ブロック塀

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コンクリートブロック塀
日本で普通に見られるブロック塀/鎌倉市にて撮影。
フランスイル=ド=フランス地域圏のマニー=レ=ザモー (fr) で見られるブロック塀(右側の、互い違いに積み上げてある部分)[* 1]
ポルトガルマデイラ諸島の都市フンシャルで見られるブロック塀[* 1]
米国ケンタッキー州フロイド郡の町で見られるブロック塀(右下)

ブロック塀(ブロックべい)とは、ブロック状の建材を主材として造られるである。ブロック(ブロックかべ)の一種で、ブロック建材による工作物の一種[* 2]。ブロックの材質としては、(石ブロック)、煉瓦(煉瓦ブロック、ブロック煉瓦)、コンクリートコンクリートブロック)がある。

現代日本(現代日本語)の場合、石製は石塀(いしべい)[1]の一種であり、煉瓦製は煉瓦塀(れんがべい)[2]、コンクリート製はコンクリートブロック塀(コンクリートブロックべい。コンクリート製のブロック塀、コンクリートブロックの塀[3])というが、単に「ブロック塀」と言った場合はコンクリートブロック塀を指す。これは一般の通用語として特にそうであるが、専門業者(建築業者、メンテナンス業者等)や公共機関での名称としても「コンクリートブロック塀」と略称としての「ブロック塀」は共に使われている。また、CB塀[* 3]と略記される。

英語では "block wall" が「ブロック塀」に近く、"concrete block wall, concrete-block wall" が「コンクリートブロック塀」に近いが、「塀」ではなく「壁」である分、広義である。なお、英語圏建築文化は石と煉瓦によるところが大きく、現代でもそのことに大きな変化は見られない。

歴史[編集]

コンクリートブロックで塀が造られるようになったのは、日本では第二次世界大戦後のことである。日本では1952年(昭和27年)にJIS規格が整えられている。

構造[編集]

コンクリートブロック塀の場合、構造は基礎(I型、L型、T型)の上にモルタルを充填しながらブロックが積み上げられる。ブロックの内部には縦横方向にそれぞれ所定の間隔で鉄筋が配される。また、装飾性と通気性の利点から用いられる穴あきブロック(透かしブロック)もある。

ブロックの積まれ方には地域の特色が現れる場合もある。例えば沖縄で交互(うま)に積まれているのが一般的であるが、他の地方ではあまり見られない。透かしブロックは様々な意匠のものが販売されている。

設計基準[編集]

日本の建築基準法や建築基準法施行令は、補強コンクリートブロック造の塀と呼んで瞬時に倒れないための最低条件を規定している[4]。後述の宮城県沖地震の教訓から、1981年(昭和56年)、塀の高さの上限が3mから2.2mに引き下げられた[5][6]。高さ2m以下の場合10以上、2m超の場合15㎝以上の、壁の厚さが必要である[4]。高さ1.2m超の場合、長さ3.4m以下ごとに控え壁を設けなければならない[4]。基礎の構造や鉄筋の規格・定着方法・配置間隔についても定められている[4]日本建築学会は、法令を補足するものとして「コンクリートブロック塀設計規準」を定めて推奨している[7]

構成要素[編集]

ブロック[編集]

建築用コンクリートブロック

塀・手摺鳥居などの最上端に設けられる横架材(横木)[8]を「笠木(かさぎ)」というが、ブロック塀でも同じくそう呼び、そのブロックは、笠木ブロックブロックの笠木、あるいは単に笠木という[9]

石とコンクリートの場合、建材として強度が高いため、穴の空いているタイプのブロックを用いることが可能で、壁面の要所要所に配されることが多い。このようなブロックを透かしブロック(すかしブロック)というが、石であれコンクリートであれ、単なる壁とは違って塀には装飾的要素が求められるため、通気性のみならず装飾性の用途をもって設けられている[10]ことが多い(■右列最上段の画像を参照)。

透かしブロックのいろいろ

鉄筋[編集]

横方向の鉄筋を欠いた例。地震発生時は倒壊の危険がある。

日本では、1978年(昭和53年)に発生した宮城県沖地震で、鉄筋の入っていない耐震性に欠けるコンクリートブロック塀の倒壊で下敷きになって18名が死亡しており、全体の死者28名に対して多くを占めた。同様に多くの負傷者も出した。このことから、これを教訓として規制の強化が図られ、全国で実行された。

このような経緯もあって、現代日本の場合、太さ10mm以上の所定のJIS規格満たす鉄筋を、横方向が400mm間隔、縦方向が400mm~800mm(主壁の高さや控壁の有無、鉄筋の太さにより異なる)で配することが義務づけられている。

コンクリートブロック塀に換えて住宅の周囲に生垣を用いるよう地方自治体等が推奨するのもその一環で、静岡県の市町の多くや、全国の数多くの自治体が、このような生垣作りに補助金を支給する制度を整えた(※ただし、ヒートアイランド対策や[11]もっと多目的の緑化を主目的として推奨するケースとの見分けは容易でない場合もある)。仙台市では、雅称「杜の都」を推し出しながらの取り組み[12]が実を結び、生垣を用いる通念が広く普及するに到った[要出典]

安全性[編集]

日本の場合、建築基準を満たさない危険なコンクリートブロック塀が、危険性について無知な人間や[6]、建設も点検メンテナンスも専門業者任せで無責任な人間[6]、知ったうえで経費を惜しんで施工業者に手抜きを強いる施工主[6]、知ったうえで利益を優先して不正に手がける施工業者[6]などによって設けられ維持されていることも珍しくない。また、厳しい方向へ法改正される以前に設けられていたり、増設されていたりする場合、これらを違法とすることができず、結果、放置されてしまうという現実がある[6]。建築法や危機管理の専門家は、日本におけるこのようなコンクリートブロック塀に潜む危険性を長年に亘って啓蒙しているが、十分に伝わりきらない地域や聞く耳を持たない人も多い。また、公的機関や公共施設が危険性を認識していながら、予算が付かない、予算を回せない、回さないなどといった事情や都合やエゴから、先延ばしにされているケースや、あまりにも数が多いために把握しきれないことで、結局のところ先延ばしにされているケースが非常に多い[6]。このようにして野放しにされ続ける劣悪なコンクリートブロック塀の危険性は、大きな地震が起こった際に倒壊することで露呈するケースが後を立たない[6]。そうした結果、最も不幸なケースとして、ブロック塀の脇を通過していて倒壊に巻き込まれる死亡事故が起こってしまう[6]2018年(平成30年)の大阪府北部地震で女子小学生1名が死亡した小学校の事例などは、違法に増設されたブロック塀の壁の全面に壁画が描かれており[13]、普段から高い問題意識と警戒心も持って観察でもしない限り、コンクリートブロック塀と気付かないことも理解できるような、タチの悪い状態となっていた。スクールゾーンにおけるブロック塀の危険性に関する住民の認識は、例えば東海地震発生の想定地域や東日本大震災の主要な被災地域のように危機意識の高い地域では2000年代静岡市では2002年度〈平成14年度〉[13])から啓蒙されてきただけに[14][15][* 4]かなり浸透していると言えようが、意識の低い地域では未だに問題の多すぎる状況にある。ただ、正しくスクールゾーンを歩いていながら母校の違法建築物の犠牲になった女児の悲劇とそこに潜んでいた危険性は、多くの日本人の関心の的となったようで、マスコミにも係る問題はそれまでになく大きく取り上げられた(翻って言えば、高齢者がブロック塀倒壊の犠牲になったというニュースは、地震大国日本で全く珍しくもない半ば無関心事になってしまっている)。

劣化[編集]

コンクリートブロック塀の寿命には鉄筋腐食が関係しており、鉄筋の腐食は、コンクリートブロック塀の空洞部に滞留した水が係わっている。コンクリートブロック塀内部に造作中に水を入れない、浸透しないように防水処理を行なう、水が滞留できないようにする、空洞部の水を常に出るようにする、などの措置をとることにより、ブロック塀の寿命をのばすことができる[要出典]

風雨にさらされる過酷な環境に常に置かれるため、良好に設計・施工されたコンクリートブロック塀であっても、大気中の二酸化炭素モルタルが反応して中性化したり、約20年で鉄筋にが現れるなど、劣化が進行する[16]

地震による倒壊[編集]

日本では、1978年(昭和53年)の宮城県沖地震以降、1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災2005年(平成17年)の福岡県西方沖地震2016年(平成28年)の熊本地震2018年(平成30年)の大阪府北部地震でも、倒壊による死亡事故が発生している[17][13][18]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ a b 現代日本の建築基準法に照らすとすれば、およそあり得ない不安定な構造になっている。
  2. ^ 塀は壁の一種で、壁は工作物の一種。
  3. ^ 読みは存在せず、あえて読むなら、元のままの「コンクリートブロックべい」である。
  4. ^ そのほか、[ブロック塀 スクールゾーン]をキーワード検索すれば、数多くの地方自治体の取り組みを確認できる。

出典[編集]

  1. ^ 石塀”. 小学館『デジタル大辞泉』、三省堂大辞林』第3版、リフォームホームプロ『リフォーム用語集. コトバンク. 2018年6月21日閲覧。
  2. ^ 煉瓦塀”. 『大辞林』第3版. コトバンク. 2018年6月21日閲覧。
  3. ^ ブロック塀”. リフォームホームプロ『リフォーム用語集』[1]. コトバンク. 2018年6月19日閲覧。
  4. ^ a b c d 建築基準法施行令62条の8”. 建築基準法施行令. e-GOV. 2018年6月18日閲覧。
  5. ^ 石倉徹也ほか (2018年6月18日). “崩れたブロック塀、建築基準法に違反 9歳女児死亡”. 朝日新聞 (朝日新聞社). https://www.asahi.com/articles/ASL6L6VPPL6LPLBJ00S.html 2018年6月19日閲覧。 
  6. ^ a b c d e f g h i “震災のたび犠牲、身近な塀が「凶器」に 違法状態の把握も困難…自治体は苦慮 大阪地震で児童ら死亡”. 西日本新聞 朝刊 (西日本新聞社). (2018年6月19日). https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/425714/ 2018年6月19日閲覧。 
  7. ^ ブロック塀の基準”. 社団法人日本建築学会 材料施工委員会 組積工事運営委員会 ブロック塀システム研究小委員会 (2002年1月10日). 2018年6月18日閲覧。
  8. ^ 笠木”. 『デジタル大辞泉』、『大辞林』第3版. コトバンク. 2018年6月21日閲覧。
  9. ^ 笠木”. ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』、小学館『日本大百科全書:ニッポニカ』. コトバンク. 2018年6月21日閲覧。
  10. ^ 透かしブロック”. 『大辞泉』. コトバンク. 2018年6月21日閲覧。
  11. ^ 資料11.生垣助成実施自治体一覧 date=2009-06 (PDF)”. 公式ウェブサイト. 環境省. 2018年6月19日閲覧。
  12. ^ 仙台市 建設局 百年の杜推進課 (2016年9月20日). “生垣づくり助成事業”. 公式ウェブサイト. 2018年6月19日閲覧。
  13. ^ a b c 危ない“ブロック塀”どうする”. NHKニュースウェブ. NHK (2018年6月18日). 2018年6月19日閲覧。
  14. ^ 宮城県庁 建築宅地課 建築指導班 (2012年9月10日更新). “スクールゾーン内危険ブロック塀等緊急被災度調査の結果”. 公式ウェブサイト. 宮城県. 2018年6月19日閲覧。
  15. ^ 名取市役所 都市計画課 建築係 (2014年6月11日更新). “スクールゾーン内危険ブロック塀除却事業”. 公式ウェブサイト. 名取市. 2018年6月19日閲覧。
  16. ^ 劣化のメカニズムとメンテナンス”. 社団法人日本建築学会 材料施工委員会 組積工事運営委員会 ブロック塀システム研究小委員会 (2002年1月10日). 2018年6月18日閲覧。
  17. ^ 倒壊のブロック塀「通学路から非常に高く危険」”. NHKニュースウェブ. NHK (2018年6月18日). 2018年6月19日閲覧。
  18. ^ 女児の命奪った「危険ブロック塀」 「近づいてはいけない」その特徴は”. J-CASTニュース. 株式会社ジェイ・キャスト (2018年6月18日). 2018年6月19日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]