ラディテュード

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ラディテュード
ウィーザースタジオ・アルバム
リリース
ジャンル オルタナティヴ・ロックパワー・ポップ
時間
レーベル ゲフィン・レコード/インタースコープ・レコード/DGC
プロデュース ブッチ・ウォーカー(#1, #3, #5, #8)
ドクター・ルーク(#2)
ポロウ・ダ・ドン(#4)
ジャックナイフ・リー(#6, #9, #10)
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 7位(アメリカ[3]
  • 18位(日本[4]
  • 36位(オーストラリア[5]、ノルウェー[6]
  • 80位(イギリス[7]
  • 94位(ドイツ[8]
  • 119位(フランス[9]
  • ウィーザー アルバム 年表
    ウィーザー (ザ・レッド・アルバム)
    (2008年)
    ラディテュード
    (2009年)
    ハーリー
    (2010年)
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    ラディテュード』(Raditude)は、アメリカオルタナティヴ・ロックバンドウィーザー2009年に発表した7作目のスタジオ・アルバム

    背景[編集]

    本作リリース前のライヴより、パトリック・ウィルソンがドラムスでなくギターを演奏するようになり、ジョシュ・フリース英語版がウィルソンの代役のドラマーとなった[10][11]リヴァース・クオモはウィルソンのギター演奏について「パットは長年バックステージでたくさんギターを弾いてきたから、彼の腕前は大したものだよ」「僕はもう少し、ギターを弾かずデイヴィッド・リー・ロスみたいにステージを走り回りたいと思っていたから、結果的にうまくいっている」、フリースのドラムス演奏について「ソリッドで頼りになる」とコメントしている[10]。なお、フリースは本作でも「アイム・ユア・ダディ」、「ザ・ガール・ガット・ホット」、「レット・イット・オール・ハング・アウト」の3曲でドラムスを担当しているが[12]、フリースがパーマネントなメンバーかどうかという質問に対し、クオモは「この先どうなるかは分からない」と答えている[10]

    バンドは本作で、ブッチ・ウォーカージャーメイン・デュプリを含む外部ソングライターを起用した。クオモは2009年のインタビューにおいて、「共作するという許諾が得られるかどうかは定かでない」と前置きした上で、他にもブライアン・ウィルソンカレンOピート・タウンゼントジェフ・リンカラ・ディオガーディ英語版スパイク・ジョーンズ、ネイト・ヒルズ、それにザ・キラーズのメンバーを「共作したいミュージシャンのリスト」に挙げていたという[13]。デラックス・エディション盤ボーナス・ディスクに収録された「ザ・アンダードッグス」は、クオモが日本の作曲家である原一博と共作した曲で、ウィーザーは既に、原が作曲したBoAのヒット曲「メリクリ」をカヴァーしており、原とのコラボレーションは以前からの念願だった[11]

    「キャント・ストップ・パーティイング」にはリル・ウェインがゲスト参加しており、クオモはウェインのことを「彼はとても自然体かつ異様で、ゲットーやギャングスタやインテレクチュアルに行こうとしていない」と評している[13]。「ラヴ・イズ・ジ・アンサー」ではインドの楽器が使用されており、この曲は本作に先駆けてリリースされたシュガー・レイのアルバム『Music For Cougars〜復活の常夏番長〜』(2009年)に、クオモ本人をゲストに迎えたカヴァーが収録された[14]

    アルバム・タイトルは「rad」と「attitude」を合わせた造語で、クオモと親しい俳優レイン・ウィルソン(映画『トランスフォーマー/リベンジ』やテレビドラマ『The Office』等に出演)が考案した[15]。なお、クオモは当初『Bring It』というタイトルも考えていたが、PUFFYによる『Bring it!』の発売が決定していたため断念したという[11]

    ジャケットに使用された犬の写真は、ジェイソン・ニーリーが自分の飼い犬「シドニー」 を撮影したもので、元々は『ナショナルジオグラフィック』誌の2009年8月号に掲載されていた[16]

    本作からの第1弾シングル「アイ・ウォント・ユー・トゥ」のミュージック・ビデオは、マーク・ウェブが監督し、メンバー4人に加えて女優のオデット・ユーストマンが出演した[17]

    反響[編集]

    バンドの母国アメリカでは、総合アルバム・チャートのBillboard 200で7位に達し、『ビルボード』のロック・アルバム・チャートとモダン・ロック/オルタナティヴ・アルバム・チャートではいずれも1位を獲得した[3]。アメリカでの初週の売り上げは6万6千枚で、前作『ウィーザー (ザ・レッド・アルバム)』(2008年、全米4位)の12万6千枚を大幅に下回る結果となった[18]。また、シングル「アイ・ウォント・ユー・トゥ」はBillboard Hot 100で81位を記録している[3]

    全英アルバムチャートでは80位に終わり、ウィーザーのスタジオ・アルバムとしては初めて全英トップ50入りを逃す結果となった[7]

    評価[編集]

    Matt Collarはオールミュージックにおいて5点満点中3.5点を付け「『ラディテュード』は往年のウィーザーのように響く一方、迎合しておらず時代遅れにもなっていない」と評している[19]。また、ロブ・シェフィールドは『ローリング・ストーン』のレビューで5点満点中3.5点を付け「愉快で安っぽい、ウィーザー的な曲に満ちている」と評している[20]。一方、Evan SawdeyはPopMattersのレビューで10点満点中1点を付け「楽しませることでなく売れることを意図した、冷徹で計算高く、喜べない製品」「年間最悪のアルバム」と批判している[21]

    収録曲[編集]

    1. アイ・ウォント・ユー・トゥ - (If You're Wondering If I Want You To) I Want You To (Rivers Cuomo, Butch Walker) - 3:28
    2. アイム・ユア・ダディ - I'm Your Daddy (R. Cuomo, Lukasz Gottwald) - 3:08
    3. ザ・ガール・ガット・ホット - The Girl Got Hot (R. Cuomo, B. Walker) - 3:14
    4. キャント・ストップ・パーティイング - Can't Stop Partying (R. Cuomo, Dwayne Carter, Jermaine Dupri) - 4:22
    5. プット・ミー・バック・トゥギャザー - Put Me Back Together (R. Cuomo, Tyson Ritter, Nick Wheeler) - 3:15
    6. トリッピン・ダウン・ザ・フリーウェイ - Trippin' Down the Freeway (R. Cuomo) - 3:40
    7. ラヴ・イズ・ジ・アンサー - Love is the Answer (R. Cuomo, Jacknife Lee) - 3:43
    8. レット・イット・オール・ハング・アウト - Let It All Hang Out (R. Cuomo, J. Dupri, J. Lee) - 3:17
    9. イン・ザ・モール - In the Mall (Patrick Wilson) - 2:39
    10. アイ・ドント・ウォント・トゥ・レット・ユー・ゴー - I Don't Want to Let You Go (R. Cuomo) - 3:48

    ボーナス・トラック[編集]

    日本盤CD (UICF 1119/20)には11. - 12.が収録され、インターナショナル盤には11.が収録された。

    1. ターン・ミー・ラウンド - Turn Me Round (R. Cuomo) - 3:09
    2. アイ・ウォーク・アップ・イン・ラヴ・ディス・モーニング - I Woke Up in Love This Morning (L. Russell Brown, Irwin Levine) - 3:03

    デラックス・エディション盤ボーナス・ディスク[編集]

    1. ゲット・ミー・サム - Get Me Some (R. Cuomo, L. Gottwald) - 3:36
    2. ラン・オーバー・バイ・ア・トラック - Run Over by a Truck (R. Cuomo) - 3:33
    3. ザ・プリティエスト・ガール・イン・ザ・ホール・ワイド・ワールド - The Prettiest Girl in the Whole Wide World (R. Cuomo) - 4:00
    4. ザ・アンダードッグス - The Underdogs (R. Cuomo, Kazuhiro Hara) - 4:40

    参加ミュージシャン[編集]

    アディショナル・ミュージシャン

    • リル・ウェイン - ボーカル(#4)
    • ジョシュ・フリース - ドラムス(#2, #3, #8)
    • ジャックナイフ・リー - キーボード、ボーカル、ギター、パーカッション、プログラミング(#7, #9, #10)
    • Amrita Sen - ボーカル(#7)
    • ニシャート・カーン - アディショナル・ボーカル、シタール(#7)
    • アーロン・スプリツィオ - アディショナル・ベース(#7)
    • Sim Grewall - アディショナル・パーカッション(#7)

    脚注・出典[編集]

    1. ^ ウィーザー/ラディテュード (2CD)”. CDJournal. 音楽出版社. 2017年6月18日閲覧。
    2. ^ Weezer - Raditude - Amazon.com Music
    3. ^ a b c Weezer - Awards”. AllMusic. 2016年4月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月18日閲覧。
    4. ^ ORICON STYLE
    5. ^ australian-charts.com - Weezer - Raditude
    6. ^ norwegiancharts.com - Weezer - Raditude
    7. ^ a b weezer | full Official Chart History | Official Charts Company - 「ALBUMS」をクリックすれば表示される。
    8. ^ Weezer | Longplay-Chartverfolgung - musicline.de
    9. ^ lescharts.com - Weezer - Raditude
    10. ^ a b c Bosso, Joe (2009年10月19日). “Weezer's Rivers Cuomo: "How can I marry rock with hip-hop?"”. MusicRadar. Future Publishing. 2017年6月18日閲覧。
    11. ^ a b c 日本盤CD (UICF-1119/20)ライナーノーツ(小口正貴、2009年9月11日)
    12. ^ Weezer - Raditude (CD, Album) at Discogs
    13. ^ a b Dombal, Ryan (2009年10月6日). “Rivers Cuomo Explains Raditude”. Pitchfork. 2017年6月18日閲覧。
    14. ^ Love is the Answer by Weezer”. Songfacts. 2017年6月18日閲覧。
    15. ^ ウィーザー (Weezer)、新作『ラディテュード』の中身とは?”. CDJournal. 音楽出版社 (2009年9月15日). 2017年6月18日閲覧。
    16. ^ Stafford, James (2015年11月3日). “Cover Stories: Weezer, 'Raditude'”. Diffuser Network. 2017年6月18日閲覧。
    17. ^ (If You're Wondering If I Want You To) I Want You To by Weezer”. Songfacts. 2017年6月18日閲覧。
    18. ^ Caulfield, Keith (2009年11月11日). “Carrie Underwood Claims Second No. 1 On Billboard 200”. Billboard. 2017年6月18日閲覧。
    19. ^ Collar, Matt. “Raditude - Weezer”. 2017年6月18日閲覧。
    20. ^ Sheffield, Rob (2009年11月2日). “Raditude”. Rolling Stone. 2017年6月18日閲覧。
    21. ^ Sawdey, Evan (2009年11月1日). “Weezer: Raditude”. PopMatters. 2017年6月18日閲覧。