凹関数

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数学凹関数(英語:concave function)とは、凸関数になったものである。ある関数が凹である時、その関数は下に凹である、または上に凸であるなどという。

定義[編集]

凹関数のグラフ

実関数fがある区間(あるいはもっと一般的に言えば、ベクトル空間内での凸集合)で凹であるとは、fが区間内の実数xおよびy、それに区間[0,1]内の任意の実数について次の不等式を満たしていることである[1]

f((1-\alpha )x+\alpha y)\geq (1-\alpha ) f(x)+\alpha f(y).

狭義の凹関数とは、以下の不等式を満たす関数のことである。ただし αは区間 (0,1)にあり、xyである。

f((1-\alpha )x + \alpha y) > (1-\alpha) f(x) + \alpha f(y)\,

関数f:RRについては、xyの間の任意のzについて、 fグラフ上の点(z, f(z) )(x, f(x) )(y, f(y) )を結ぶ直線上にあることを示している。 関数fの上方外形集合英語版S(a)=\{x: f(x)\geq a\}が凸集合である時、その関数は準凹関数英語版と呼ぶ[2]:496

性質[編集]

  1. ある関数fが凸集合内で凹であることは、同じ集合内で関数−fが凸関数であることと同値である。
  2. 微分可能関数fのある区間における導関数f ′がその区間内で単調減少するとき、その区間でfは凹である。(このときこの区間内でf’の微分係数は0以下である。またこの場合の単調減少は、広義単調減少であり、減少するか、一定値となることを表している。)
  3. 凸性が変化する(凸と凹が入れ替わる点)は変曲点と呼ばれる。
  4. 2つの凹関数の和の関数も凹であり、2つの凹関数の和は点ごと英語版の最小値となる。つまり、2つの関数が作る集合は2つの定義域においてセミフィールド英語版を作る。
  5. 区間内での関数の極大値周辺では、その関数は必ず凹になる。また、凹関数で微分係数が0になる点では、その関数は極大値をとる。
  6. fが2回微分可能ならば、fが凹であることの必要十分条件はf ′′が正でない(あるいは加速度が正でない)ことである。第二次導関数が負の数(英語版)ならばその関数は凹だが、そのは成立しない。例:f(x) = −x4.
  7. 凹関数の極大値は、その関数が凹である区間内で最大値もある。狭義凹関数は少なくとも1つ最大値を持つ。
  8. fが凹関数かつ微分可能である時、fは、fの1次のテイラー近似より必ず大きくなる[2]:489
f(y) \leq f(x) + f'(x)[y-x].
  1. 集合Cにおける連続関数が凹である必要十分条件は in C中の任意のxyについて以下の不等式が成り立つことである。
f\left( \frac{x+y}2 \right) \ge \frac{f(x) + f(y)}2.
  1. 関数fが凹であり、f(0) ≥ 0であるとき、f劣加法性を持つ。証明は以下の通り。
  • fが凹であるから、y = 0, f(tx) = f(tx+(1-t)\cdot 0) \ge t f(x)+(1-t)f(0) \ge t f(x)とおく。
  • このときf(a) + f(b) = f \left((a+b) \frac{a}{a+b} \right) + f \left((a+b) \frac{b}{a+b} \right)
\ge \frac{a}{a+b} f(a+b) + \frac{b}{a+b} f(a+b) = f(a+b)

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  • 関数f(x)=-x^2g(x)=\sqrt{x}は定義域において第二次導関数英語版を持ち(それぞれf''(x) = -2 and g''(x) = -\frac{1}{4 x^{1.5}})両者は常に負である。
  • 対数関数f(x) = \log{x}は定義域(0,\infty)において常に凹である。そしてf(x)の導関数\frac{1}{x}は狭義単調減少関数である。
  • アフィン写像であるf(x)=ax+bは凸関数でありかつ凹関数でもある。しかし狭義の凸でも狭義の凹でもない。
  • 正弦関数は区間[0, \pi]で凹関数である。
  • 関数f(B) = \log |B|は凹関数である。ただし|B|非負定値行列式である[3]
  • 光線屈折計算英語版に、関数の凹性が用いられている。

関連項目[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ LENHART, S.; WORKMAN, J. T, Optimal Control Applied to biological models, チャップマン・アンド・ホール英語版/ CRC英語版、Mathematical and Computational Biology Series, 2007.
  2. ^ a b Varian, Hal (1992). Microeconomic Analysis (3rd ed.). ニューヨーク: W.W.ノートン・アンド・カンパニー英語版. ISBN 0393957357. 
  3. ^ Thomas M. Cover and J. A. Thomas (1988). “Determinant inequalities via information theory”. SIAM Journal on Matrix Analysis and Applications 9 (3): 384–392. doi:10.1137/0609033. 

参考文献[編集]