民族義勇団
民族義勇団(ヒンディー語:राष्ट्रीय स्वयंसेवक संघ、英語:Rashtriya Swayamsevak Sangh または National Volunteers Organization、略称:RSS)は、インドのヒンドゥー至上主義団体。民族奉仕団と訳されることもある。
概要[編集]
1925年に医師のケーシャヴ・バリラーム・ヘードゲーワール(ヒンディー語: केशव बलिराम हेडगेवार Keshav Baliram Hedgewar)によって、英領インドにおいてヒンドゥー教に基づく文化団体として創設された。当初から多くのメンバーが英国のインド統治に反発し、インド独立運動に加わっていた。
しかしムハンマド・アリー・ジンナー率いるイスラム教徒がパキスタンの分離独立を掲げるなど存在感を強めると、結成当初から「ヒンドゥー教徒は平和を愛しすぎた為、イスラム教のムガル帝国やキリスト教の英国にインドを蹂躙され続けた」という不満・鬱屈をイデオロギーの支柱にしていたため、イスラム教徒を敵視するヒンドゥー教急進派・武闘派団体としての色あいを強めていった。
そしてヒンドゥー・イスラム両教徒の融和と非暴力主義を唱えていたマハトマ・ガンディーを憎悪し、1948年にメンバーのナートゥーラーム・ゴードセーらはついにガンディーの暗殺に踏み切った。その直後に非合法化されたが、翌年撤回された。以後、インドにおいて国民会議派とは別系列のタカ派色の強い団体として推移し、活動を社会運動や宗教、政治に広げ、政党としては1951年にインド大衆連盟を結成、宗教としては世界ヒンドゥー協会、その他労働運動や学生運動、スワデーシー運動や農民・協同組合団体、シンクタンクなどを有し、総合的な陣容をそろえ、RSSを頂点とするサン・パリヴァール(संघ परिवार, 英訳は Family of Associations で「諸団体の一家」といった意味)と呼ばれた。団体としては社会運動団体に留め、直接は政治活動を行わない建前になっているが、インド人民党創設メンバーの殆どは民族義勇団出身・関係者であり、同党の事実上の前身、或いは同党の私兵集団とも見られ、インド首相を務めたアタル・ビハーリー・ヴァージペーイーやナレンドラ・モディもメンバーの一人として有名である。
現在、250万から600万人のメンバーを有するとみられている。普段の主な活動として、棒術の格闘技訓練を通じた青少年の心身鍛錬を各地方で行っている。