ブレイン・マシン・インタフェース

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ブレイン・マシン・インタフェースBrain-machine Interface : BMI、脳介機装置) とは、人と機械の意思や情報の仲介のためのプログラムや機器であるマンマシンインタフェース(人介機装置)のうち、脳波を解析して機械との間で電気信号の形で出入力するためのプログラムや機器である。出力先がコンピュータである場合にはブレイン・コンピュータ・インタフェースBrain-computer Interface : BCI、脳介電装置)とも呼ばれる。共に想念技術の一形態である。

概要[編集]

脳介機装置とは、脳の神経ネットワークに流れる微弱な電流から出る脳波を計測機器によって感知し、これを解析する事によって人の思念を読み取り、電気信号に変換する事で機器との間で情報伝達を仲介する。情報の流れが一方通行の片通脳介機と、相互疎通が可能な双通脳介機が想定されているが、現在実現しつつあるのは一方通行の片通脳介機技術のみである。

片通脳介電では一方通行の情報伝達を行い、脳から命令をコンピュータが受ける電気信号に変換する「換電」のほか、コンピュータからの電気信号を脳波に変換する「換波」を行う。

SF等で想定されている双通脳介電では、と外部機器との間で情報を交換・共有するため、人または動物と機械が一体化することになるが、現実には動物実験・人体実験とも移植は成功していない。ここでいう脳とは心や精神ではなく、物質として存在する有機生命の神経系(もしくは神経系のモデル)そのものを指す。

実際にBCIをはじめとする想念技術の研究が始まったのは1970年代頃で、実際に人体に外部機器が移植されたのは1990年代中頃になってからである。21世紀に入り、機能としては不十分ながら視覚聴覚を補助する人工感覚機器や、モーターによって動作する義手義足といった片通脳介電機器の人間への移植事例が既に存在する。また、これまでの実験を通して分かったことは、BCIを移植した際の脳の適応性が大きい点である。近年の技術や知識の進展で、BCI技術は人間の機能拡大をもたらすと考えられている。

方式[編集]

この技術が現実味を帯びてきたのは1990年代以降、MRIなどといった、生きたまま脳の活動を観測する脳機能イメージング技術ができた頃である。初期の技術は手足の筋肉の電気を読み取るものであったが、現在のB.M.I.では頭皮に電極を配置した網を被せる非侵襲式と、頭部を切開して電極を埋め込む侵襲式の2種類がある。またこの2種類を組み合わせることでより実用的かつ高度的な活動が可能になる。

侵襲式
侵襲式には、硬膜下など比較的安全な場所に電極を設置する方法(部分的侵襲式)と、脳に直接電極を埋め込む方法とがある。また、脳のニューロン一本一本に血液を供給している毛細血管に100nmほどの極細ワイヤを通し、脳内のニューロン全てにアクセスするという研究も行われている。侵襲式は精度の高い読み取りが可能だが、技術がまだ安定していない上に手術による感染症・脳の損傷といった本末転倒的なリスクも伴う。
非侵襲式
非侵襲式では、手軽にセンサーの取り外しが出来ることから実用面でリードしているものの、頭蓋骨などの影響で脳波が変化してしまい(体積伝導)、侵襲式と同じように正確に情報を読み取れるかどうかは課題として残っている。
この技術により神経科学脳科学)と電子工学が融合して神経工学とよばれる新たな分野が誕生した。

実例[編集]

玩具
2003年 スウェーデンのInteractive Productline社がMindballを発売
2009年10月 アメリカ合衆国のベンチャー企業NeuroSky社が脳波の強弱を測定できる「Mindset」を発売[1]。これに対応する玩具が発売されている。[2]
同様の脳波測定機器が数社から発売されている。
介護・福祉
筋萎縮性側索硬化症患者や事故などで、脊椎の損傷による部分・全身麻痺となった人がコンピュータ画面上でのマウスポインタの使用、文字入力、ロボット義手車椅子などを自由自在に操作することが実現されているなど、脳以外の器官を端末と捉えることでの医療も出現してきた。応用例としてパーキンソン病うつ病の治療にも脳深部刺激療法として実用化されている。しかしうつ病の場合、患者の性格を変えてしまう危険性もあるので法律面や倫理面で議論されている。失明した患者がカメラと脳を接続することで、かなり不鮮明ながら外界を捉えることもできる。
日本では国の科学研究戦略推進プログラムの後押しで2012年から大阪大学附属病院と東京大学などのグループが共同で臨床研究をスタートさせる。
軍事
アメリカ合衆国が、21世紀の覇権を握るべくDARPAに対して巨額の資金を投入していることが有名で、軍事競争にも拡散している。この技術を応用して戦闘サイボーグといった兵士を造り上げることや、操縦士にB.M.I.を施すことで、脳で戦闘機戦車といった端末軍事用ロボット)を遠隔操縦する構想もある。いずれも戦闘による人的損害を減らすことに目的がある。また、軍事に限らず人的損害を減らす目的で、地雷処理など人間では危険な作業や高圧・真空といった過酷な環境への利用も期待されている。
スポーツ
良い結果に結びつきやすい脳波状況を訓練によって安定維持できるようにする目的で、脳波形を用いたバイオフィードバックと呼ばれる手法が、アメリカ合衆国等ではオリンピック選手の競技練習に取り入れられている。

ニューヨーク州立大学のジョン・シェーピン教授によるマウスでの実験では、脳の快感を知覚する場所に電気刺激を送って物理的に手なずけることで、自在に進行方向を命令する[3]などの顕著な例も見られる。

脚注[編集]

  1. ^ http://www.neurosky.com/
  2. ^ http://unclemilton.com/starwarsscience/
  3. ^ L Hermer-Vazquez, R Hermer-Vazquez, I Rybinnik, G Greebel, R Keller, SH Xu, JK Chapin. (2005) Physiology & Behavior 84 (5): 753-759 doi:10.1016/j.physbeh.2005.03.007

参考文献[編集]

関連項目[編集]

医学・工学
哲学
SF・アニメ等

外部リンク[編集]

動画
HP