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ヘレボルス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
クリスマスローズ属
Helleborus niger
野生の Helleborus niger
(2005年4月3日、イタリア
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: キンポウゲ目 Ranunculales
: キンポウゲ科 Ranunculaceae
亜科 : キンポウゲ亜科 Ranunculoideae
: ヘレボレアエ連 Helleboreae
: クリスマスローズ属 Helleborus
学名
Helleborus
L.
タイプ種
Helleborus niger L.
シノニム
  • Helleboraster
英名
hellebore
  • H. sect. Chenopus
  • H. sect. Dicarpon
  • H. sect. Griphopus
  • H. sect. Helleborastrum
  • H. sect. Helleborus
  • H. sect. Syncarpus

ヘレボルス学名: Helleborus)は、キンポウゲ科クリスマスローズ属[1]に分類される植物の総称。ヘレボラスともいう。薬草でもあり、毒薬でもある[2]

名の由来

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属名Helleborus はギリシャ語の「helenin(殺す)」と「bora(食べ物)」を合成した言葉で「食べると死ぬ」という意味。古代ギリシア語ἑλλέβοροςhelléboros)が元とされ、薬効や毒のある植物に用いられる名であったが、その意味や語源は定かでない。古くからἐλλός(小鹿)+βιβρώσκω(食べる)で「小鹿の食べ物」に由来するとの説もあったが、印欧語学者R. ベーケスRobert Beekes)によれば、この伝統的な語源説は非常に疑わしく、実際には前ギリシャ語の非印欧語である可能性があるという[3][4]

クリスマスローズ」という呼称は、クリスマスのころに開花するヘレボルス・ニゲル (Helleborus niger) だけを指した呼称であるが、日本園芸市場では、「レンテンローズ」と呼ばれるヘレボルス・オリエンタリス (Helleborus orientalis、ハルザキクリスマスローズ) なども「クリスマスローズ」の名前で出回る。別名「雪起こし」、「寒芍薬(カンシャクヤク)」の和名も持つ。

形態・生態

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に見える部分は、植物学上では「花」ではなく「萼片」という部分である。そのため、鑑賞期間が比較的長い。ただし、本来の花弁蜜腺として残り、これが大きく発達したものを選別した品種もある。多くの品種は、クリスマスのころではなく、に開花する。休眠状態となり、は活動を休止し、呼吸しているだけの状態となる。

クリスマスローズは種で増やしていくが、花色、花形、花の模様が安定せず、同じ花が咲かない。それがクリスマスローズの最大の特徴であり、最大の魅力となっている。一方最近「メリクロン苗」と呼ばれる組織培養で増殖した品種が開発された。こちらは実生苗とは異なり、親株と同じ花が咲く。

分布

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20~22種ある。チベタヌス (Helleborus thibetanus) が中国四川省甘粛省湖北省陝西省にかけて隔離分布しているのを除けば、他の原種の全てが、ヨーロッパからトルコシリアジョージアに自生している[5][6]

人間との関わり

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クリスマスローズには、キリスト生誕時の神話が伝わっている。キリスト生誕の際、ベツレヘムに住む羊番の少女がお祝いに駆け付けたが何も持っていなかった。悲嘆にくれて帰途についた少女の前に、突然天使があらわれ一面に純白のクリスマスローズを咲かせた。少女は喜んで花を摘み、聖母マリアとキリストに捧げたという[7]

第一次神聖戦争キラ包囲戦(B.C.550)において、デルポイと隣国同盟はキラの水源にヘレボルスを投入し、キラ住民の殆どが重度の下痢を発症。隣国同盟はキラを無抵抗のうえ占拠した。

20世紀後半の品種改良は、主にイギリスでヘレン・バラードやエリザベス・ストラングマンによって進められた。「クリスマスローズ」という呼称も、「イギリスのクリスマス」に開花するという意味である。

により成分は異なるが、ジギタリスに似て強心配糖体ヘレブリンなどの根茎に含む。むかしは民間強心剤下剤堕胎薬などとして使われた。摂取すると、嘔吐腹痛下痢けいれん、呼吸麻痺めまい精神錯乱、心拍数の低下、心停止などをひき起こす。また、のどなどの粘膜がただれたり腫れあがったりする。

下位分類

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原種

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Helleborus argutifolius
レンテンローズ(H. × hybridus
  • 有茎種
  • 中間種
  • 無茎種
    • Helleborus abruzzicus - イタリアのアブルッツォ州に由来。自生地はイタリア。花色は緑。
    • Helleborus atrorubens - 濃赤色の意。自生地はスロベニア、クロアチア。花色は赤紫〜紫〜緑、小豆色、臙脂。
    • Helleborus bocconei - イタリア人修道士パオロ・ボッコネに由来。自生地はイタリア、シチリア島。花色は緑〜黄緑。
    • Helleborus croaticus - クロアチアに由来。自生地はクロアチア。花色は紫〜緑。
    • Helleborus cyclophyllus - 丸い葉の意。自生地はギリシャマケドニアなど。花色は緑〜黄緑。
    • Helleborus dumetorum - 「藪の多い場所」という意味。自生地はスロヴェニア、ハンガリー、オーストリア、ルーマニア、クロアチアなど。花色は緑、ホワイトエッジ。
    • Helleborus ligurucus - イタリアのリグーリア地方に由来。自生地はイタリア。花色は緑〜緑白。
    • Helleborus malyi (Helleborus torquatus Montenegro) - 自生地はモンテネグロ。花色は緑〜紫。
    • Helleborus multifidus
      • H. m. subsp. mulutifidus - 多数に分かれたの意。自生地はイタリア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチアなど。花色は緑〜黄緑。
      • H. m. subsp. hercegovinus - ヘルツェゴビナに由来。自生地はボスニア・ヘルツェゴビナなど。花色は緑〜黄緑。
      • H. m. subsp. istriacus - イストリア地方に由来。自生地はイストリアなど。花色は緑〜黄緑。
    • Helleborus occidentails - 「西方の」という意味。自生地はフランス、ドイツ、スペインなど。花色は緑〜黄緑。
    • Helleborus odorus - 「香りのよい」という意味。自生地はハンガリー、スロヴェニア、ルーマニアなど。花色は緑〜黄。
    • ハルザキクリスマスローズ[1](ヒメフユボタン、レンテンローズ[1][10] Helleborus orientalis(ヘレボルス・オリエンタリス)
      • H. o. subsp. orientalis -「東方の」という意味。自生地はトルコ、グルジアウクライナ。花色は白〜アイボリー、ピンク。
      • H. o. subsp. guttatus - 斑点のあるの意。自生地はウクライナ。花色は白〜アイボリー、スポット。
      • H. o. subsp. abchasicus - アブハジアに由来。自生地はグルジア(アブハジア)。花色はピンク〜紫。
    • Helleborus purpurascens - 紫色の意。自生地はハンガリー、ルーマニア、ポーランドなど。花色は灰紫。
    • Helleborus serbicus or Helleborus serbicam (Helleborus torquatus Serbia) - セルビアに由来。自生地はセルビア。花色は紫〜緑。
    • Helleborus thibetanus - 1869年フランス宣教師のダヴィッド神父によって四川省宝興で発見された。種小名は「チベット」を意味する。自生地は中国四川省甘粛省湖北省陝西省、標高800㍍から1500㍍の冷涼な地に生える。花色は白〜ピンクと幅がある。自生地では雪解け後すぐに開花する。
    • Helleborus torquatus - 「襟飾り」という意味。自生地はボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、モンテネグロ、セルビアなど。花色は緑〜紫、ベイン。
    • アサギフユボタン[11] Helleborus viridis - 緑色の意。自生地はスイス、フランス、イタリアなど。花色は緑。

交雑種

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ニゲルXアーグティフォリウスの交配種 バレンタイングリーン
  • 無茎種の交雑
    • ヘレボラス・ヒブリダス Helleborus × hybridus
  • 自然交雑種
    • Helleborus odorus laxusHelleborus odorus × Helleborus multifidus subsp. istriacus
  • 有茎種の交雑
    • Helleborus × balladiaeHelleborus niger × Helleborus lividus
    • Helleborus × ericsmithiiHelleborus niger × Helleborus × sternii
    • Helleborus × nigercorsHelleborus niger × Helleborus argutifolius
    • Helleborus × sterniiHelleborus argutifolius × Helleborus lividus
    • Helleborus × belcheri('Pink Ice' Helleborus niger × Helleborus thibetanus) - Ashwood Nursery 作出。
    • Helleborus × ashwoodensis('Briar Rose' Helleborus niger × Helleborus vesicarius) - Ashwood Nursery 作出。
    • Helleborus × sahiniiHelleborus niger × Helleborus foetidus
    • Helleborus × hybridus × Helleborus niger('Snow White')
    • Helleborus × hybridus × Helleborus thibetanusHelleborus 'Yoshino')
    • Helleborus foetidus × argutifolius
    • 品種
    • ホワイトニゲル
    • オーレアピコティー

八重咲きの基となった品種

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  • Helleborus torquatus 'Dido(ディド、ダイドー)' 'Aeneas'(イーニアス)
  • Helleborus × hybridus 'Mrs. Betty Ranicar'(ミセス ベティー ラニカー)
  • Helleborus × hybridus 'Insomnia'(インソムニア)

2011年 第9回 クリスマスローズの世界展

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脚注

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  1. 1 2 3 4 大場秀章編著『植物分類表』アボック社、2009年。ISBN 978-4-900358-61-4
  2. 瀧井康勝『366日 誕生花の本』日本ヴォーグ社、1990年11月30日、324頁。ISBN 4-529-02039-8
  3. Beekes, Robert S. P. (2010). Etymological Dictionary of Greek. Leiden: Brill. pp. 1080 (p.413). ISBN 9789004174184
  4. hellebore (n.)”. Online Etymology Dictionary. Douglas Harper (2001年). 2024年9月5日閲覧。
  5. 野々口稔・横山直樹監修 『もっとクリスマスローズ』NHK出版、2016年、42~43頁、ISBN 978-4-14-199222-6
  6. 横山直樹著 『クリスマスローズ』 誠文堂新光社、2015年、16~17頁、ISBN 978-4-416-71447-8
  7. 『366日 誕生花の本』日本ヴォーグ社、1990年11月30日、364頁。ISBN 4-529-02039-8
  8. 米倉浩司・梶田忠 (2003-). Helleborus foetidus L. コダチクリスマスローズ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2025年11月16日閲覧。
  9. 米倉浩司・梶田忠 (2003-). Helleborus niger L. クリスマスローズ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2025年11月16日閲覧。
  10. 米倉浩司・梶田忠 (2003-). Helleborus orientalis Lam. ハルザキクリスマスローズ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2025年11月16日閲覧。
  11. 米倉浩司・梶田忠 (2003-). Helleborus viridis L. アサギフユボタン(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2025年11月16日閲覧。

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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