対の公理
定義
[編集]集合論の言語 を用いて、対の公理は次で定義される:
あるいは、より強い公理として次で定義される:
置換公理(あるいはもっと弱く分出公理)のもとでこの2つの定義は同値である。
定義の解釈
[編集]自然言語を用いて、対の公理は次で解釈される:
- 「任意の集合 と について、少なくとも と を元とする集合が存在する。」
より強い公理は次で解釈される:
- 「任意の二つの値 と について、 と のみを要素とする集合が存在する。」
性質
[編集]分出公理との連言により、任意の集合 と について、 と のみを元とする集合が少なくとも一つ存在することが定まる。
分出公理と外延性公理との連言により、任意の集合 と について、 と のみを元とする集合は一意に定まる。 のときは 、 のときは ()と表記する。
分出公理と外延性定理との連言により、任意の集合 と について、 と の存在が定まるため、順序対 の存在も定まる。
また、分出公理と外延性定理との連言により、任意の集合 と について、直積集合 の存在も定まる。
帰納的に、 個の元の順序対( 組、英: -tuple)は下記のように定義される。
他の公理からの導出
[編集]対の公理はZF公理系の他の公理と独立ではない。置換公理および「二元以上の集合の存在」から、任意の集合 と について対 の存在を導けるためである。二元以上の集合の存在は、無限公理、あるいは空集合の公理と冪集合の公理の組み合わせから導ける。そのため対の公理は、公理系を記述する際に省略されることもある。
対の公理はツェルメロ公理系(Z)の一部であるが、二元以上の集合が与えられた場合は置換公理に従うため、ツェルメロ=フレンケル公理系(ZF)では冗長である。二元以上の集合の存在は、無限公理、または分出公理とべき集合公理の組み合わせのいずれかによって示せる。
関連項目
[編集]参考文献
[編集]- ケネス・キューネン『集合論 独立性証明への案内』藤田博司訳、日本評論社、2008年、ISBN 978-4-535-78382-9
- Jech, Thomas, 2003. Set Theory: The Third Millennium Edition, Revised and Expanded. Springer. ISBN 3-540-44085-2.