ルー・ワッサーマン

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ルー・ワッサーマン
Lew Wasserman
本名 Lewis Robert Wasserman
生年月日 (1913-03-22) 1913年3月22日
没年月日 (2002-06-03) 2002年6月3日(89歳没)
出生地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 オハイオ州クリーブランド
死没地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 カリフォルニア州ビバリーヒルズ
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ルー・ワッサーマン(Lew Wasserman、1913年3月22日 - 2002年6月3日)はアメリカ合衆国オハイオ州出身のユニバーサル・スタジオの元社長、名誉会長。

概要[編集]

元は芸能エージェンシーMCAの経営者。1948年、大手映画会社が独占禁止法違反との疑いにより垂直統合(スタジオ・システム)を解体させられた。抱えきれなくなった俳優、監督、脚本家がエージェンシーと契約。

彼等がセット(パッケージと呼ばれる)になり企画を映画会社へ持ち込んできた。50年代以降、ワッサーマンたちの芸能エージェンシーが映画業界の裏番長の役割を果たした。俳優時代のロナルド・レーガンMCAのクライアントであり、SAGの代表時も、大統領になってからも親交は続いた。1986年、レーガン図書館に50万ドルを寄付した。

1962年、米デッカを買収、自動的にユニバーサルも傘下におさめた。法律で兼業を禁じられていたため、MCAはエージェンシーをやめ、レコード、映画、出版を押さえたコングロマリットになった。

ワッサーマンはエンタメ業界の大御所、絶対的な尺度、教科書的な存在、キングメーカーとされた。大賀典雄もワッサーマンに敬意を示した。経営ではシド・シャインバーグを大番頭にしており、スティーヴン・スピルバーグを発掘したのはシャインバーグとなっている。

しかしワッサーマンも高齢となり、利益が上がらないMCAも買収の噂が飛び交うようになる。1989年にソニーが映画会社を買収するが、候補の一つにはユニバーサルがあった。ワッサーマンは決心がつかないと申し出を断った。

1990年、ゲフィンレコードを株式交換の5億4000万ドルで買収した。1986年から多国籍企業がレコード会社を買収。ベルテルスマン(独)、ソニー(日)、フィリップス(ポリグラム)(蘭)は世界的な流通網をもっていた。

資金調達のために後ろ楯が必要なワッサーマンは1990年に松下電器に売却を決定した。債務の継承を含めて92億ドルという巨額なものだった。議決権を除けば最大株主だったデビッド・ゲフィンは更に6億数千万ドルを儲けた。世界的なスーパースターで言えばガンズ・アンド・ローゼズしか抱えていなかったゲフィンは全米上位1%の金持ちになるチャンスを得た。

しかし、日本のバブル崩壊によりワッサーマンたちの意図は崩れた。ワッサーマンは松下にレコード会社かテレビネットワークの買収を提案した。引き延ばし工作をしてきたフィンシンルールがよいよ撤廃という時期に差し掛かり、ビジネスモデルを変えるためにCBSとMCAは株式保有の話を進めていた。シャインバーグと日本へやって来たワッサーマンは、話を聞く態度のない松下に失望。自家用ジェット機で帰った。

松下はカナダの企業、シーグラムにMCAを売却。契約によりワッサーマンとシャインバーグは会社から身を引いた。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンニューヨーク・エリアに銅像がある。

脳卒中の合併症のため89歳でビバリーヒルズの自宅で死去。ハリウッドの6925 Hollywood Blvd番地にワッサーマンのハリウッド・ウォーク・オブ・フェームがある。

受賞[編集]

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