テイラー展開

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テイラー展開(テイラーてんかい、: Taylor expansion)とは、無限回微分可能関数 f から、テイラー級数(テイラーきゅうすう、: Taylor series)と呼ばれる冪級数を得ることを言う。名称は数学者ブルック・テイラーに由来する。

一変数関数のテイラー展開[編集]

a を含む開区間 IR 上で無限回微分可能な実数値関数 fC(I) が与えられたとき、べき級数

を関数 f の点 a まわりのテイラー級数という。ここで n!n階乗ƒ(n)(a)x = a における ƒn微分係数である[1]。また、便宜的に (xa)0 は 1 であると定義する[2]。テイラー級数が収束し、元の関数 f に一致するとき、fテイラー展開可能であるという。テイラー展開がある大域的な領域の各点で可能な関数は、その領域において解析的 (analytic) である、またはその領域上の解析関数 (analytic function) であるという。

ここで一般には関数 f が無限回微分可能であってもそのテイラー級数が xa で収束するとは限らず[3]、たとえ収束しても一致するとは限らない[4]ことに注意が必要である。一致するかどうかは、テイラーの定理における剰余項 Rn が 0 に収束するかどうかによって判定できる;ここで剰余項 Rn は、ある c ∈ (a, x) が存在して、

と書ける。または積分を用いて、次のように表せる;

また、この剰余項を評価することで関数の近似値を精度保証つきで数値的に求めることもできる(テイラーの定理#例を参照)。

特に a = 0 における以下の様な展開

マクローリン展開(マクローリンてんかい、: Maclaurin expansion; 名称は数学者コリン・マクローリンに由来する)と呼ぶ。

テイラー展開図であらわして、一次、二次、三次までをブロックで説明すると分かりやすい[5]

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いくつかの重要な関数のテイラー展開を以下に示す。これらはすべて複素解析的な関数であり、複素変数であると考えても成り立つ。

多項式
多項式をマクローリン展開したものは元の多項式自身である。
指数関数
自然対数
幾何級数
二項定理
三角関数
双曲線関数
ランベルトのW関数

tan(x), csc(x), cot(x), tanh(x) の展開に現われる Bkベルヌーイ数である。 二項展開の は二項係数である。sec(x) の展開に現われる Ekオイラー数である。

多変数関数のテイラー展開[編集]

テイラー展開は一変数関数のみならず、多変数関数にも適用できる。d 変数関数 f のテイラー展開は以下の式である。

多重指数記法を用いれば、d 変数関数 f (x) のテイラー展開は次式で表現される。

アインシュタインの縮約記法を用いれば、多変数関数 f (xμ) のテイラー展開は次式である。

上式の μ微分演算子であり、ベクトル解析の記法では に置き換えられる。一番後ろに f (αμ) があるが、これは f (xμ) に左の演算子を作用させてから f (xμ) の引数として αμ を与えることを表していることに注意する。

脚注[編集]

  1. ^ ƒ の 0 次導関数ƒ 自身である。
  2. ^ 0の0乗も参照。定義の衝突を避けるならば、単に n = 0 の項を明示的に書き、n = 0 を含めない形で和を取り直せばよい。
  3. ^ ハイラー & ヴァンナー 2012, 演習問題 7.6.
  4. ^ ハイラー & ヴァンナー 2012, 反例 (7.12).
  5. ^ 物理数学の直感的方法, 長沼伸一郎,ブルーバックス,2011, 第二章p.32 http://pathfind.motion.ne.jp/

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]