日本ジブチ地位協定

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ジブチ共和国における日本国の自衛隊等の地位に関する日本国政府とジブチ共和国政府との間の交換公文
通称・略称 日本ジブチ地位協定または日ジ地位協定
発効 2009年(平成21年)4月3日に
現況 有効
締約国 日本ジブチ共和国
主な内容 在ジブチ自衛隊の日ジブチ間での取り扱い、ソマリア沖の海賊の対処
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日本ジブチ地位協定(にっぽんジブチちいきょうてい)は、2009年4月3日に署名された日本ジブチとの間における地位協定である。正式名称はジブチ共和国における日本国の自衛隊等の地位に関する日本国政府とジブチ共和国政府との間の交換公文(ジブチきょうわこくにおけるにほんこくのじえいたいとうのちいにかんするにほんこくせいふとジブチきょうわこくせいふとのあいだのこうかんこうぶん)[1]

経緯[編集]

名称[編集]

英語では、Japan Self Defense Force base in Djibouti。直訳すると、在ジブチ自衛隊基地となっている。国際連合および国際社会においても自衛隊の海外軍事基地扱いされている。

概要[編集]

かつてジブチ共和国を植民地支配したフランス及びフランス軍に適用される治外法権をそのまま日本(自衛隊)にも転用した地位協定とされる。全体的に日本側を配慮し、優遇した協定になっている。

ジブチ基地内の条文[編集]

ジブチ共和国政府の官吏は、日本国政府の権限のある代表者の同意を得てそれらに立ち入ることを許される。
施設、施設内にある用具類その他の資産及び部隊、海上保安庁又は連絡事務所の輸送手段は、捜索、 徴発、差押え又は強制執行を免除される。

とされ、ジブチ政府による自衛隊の拠点内への出入りは日本国政府の権限ある代表者から許可が降りない限り、禁止されている。

また、自衛隊の活動への介入、資産等の差し押さえは日本国政府によって禁止されている。

自衛隊への物資輸入時の特権[編集]

ジブチ共和国政府は、活動又は要員の個人的な使用のための物品の輸入を許可し、かつ、それらについてすべての関税、租税及びこれらに類似する課徴金を免除する。ただし、倉入れ、運搬及びこれらに類似する役務に対する課徴金は、この限りでない。要員の手荷物は、検査を免除される。ただし、手荷物中に要員の個人的な使用のためでない物品又は輸出入がジブチ共和国の法律によって禁止されており、若しくはその検疫規則によって規制されている物品が含まれていると推定すべき十分な理由がある場合は、この限りでない。その場合には、検査は、当該要員又は日本国政府の権限のある代表者の立会いの下においてのみ行われなければならない

とされ、日本国政府及び防衛省による自衛隊の物資の輸入等についてジブチ側が制定している課徴金は免除される他、輸入された自衛隊の物資等についてはジブチ側の検査等も免除される。

また、ジブチ側の法律で違法になる物資も日本国政府と会議の元となっているが、ジブチ側は日本側の意思に従っているのが現状である。

活動範囲[編集]

活動のために、ジブチ共和国政府は、部隊、海上保安庁及び要員に対し、ジブチ共和国の領域(水域及び空域を含む。)内における移動の自由及び旅行の自由を認める。ジブチ共和国の領海内における移動の自由には、停船及び投びょうを含む。

と地位協定に記載されている。ジブチ共和国政府が指定する全土を自由に活動出来る。この反面、ジブチ共和国の有事の際は自衛隊がジブチ共和国を防衛することにも繋がる。

税金の免除[編集]

活動のために、部隊、海上保安庁及び連絡事務所並びにこれらが借り上げる輸送手段は、ジブチ共和 国の領域内において、租税及びこれに類似する課徴金を支払うことなく、公道、橋、渡船施設、空港及び港を使用することができる。

とされ、現地の自衛隊員及び日本国政府の要人がジブチ側が整備している公共交通機関等の税金は全て免除される形で使用できる。

検疫によるクラスター問題[編集]

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に際し、自衛隊、日本の政治家の検疫や感染拡大防止対策についてもジブチ側の規定(法令及び憲法)が一切及ばず、自衛隊のジブチ出入国時の新型コロナウイルスに関する検査をしない、ジブチ政府側が把握できていなかったことが判明し、自衛隊の拠点内でクラスターが発生した事が判明した[3]

裁判権[編集]

要員については、

ジブチ共和国の領域内において、千九百六十一年四月十八日の外交関係に関するウィーン条約の関連規定に基づいて事務及び技術職員に与えられる特権及び免除と同様の特権及び免除をジブチ共和国政府により与えられる。

と規定され、更に

日本国の権限のある当局は、ジブチ共和国の領域内において、ジブチ共和国の権限のある当局と協力し て、日本国の法令によって与えられたすべての刑事裁判権及び懲戒上の権限をすべての要員について行使する権利を有する。

外交特権のある外交官と同様に、ジブチの裁判権には服さず、日本の当局が全ての裁判権を持つ。 この特権は、現地雇用職員には適用されない。

現地雇用職員は、いかなる特権又は免除も享有しない。

ジブチの自衛隊の拠点内について、ジブチの法令を適用しないという規定はないが、要員に対して裁判権を行使できないため執行が困難である。一方、日本の法令については、刑法の国外犯のように、その法令が日本国外において適用され場合は、適用があるがそうでない場合は適用されない。例えば環境法令についてはそのような規定はなく事実上、規制がまったくない状態になる。

ジブチ国民が自衛隊の拠点で事件または事故を起こした場合についてジブチの法令の適用を排除する規定はない。

殺人事件[編集]

自衛隊員の現地での「過失犯」は現地の法律でも日本の法律でも裁かれないため、法の空白が存在しているとの議論がある[4]。刑法の国外犯処罰規定に、過失犯が含めれていないためであり、危険運転致死罪を含む自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の場合も同様である。

協定に対する批判[編集]

ジャーナリストの布施祐仁は、本協定について日米地位協定以上に不平等であり、治外法権を強いる内容であると論じている[5]

関連項目[編集]

出典[編集]

[脚注の使い方]

外部リンク[編集]