特殊警棒

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市販されている特殊警棒。右は縮めた状態

特殊警棒(とくしゅけいぼう)とは、伸縮式の警棒である。材質は金属製が主だが、まれに強化プラスチック製や硬質ゴム製の物も存在する。金属製についても一般的な円棒形状の製品のほか、全体または一部がコイルスプリングで構成されている製品が存在する。

収縮時の長さが20センチメートルを下回るなど、通常の警棒と比べて携帯性に優れていることから、世界各国で警察官法執行機関職員警備員などによって用いられている。

概要[編集]

メーカーとしては日本ではノーベル工業台湾ではTMM社(日本を含む世界各国に製品を輸出している)、アメリカではASP社、Monadnock社、CASCO社が有名である。世界各国に多数の製造業者が存在しているが、製品の強度や品質などはメーカーによって玉石混交である。

なお、現在の日本において「特殊警棒」とは前述のノーベル工業の登録商標であり、一般名詞としては「伸縮式警棒」もしくは「伸縮式護身具」と呼ぶのが妥当と思われるが、一般に「特殊警棒」の呼称が広く定着している。

現在の日本の警備業の業界用語では「警棒」のことを「警戒棒」(けいかいぼう)と呼称している。このため、社団法人全国警備業協会発行のテキスト類では「特殊警棒」のことを「金属製警戒棒」と表記している。また、日本の警察などにおいても公的な文書類では「特殊警棒」のことを「特殊警戒用具」と表記している。

また、まれにだがトンファー型の特殊警棒も存在している。一部のアメリカ合衆国の警察組織で採用されている他、日本国内では自衛隊警務隊自衛隊逮捕術の中に取り入れている[1]

基本的には殺傷力の低い護身用具捕具として使われるが、扱いようによって相手を死傷させかねない、れっきとした武器ともなる。警察官や警備員の警棒操典では、使用に際してはから下の部分のみを狙うなど相手に与える打撃は相手を取り押さえるための必要最低限の打撃にとどめ、過剰防衛にならないようにするよう指導されている[2]

種類[編集]

日本においては警察官警備員が用いる警棒(特殊警棒を含む)の基準として、かつて「長さ60センチメートル以下、直径3センチメートル以下、重さ320グラム以下の棒とする」と警察庁の規格が定められ用いられていたが、治安情勢の変化に伴い、警察官の用いる物については2006年11月から規格が変更された[3]。これに合わせて、警備員が用いる物についても、「警備員等の護身用具の携帯の禁止及び制限に関する都道府県公安委員会規則の基準について(依命通達)」[4]により規格が変更されている。

法律との関係[編集]

外国製の特殊警棒には前述の基準を超えた長さや重さの物も存在しており、日本国内でも護身用や防犯用という名目で一般向けに市販されている。これらの物は購入や所持自体は合法であるが、みだりに持ち歩いたり、護身用だけの理由などだと凶器を携帯しているとして軽犯罪法違反や、凶器準備集合罪の疑いが生じる[5]。そのために警察への提出(没収)を求められたり、警察官の判断によっては現行犯として拘束され、送検もしくは書類送検されることがありうるので、日頃から誤解を招く行為や不審な行動をとって職務質問などを受けるようなことが無いように生活する事が大切である。

オランダなど、一部の国では特殊警棒の所持許可制となっているなど、日本よりも所持規制が厳しい国もある[6][7]これらの制度・規制は国や地域によって大きく異なるので、海外旅行や海外滞在の際に護身用具として特殊警棒を所持しようとする際には当該国・地域の制度を事前に熟知しておく必要がある。場合によっては、言葉の通じない現地の警察に逮捕される危険性もある。

主なメーカー[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ 「自衛隊「逮捕術」を学ぶ!!」(『月刊空手道』1999年9月号、10月号掲載記事)
  2. ^ しかし実際には相手が暴れるなどした場合、的を絞り込めないため、取り押さえに際して首から上への打撃がなされた例は多いとされる(例として秋葉原通り魔事件)。
  3. ^ 詳細は警棒の項目を参照のこと。
  4. ^ 2009年3月26日付け警察庁乙生発第3号 (PDF)
  5. ^ 法令上・法解釈上・判例における所持と携帯の違い」に要注意
  6. ^ イギリスでは手乃内さえ規制対象である。
  7. ^ カリフォルニア州刑法上ではNunchaku(ヌンチャク)Shuriken(手裏剣)・Shobi-zue(刑法記載ミススペル:忍杖)・ベルトバックルナイフ・口紅型ナイフ・ペン型ナイフ・飛び出しナイフ等と同様に、警棒(全ての材質形状)の所持・携帯・販売・製造・販売目的陳列・他州他国からの通販を禁止しており、同条別項目で警察官・有資格警備員・認可販売業者・道場・トレーニングセンターなどが例外とされている

参考資料[編集]

  • 警察大学校術科教養部編『改訂 術科必携』(警察時報社、2000年)
  • 入国警備官逮捕術教本』(法務総合研究所・ 平成12年4月発行)
  • 『警備員教育教本 基本教育編』(社団法人全国警備業協会・平成11年11月27日 改訂2版2刷発行)
  • 『警備員指導教育責任者講習教本(1)』(社団法人全国警備業協会・平成15年6月10日 五訂初版発行)
  • 『警備員指導教育責任者講習教本(2)』(社団法人全国警備業協会・平成15年6月10日 五訂初版発行)
  • 『警備員必携』(社団法人全国警備業協会、2005年)
  • 『警備員指導教育責任者講習教本Ⅰ 基本編』(社団法人全国警備業協会、2005年)
  • 『施設警備業務の手引き 上級』(社団法人全国警備業協会、2005年)
  • 『施設警備業務の手引き 初級』(社団法人全国警備業協会、2005年)
  • カヅキ・オオツカ『海外旅行者のための護身術』(データハウス、2003年)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]