特別業務の局

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特別業務の局(とくべつぎょうむのきょく)は、無線局の種別の一つである。

引用の促音、拗音、送り仮名の表記は原文ママ

概要[編集]

総務省令電波法施行規則には種々の無線局について種別を定義しているが、いずれにもあてはまらないときに指定される種別である。

定義[編集]

電波法施行規則第4条第1項第29号に「特別業務を行う無線局」と定義している。 特別業務とは、第3条第1項第20号に「前各号に規定する業務及び電気通信業務(不特定多数の者に同時に送信するものを除く。)のいずれにも該当しない無線通信業務であつて、一定の公共の利益のために行われるもの」 と定義している。

実際[編集]

実務上は、何らかの目的の為の特定または不特定の者に向けての一方的な送信、放送に類似した同報通信 [1] がほとんどである。

用途[編集]

用途は公共業務用が主で一部に一般事業用がある。 これは、定義に「公共の利益のため」とあるからで免許人は官公庁や公益性を持つ民間団体に限られる。

局数の推移に見るとおり水防水利道路用が多数を占めるが、これはVICSと呼ばれる道路交通情報通信用無線ビーコン(免許人は国土交通省地方道路公社)及び路側放送(同NEXCOなど)の道路管理者が保有するもので、中でもVICS用ビーコンが多数である。 その他、

などがある。( )内は免許人

海上保安庁が実施していた船舶気象通報も特別業務の局によるものであった。

免許[編集]

種別コードSP。免許の有効期間は5年。但し、当初に限り有効期限は5年以内の一定の11月30日となる。(沿革を参照) VICS用ビーコンは技術基準適合証明の対象であり、適合表示無線設備になれば簡易な免許手続の規定が適用され、予備免許落成検査が省略されて免許される。

運用[編集]

電波法第16条第1項ただし書および電波法施行規則第10条の2により、VICS用ビーコンと空中線電力10W以下の路側放送以外の局は運用開始の届出を要する。

無線局運用規則第140条により、VICS用ビーコンと空中線電力10W以下の路側放送以外の局は次の事項が告示される。

  1. 電波の発射又は通報の送信を行う時刻
  2. 電波の発射又は通報の送信の方法
  3. その他当該業務について必要と認める事項

操作[編集]

特別業務の局は、陸上の無線局であり、最低でも第三級陸上特殊無線技士以上の無線従事者による管理(常駐するという意味ではない。)を要するのが原則である。

  • 通信事項が海事又は航空に係わるものでにあっても海上系又は航空系の無線従事者では操作できない。

例外を規定する電波法施行規則第33条の無線従事者を要しない「簡易な操作」から特別業務の局に係わるものを抜粋する。

表示[編集]

適合表示無線設備には、技適マークの表示が義務付けられている。 また、技術基準適合証明番号又は工事設計認証番号の表示も必須とされ、VICS用ビーコンを表す記号は番号の英字の1-2字目のPZである。(特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則 様式7) 但し、2013年(平成25年)4月以降の工事設計認証番号(4字目がハイフン(-))に記号表示は無い。

検査[編集]

  • 落成検査は、適合表示無線設備を用いたものであれば簡易な免許手続が適用され省略される。これ以外でも一部を除き登録検査等事業者等による点検が可能でこの結果に基づき一部省略される。
  • 定期検査は、電波法施行規則第41条の2の6第25号によりVICS用ビーコンとアマチュア局に対する規正通信用以外に行われる。
周期は別表第5号第32号により次の通り。
(1) 航空機又は船舶のための気象通報及び航行警報等の業務用 1年
(2) (1)に該当しないもの 5年
一部を除き登録検査等事業者等による検査が可能で、この結果に基づき検査が省略される。
  • 変更検査は、落成検査と同様である。

沿革[編集]

1950年(昭和25年) 電波法施行規則制定 [3] 時に定義された。ここで特別業務とは、「前各号に規定する業務及び公衆通信業務を除いた業務であつて、一定の公共の利益のために行われるもの」 と定義された。 免許の有効期間は5年。 但し、当初の有効期限は電波法施行の日から2年6ヶ月後(昭和27年11月30日)までとされた。

1952年(昭和27年) 12月1日に最初の再免許がなされた。

  • 以後、5年毎の11月30日に満了するように免許される。

1985年(昭和60年) 定義が「前各号に規定する業務及び電気通信業務を除いた業務であつて、一定の公共の利益のために行われるもの」 と改正された。 [4]

1994年(平成6年) 

  • VICS用ビーコンが特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則(現・特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則)の対象(証明機器(現・適合表示無線設備))となった。[5]
  • VICS用ビーコンは告示が不要とされた。[6]

1996年(平成8年) 同一免許人所属の路側放送の無線業務日誌は地方電気通信監理局(現・総合通信局)(沖縄郵政管理事務所(現・沖縄総合通信事務所)を含む。)管内で共用できるものとされた。 [7]

1998年(平成10年) 路側放送用及びアマチュア局に対する規正通信用は定期検査を実施しないものとされた。 [8]

2002年(平成14年) 定義が現行のものとなった。 [9]

2004年(平成16年) 空中線電力10W以下の路側放送は告示が不要とされた。 [10]

2009年(平成21年) 特別業務の局は全て無線業務日誌の備付けが不要とされた。 [11]

局数の推移
年度 平成13年度末 平成14年度末 平成15年度末 平成16年度末 平成17年度末 平成18年度末 平成19年度末 平成20年度末
総数 3,390 3,514 3,706 3,765 3,728 3,755 3,830 3,839
水防水利道路用 2,952 3,064 3,257 3,263 3,307 3,343 3,489 3,423
年度 平成21年度末 平成22年度末 平成23年度末 平成24年度末 平成25年度末 平成26年度末 平成27年度末 平成28年度末
総数 3,746 3,718 3,709 3,753 3,689 3,671 3,531 3,419
水防水利道路用 3,455 3,372 3,382 3,386 3,471 3,456 3,324 3,235
各年度の用途・局種別無線局数[12]による。

その他[編集]

マーチス、VOLMET放送、路側放送、潮流放送、しおかぜはベリカードを発行している。これらは無線局の義務ではなく厚意によるものである。

脚注[編集]

  1. ^ 電波法施行規則第2条第1項第20号 「同報通信方式」とは、特定の二以上の受信設備に対し、同時に同一内容の通報の送信のみを行なう通信方式をいう。
  2. ^ 平成2年郵政省告示第240号 電波法施行規則第33条の規定に基づく無線従事者の資格を要しない簡易な操作第3項第5号(総務省電波利用ホームページ 総務省電波関係法令集)
  3. ^ 昭和25年電波監理委員会規則第3号制定
  4. ^ 昭和60年郵政省令第5号による電波法施行規則改正
  5. ^ 平成6年郵政省令第72号による特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則改正
  6. ^ 平成6年郵政省令第70号による無線局運用規則改正
  7. ^ 平成8年郵政省告示第219号による昭和35年郵政省告示第1017号改正
  8. ^ 平成9年郵政省令第75号による電波法施行規則改正の施行
  9. ^ 平成14年総務省令第5号による電波法施行規則改正
  10. ^ 平成16年総務省令第119号による無線局運用規則改正
  11. ^ 平成21年総務省告示第321号による昭和35年郵政省告示第1017号改正
  12. ^ 用途別無線局数 総務省情報通信統計データベース

関連項目[編集]

外部リンク[編集]