棍棒

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棍棒(こんぼう、: club)とは、人が握り振り動かすのに適度な太さと長さを備えた丸い棒のこと。殴打用の武器として扱われることが多く、武器としては最も基本的な物の一つである。原始時代から現代に至るまで使用されている。

概要[編集]

武器としてみると単純なつくりで、適当な長さのを振り回すだけである。猿人原人が手にしたぎれやが発祥であり、ここから加工や強化が行われて発展し、柄頭を備えたメイスなどが生まれた。扱いが容易なことから、現代においても広く使用されている。

非金属の同一材質で作られた棍棒を単体棍棒、複数の材料を組み合わせた物を合成棍棒と呼ぶ。材質は主に木や骨だが、現代では炭素繊維強化プラスチックや硬質のゴムで作られた棍棒もある。片方の端に打撃部をもつ場合が多いが、取り回しを重視した細い直線棒状をした棍棒があり、こちらは主に武術で用いられる。投擲して使用する投げ棍棒は主に狩猟用として用いられた。

古い基本的な武器であるがゆえに、棍棒が象徴する意味合いも国や時代、文化により多岐に亘り、暴力性・野蛮性といった物から、権力の象徴としての職杖までその幅は広い。

なおトランプのクラブ(クローバー)は、ギリシャ神話に登場するヘラクレスの持つ棍棒が、先端に三つの突起を持つメイスであったためシャムロック(三つ葉植物)の別名として定着したものである。厳密には棍棒からではなくツメクサの形を模したデザインであり、農民を表す。しかし前述のとおりヘラクレスの棍棒も似た形で描かれているものが存在するため、完全な誤りとも言えない(タロットカードの小アルカナのワンドとの類似性も高い)。

伝統的な棍棒[編集]

棍棒は武器や道具の誕生時に生まれた古い武器の一つである。一端を打撃部分として大きく重く加工したり、金属での補強や柄頭を別個に取り付けることで慣性モーメントを大きくし威力を上げるように設計される。また打撃部分にスパイクを取り付け殺傷力を強化した棍棒もみられる。

ギリシア神話では、ヘラクレスケンタウロスが使用する武器として著名である。これは古代ギリシアにおいてバルバロイと呼び蔑んでいた他民族が棍棒をよく使用していた事に関連すると考えられており、棍棒を暴力性・野蛮性・獣性の象徴として捉えていた節がある。そのため古代ギリシアやその流れを汲む西ヨーロッパでは、棍棒や、その発展型のメイスは、中世に至るまでなじみの薄い武器であった。

棍棒が特に発達を見せたのはオセアニア地域である。この地域では冶金技術が発達せず、木や骨を使用した単体棍棒が大きな発達を見せ、細かく美しい彫刻を施した棍棒が多く見られる。アボリジニが使用する有名なブーメランは投げ棍棒の一種である。

ルワンダでは現在でもを打ち込んだ棍棒が使用されており、虐殺事件で多くの人間が棍棒によって殺害されている。 アフリカ中央部の貧しい国では、銃火器が十分に支給されていないこともあって、現在でも民兵組織などは釘を打ち込んだ棍棒で武装している。

アンデスではマカーナと呼ばれる棍棒があり、インカ帝国では星形のものがあり、インカの反乱の際には多く用いられた。

警棒[編集]

棍棒は刃が無く手加減が容易で扱いも簡単なため、護身用、警備用、捕縛用といった用途で警棒として広く用いられている。材質は、木、金属、ポリカーボネートカーボン、硬質ゴムと様々である。先端をやや太くした直線状のものが主流であるが、トンファーのような形状をした警棒や、伸縮式の特殊警棒、またサップのように軟質の物もある。日本では警棒は警察庁の規格で決められており、機動隊が用いる長いものは「警杖」と呼び区別している。

操法を用いる棍棒[編集]

通常の棍棒は柄を握り先端で殴打して使用するが、操法を工夫することで棍棒全体を用い、幅のある攻防を行う事を主体とした棍棒がある。これらの棍棒類の主な特徴として、特に打撃部分を設けず、全体を同じ太さで作った直線棒状であることがあげられる。 日本武術では「」と呼び、一般的には六尺棒を用いる。それより短いものは「」と呼んで区別する。 中国では「」(コン、またはクンと発音)と呼ばれる。棒や棍は剣術槍術と共通技法が多く、多くの流派で学ばれている。特に少林寺は棍法で有名であった。

西洋ではイギリスのクォータースタッフが六尺棒に相当する。またステッキを棍棒として用いる術が生み出されている。フランスのラ・キャン(La canne)も杖、ステッキ術である。

特殊な操法を前提とした棍棒では他に両節棍三節棍などの多節棍トンファーがあげられる。

関連項目[編集]