除去、漂泊処理などを受けてパルプになったり、微細なチップを高温高圧条件で接着したパーティクルボードの原料となる。パーティクルボードは遮音性に優れるので、フローリングなどに使用される。

本種を中心に林業を行っているニュージーランドやチリから輸入される木材は財務省の貿易統計、林野庁の木材需給表などでも「その他」で括られずに個別の値が出ている。一例として日本に輸入されるニュージーランド材についてみてみると、平成12年度(2000年)に日本がニュージーランドから輸入している木材[注釈 4]は丸太換算にして約4300千㎥強(全輸入量の4.4%)である。ニュージーランドからの輸入はこの年をピークに減少しており、平成20年(2008年)のそれは約3000千㎥(全輸入量の3.8%)となっている。平成12年度の内訳は丸太が1843千㎥(このうち製材用丸太が1058㎥)で、製材品が433千㎥(丸太換算)となっている[31]

関連項目

記念碑の立つ丘の頂
ワンツリーヒル (One Tree Hill)
ニュージランド北部オークランド (Auckland) 近郊にある標高182mの小高い丘である。この丘の頂上に本種の有名な個体があった。この場所は地峡に位置し、その展望のよさ、急斜面と崩れやすい地質のため敵が進行しにくいといった防衛上の利点、海が近いため食料を手にしやすいなどの理由で当地の先住民マオリの部族が古くから暮らしていた。丘の名前は白人の入植者たちがオークランドを発見したとき、この丘の頂近くに1本の木(one tree)を見つけたことに由来する。マオリの言葉ではこの場所をMaungakiekieと呼び、「kiekie (Freycinetia banksii) の生える山」、もしくは「1本のtotara (Podocarpus totara、マオリが神聖な木として崇める樹種) 」という意味だという。白人たちはこの木を切り倒し、1本のラジアータマツを植えた。マツは大木に生長し、丘の象徴となっていたものの1994年10月と2000年10月に政府に不満を持つマオリによってチェーンソーで襲撃を受けた。特に2000年の攻撃では個体の半分が枯死する致命傷を負い、同月下旬に伐採・撤去された。この個体は幹の部分の円盤標本を含め多くの部位が保存されている。巨木の消えた丘は、洒落を含めてノンツリーヒル (None Tree Hill、木が無い丘) などと呼ばれている[32]

注釈

  1. ^ 被陰ともいう。日光を遮られること
  2. ^ 縦方向の生長のこと
  3. ^ 同じ樹齢の個体が多数集まって構成されている森林
  4. ^ 丸太の材積に丸太以外のもの(製材品、パルプチップ、合板)は丸太材積に換算したものを足したもの

脚注

  1. ^ a b c Forde, Margot B. 1964. Variation in natural populations of Pinus radiata in California. Part 3. Cone characters. New Zealand Journal of Botany 2(4):459-485.
  2. ^ Moran, G. F., J. C. Bell, and K. G. Eldridge. 1988. The genetic structure and the conservation of the five natural populations of Pinus radiata. Canadian Journal of Forest Research 18:506-514.
  3. ^ 木のあるくらし ラジアータマツ、ラジアータパイン
  4. ^ Griffin, James R., and William B. Critchfield. 1972. (Reprinted with supplement, 1976). The distribution of forest trees in California. USDA Forest Service, Research Paper PSW-82. Pacific Southwest Forest and Range Experiment Station, Berkeley, CA. 118 p.
  5. ^ a b c d Libby, W. J., M. H. Bannister, and Y. B. Linhart. 1968. The pines of Cedros and Guadalupe Islands. Journal of Forestry 66(11):846-853.
  6. ^ a b c d Lindsay, A. D. 1937. Report on Monterey pine (Pinus radiata D. Don) in its native habitat. Commonwealth (Australia) Forestry Bureau, Bulletin 10. 57 p.
  7. ^ a b c Sudworth, George B. 1908. Forest trees of the Pacific slope. USDA Forest Service, Washington, DC. 441 p.
  8. ^ a b Scott, C. W. 1960. Pinus radiata. Food and Agriculture Organization of the United Nations, Forestry and Forest Products Study 14. Rome, Italy. 328 p.
  9. ^ McDonald, John Bruce. 1959. An ecological study of Monterey pine in Monterey County, California. Thesis (M.S.), University of California, Berkeley. 58 p.
  10. ^ Axelrod, Daniel 1. 1982. Age and origin of the Monterey endemic area. Madroño 29(3):127-147.
  11. ^ Libby, W. J., A. G. Brown, and J. M. Fielding. 1972. Effects of hedging radiata pine on production, rooting, and early growth of cuttings. New Zealand Journal of Forest Science 2(2):263-283.
  12. ^ Ernstrom, Dan. 1983. Personal communication. Soil Conservation Service, Davis, CA
  13. ^ Axelrod, Daniel 1. 1977. Outline history of California vegetation. In Terrestrial Vegetation of California. p. 139-193. Michael G. Barbour and Jack Major, eds. John Wiley, New York.
  14. ^ a b Offord, Harold R. 1964. Diseases of Monterey pine in native stands of California and in plantations of western North America. USDA Forest Service, Research Paper PSW-14. Pacific Southwest Forest and Range Experiment Station, Berkeley, CA. 37 p.
  15. ^ Griffin, James R. 1981. Personal communication. Hastings Natural History Reservation, Carmel Valley, CA.
  16. ^ Critchfield, William B., and Elbert L. Little, Jr. 1966. Geographic distribution of the pines of the world. U.S. Department of Agriculture, Miscellaneous Publication 991. Washington, DC. 97 p.
  17. ^ Krugman, Stanley L., and James L. Jenkinson. 1974. Pinus L., Pine. In Seeds of woody plants in the United States. p. 598-638. C. S. Schopmeyer, tech. coord. U.S. Department of Agriculture, Agriculture Handbook 450. Washington, DC.
  18. ^ Vogl, Richard J., Wayne P. Armstrong, Keith L. White, and Kenneth L. Cole. 1977. The closed-cone pines and cypresses. In Terrestrial Vegetation of California. p. 295-358. Michael G. Barbour and Jack Major, eds. John Wiley, New York.
  19. ^ Roy, Douglass F. 1966. Silvical characteristics of Monterey pine (Pinus radiata D. Don). USDA Forest Service, Research Paper PSW-31. Pacific Southwest Forest and Range Experiment Station, Berkeley, CA. 21 p.
  20. ^ a b c Larsen, Louis T. 1915. Monterey pine. Society of American Foresters Proceedings 10(l):68-74.
  21. ^ Kaufmann, Merrill R. 1977. Soil temperature and drought effects on growth of Monterey pine. Forest Science 23(3):317-325.
  22. ^ Baker, Frederick S. 1949. A revised tolerance table. Journal of Forestry 47(3):179-181.
  23. ^ Roy, Douglass F. 1966. Silvical characteristics of Monterey pine (Pinus radiata D. Don). USDA Forest Service, Research Paper PSW-31. Pacific Southwest Forest and Range Experiment Station, Berkeley, CA. 21 p.
  24. ^ Furniss, R. L., and V. M. Carolin. 1977. Western forest insects. U.S. Department of Agriculture, Miscellaneous Publication 1339. Washington, DC. 654 p.
  25. ^ 二井一禎, 肘井直樹. 2000. 森林微生物生態学. 朝倉書店. 東京.
  26. ^ USDA PEST alert "Sirex woodwasp"
  27. ^ Coleman, George A. 1905. Report upon Monterey pine, made for the Pacific Improvement Company. Unpublished report, Pacific Southwest Forest and Range Experiment Station, Redding, CA. 74 p.
  28. ^ THE PREFERRED SPECIES
  29. ^ a b Chu-Chou, Myra. 1985. Effect of different mycorrhizal fungi on Pinus radiata seedling growth. In Proceedings of the 6th North American Conference on Mycorrhizae, June 25-29, 1984, Bend, Oregon. p. 208. Forest Research Laboratory, Oregon State University, Corvallis
  30. ^ 平井信二, 小原二郎. 1979. 大図説世界の木材 The International Book of Wood. 小学館. 東京
  31. ^ 林野庁 (編). 2010. 平成22年版 森林・林業白書. 全国林業改良普及協会. 東京. 付表pp12 -13
  32. ^ en:One Tree Hill, New Zealand 00:47, 5 March 2012‎ UTC の版

参考文献

  • Wikipedia 英語版 en:Pinus radiata
  • United States Department of Agriculture Forest Service "Monterey pine"

外部リンク