パーントゥ

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パーントゥは、沖縄県宮古島で行われる悪霊払いの伝統行事である。平良島尻と上野野原の2地区で行われているが、両地区で内容は異なっている。

1993年に重要無形民俗文化財に指定されている[1]。また、2016年には「来訪神:仮面・仮装の神々」のひとつとして国連教育科学文化機関(UNESCO)の無形文化遺産への登録が提案された。しかし、審査が先送りされ、2017年に再提案することが決定している[2][3]

語源[編集]

宮古島の歴史について書かれた『宮古島庶民史』(稲村賢敷、1948年)によれば、「パーン(食む)+ピトゥ(人)」が訛化した言葉であると言う説が述べられている。

平良地区島尻のパーントゥ・サトゥプナハ(里願い)[編集]

「島尻のパーントゥ・プナハ」(宮古島市総合博物館)

年3回(旧暦3月末から4月初、旧暦5月末から6月初、旧暦9月吉日[4])行われるが、3回目には、面をつけた来訪神のパーントゥが出現することから、パーントゥ・プナハともいっている。保持団体は島尻自治会。

来訪神は3体で、選ばれた字島尻地区の青年が扮する。パーントゥとなった3人は、仮面を着け蔓草のシイノキカズラ[5]をまとい、全身にを塗る。この泥は、宮島小学校の東側にある「ンマリガー(産まれ泉)」と呼ばれる泉の底から取られる。「ンマリガー」は特別な泉で、かつて産湯には必ずこの泉から汲んだ水が用いられた。5人の女性神役(ミズマイ)にウパッタヌシバラ(拝所)で祈願をしてから集落に出て厄払いをする。厄払いは誰彼かまわず人や新築家屋に泥を塗りつけて回るというもので、泥を塗ると悪霊を連れ去るとされている[6]

なお、この「ンマリガー」から採取する泥は強烈な臭気を放ち、塗られたら数日はその臭いが取れないため、下手におしゃれをして参加しようものなら無残なことになる。

問題[編集]

単なる興味本位などの安易な気持ちでこの行事に参加する観光客が近年激増しており、彼らによる苦情が問題となっている[7]。主に女性観光客からの苦情が多く、その内容は「服が汚された」「抱きつかれた」などで、最近では泥を塗りつけられたことに激怒した男性の観光客がパーントゥを暴行する事件も発生している[7]。また、商談のために折悪く開催中に訪れたために巻き込まれ、スーツや納品する物品、携帯までも使い物に出来なくされた事案も上がっている。開催中止が検討されたが、2014年現在は、ホームページへの日程掲載や大々的な宣伝をせず、観光客の大挙を防ぐほか、パーントゥへの護衛を付けることで対処している[7]

上野地区野原のパーントゥ[編集]

旧暦12月最後の丑(うし)の日に行われる厄払いである[8]。保持団体は野原部落会。

土地ではサティパライ(里祓い、さとばらい)ともいっている[8]。参加者は女性と子供で構成し、成人の男性は参加しない[9]。女達は頭や腰にクロツグセンニンソウを巻き[8][10]、両手に悪霊祓いとしての意味をもったヤブニッケイの小枝を持つ[11][10]。男の子の1人はパーントゥの面を着け[8]、他のものは小太鼓とほら貝で囃す。夕方祈願のあと集落内の所定の道を練り歩き厄払いをする。

インドネシアミクロネシアでも似た祭りがあるとされる[11]

脚注[編集]

  1. ^ 宮古島のパーントゥ - 国指定文化財等データベース”. 文化庁. 2015年2月23日閲覧。
  2. ^ 「来訪神:仮面・仮装の神々」のユネスコ無形文化遺産登録に向けた再提案及び当面の対応について (PDF) 文化庁、2017年2月22日
  3. ^ 無形文化遺産、「来訪神」10件で再申請へ 政府 日本経済新聞、2017年3月2日
  4. ^ “奇祭「パーントゥ」 集落に悲鳴と歓声 宮古・平良島尻”. 琉球新報 (琉球新報社). (2005年10月4日). http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-7131-storytopic-5.html 2015年2月23日閲覧。 
  5. ^ 現地の言葉でキャーンという宮古毎日新聞http://www.miyakomainichi.com/2015/08/79828/ 2015年8月30日閲覧
  6. ^ 宮古島尻のパーントゥ”. 沖縄県公文書館. 2015年2月23日閲覧。
  7. ^ a b c “神様の泥塗り苦悩 宮古島・パーントゥ”. 沖縄タイムス+プラス (沖縄タイムス社). (2014年10月5日). http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=85328 2015年2月23日閲覧。 
  8. ^ a b c d “神様になって厄払い 宮古島で伝統行事サティパロウ”. 沖縄タイムス+プラス (沖縄タイムス社). (2015年2月18日). http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=103658 2015年2月23日閲覧。 
  9. ^ “厄払いで「ホーイ」 宮古島市でサティパロウ”. 琉球新報 (琉球新報社). (2012年1月18日). http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-186381-storytopic-5.html 2015年2月23日閲覧。 
  10. ^ a b “「ホーイホーイ」と厄払い/国の重要無形民俗文化財”. 宮古毎日新聞 (宮古毎日新聞社). (2015年2月19日). http://www.miyakomainichi.com/2015/02/72926/ 2015年2月23日閲覧。 
  11. ^ a b “「ホーイホーイ」と厄払い”. 宮古毎日新聞 (宮古毎日新聞社). (2014年1月31日). http://www.miyakomainichi.com/2014/01/59431/ 2015年2月23日閲覧。 

外部リンク[編集]