なまはげ
なまはげは、大晦日に秋田県の男鹿市と三種町、潟上市の一部の各家々で行われる伝統的な民俗行事。本来は小正月の行事であった。
「男鹿(おが)のナマハゲ」として、国の重要無形民俗文化財に指定されている。
目次
風習の内容[編集]
「なまはげ」は怠惰や不和などの悪事を諌め、災いを祓いにやってくる使者(鬼・妖怪の類い)である。年の終わりに、大きな出刃包丁(あるいは鉈)を持ち、鬼の面、ケラミノ、ハバキをまとって、なまはげに扮した村人が家々を訪れ、「悪い子はいねがー」「泣ぐコはいねがー」と奇声を発しながら練り歩き、家に入って怠け者、子供や初嫁を探して暴れる。家人は正装をして丁重にこれを出迎え、主人が今年1年の家族のしでかした日常の悪事を釈明するなどした後に酒などをふるまって、送り返すとされている。
名称[編集]
冬に囲炉裏(いろり)にあたっていると手足に「ナモミ」 「アマ」と呼ばれる低温火傷(温熱性紅斑)ができることがある。“それを剥いで”怠け者を懲らしめ、災いをはらい祝福を与えるという意味での「ナモミ剥ぎ」から「なまはげ」 「アマハゲ」 「アマメハギ」 「ナモミハギ」などと呼ばれるようになった。したがってナマに「生」の字を当て「生剥[1]」とするのは誤り。
一般的に、赤面がジジナマハゲ、青面がババナマハゲとされているが、違う地域もある。
名称の異なる同類の風習[編集]
同様の行事は同じ秋田県秋田市のやまはげ、秋田県能代市のナゴメハギ、山形県遊佐町のアマハゲなど、主に本州北部の日本海沿岸部各地に存在し、新潟県村上市や石川県能登地方にはあまめはぎが伝えられ、福井県には語源は異なるがあっぽっしゃなどの呼び名でも分布する。太平洋側でも北東北地方の岩手県大船渡市三陸町は吉浜のスネカがある。江戸時代に東北から藩主が入った愛媛県宇和島地方では、前述の低温火傷を「あまぶら」といって、あまぶらができるような怠け者が便所に入ると、「あまぶらこさぎ」という者があまぶらを取り去るという[2]。
ルーツ[編集]
妖怪などと同様に民間伝承であるため、正確な発祥などはわかっていない。秋田には、「漢の武帝が男鹿を訪れ、5匹の鬼を毎日のように使役していたが、正月15日だけは鬼たちが解き放たれて里を荒らし回った」という伝説があり、これをなまはげの起源とする説がある[3][4]。
一方、なまはげは鬼とは無縁の来訪神であったが[5][6]、近代化の過程で鬼文化の一角に組み込まれ、変容してしまったという説もある[6]。
なまはげ柴灯まつり[編集]
大晦日のほかに「なまはげ柴灯(せど)まつり」が真山神社で2月にあり、これは主に観光向け行事として親しまれている。こちらは、なまはげの着ているケラから落ちた藁を頭などに巻きつけると無病息災の御利益があるといわれている[7][8][9]。
なまはげにまつわる事件[編集]
2007年の大晦日になまはげに扮した男が飲酒した事で酩酊して、温泉旅館の女性浴場に乱入する騒動が発生した[10]。これを受けて2008年1月に、男鹿市ではなまはげの暴れ方に関する指針、いわゆる行動指針の策定のため、同市副市長伊藤正孝ら行政側と地区代表らが協議したが、マニュアル作成は見送られ、「伝統の原点へ回帰する」ことで決着、その後行政による指導はないと報じられた[11]。
なまはげの教育的機能[編集]
なまはげは伝統的民俗行事であるが、東北地方においては幼児に対する教育の手段として理解されている。親は幼児に対し予めなまはげによる強い恐怖体験を記憶させ、そのあと幼児に対し望ましくないとみなされる行為を行った場合、その恐怖体験が再現される可能性を言語的手段によって理解させる[12]。
なまはげのマスコット[編集]
- 超神ネイガー
- なまはげをモチーフにした、秋田県出身のキャラクター。考案者はにかほ市在住の元プロレスラー。テーマ曲は水木一郎が歌っている。乗り物は二条狩りのコンバインやハタハタ型のオートバイなど。
- 秋田県を守る、正義の味方。イベントでは、秋田県内を問わず各地に出向いているようである。
- ナミー・ハギー
- 2001年に開催された、秋田ワールドゲームズ2001での大会マスコット。終了後は、秋田信用金庫に譲渡されて、同信金のマスコットとして配布物に使われている。
なまはげにちなんだ商品[編集]
- 1985年(昭和60年)~2006年(平成18年)の期間と2012年(平成24年)からの期間にトヨタ・カローラ→トヨタ・カローラアクシオセダンの1300ccモデルをベースとした秋田県限定の特別仕様車「なまはげ」が販売された。
脚注[編集]
- ^ 生剥は「いきはぎ」と読み別の意味になる。
- ^ 水木しげる 『水木しげるの続・妖怪事典』 東京堂出版、1984年、136頁。ISBN 978-4-490-10179-9。
- ^ 万造寺竜 『旅の伝説玩具』 旅行界発行所、1936年、75-77頁。
- ^ 野添憲治・野口達二 『秋田の伝説』 角川書店〈日本の伝説〉、1976年、23-24頁。NCID BN03653538。
- ^ 大湯卓二・嶋田忠一 「秋田の鬼」『東北の鬼』 岩手出版、1989年。NCID BN04047704。
- ^ a b 小松和彦 『妖怪文化入門』 角川書店、2012年、150-152頁。ISBN 978-4-04-408303-8。
- ^ 「男鹿のなまはげ」秋田県公式サイト内
- ^ なまはげに関する基礎知識
- ^ 「美と畏怖の追求~ナマハゲ面彫刻~」秋田の物産総合情報サイトNEMARE内
- ^ “男鹿温泉エロなまはげ、女湯に乱入お触り”. 日刊スポーツ新聞 (日刊スポーツ新聞社). (2008年1月13日). オリジナルの2008年1月14日時点によるアーカイブ。 2010年2月16日閲覧。
- ^ “なまはげ「原点回帰を」 秋田・男鹿市、セクハラで協議”. MSN産経ニュース (産経新聞). (2008年1月30日). オリジナルの2010年2月16日時点によるアーカイブ。 2010年2月16日閲覧。
- ^ 内藤俊史1987「こどもの内在的正義の観念としつけ態度との関係---農村地域におけるケーススタディ」『社会心理学研究』3(1):29-38
関連項目[編集]
- アマハゲ
- あまめはぎ
- 小正月の訪問者
- 秋田県の観光地
- ブラウブリッツ秋田 - クラブのエンブレムがなまはげをモチーフとしている。
- クランプス - ドイツ南部など中央ヨーロッパでクリスマスシーズンに現れる化け物。なまはげと類似する点が多い。
外部リンク[編集]
- 男鹿のなまはげ(2006年12月31日時点のアーカイブ)
- (重要無形民俗文化財)男鹿のナマハゲ 2012 男鹿市教育委員会 生涯学習課 文化財班 (日本語)(英語)(ロシア語)(中国語) (韓国語) 2015-06-13閲覧。
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