ハミルトン公爵

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ハミルトン公爵
Duke of Hamilton
公爵の紋章上の冠
ハミルトン家の紋章
創設時期 1643年4月12日
創設者 チャールズ1世
貴族 スコットランド貴族
初代 ジェイムズ・ハミルトン(3代ハミルトン侯)
現所有者 アレグザンダー・ダグラス=ハミルトン英語版(16代ハミルトン公)
相続資格 初代公の男系男子、初代公の弟、初代公の弟の男系男子、初代公の長女、初代公の長女の男系男子[1]
付随称号 下記参照

ハミルトン公爵英語: Duke of Hamilton)は、スコットランド貴族公爵位。3代ハミルトン侯爵ジェイムズ・ハミルトンが、1643年に叙されたのに始まる。1711年には4代ハミルトン公爵ジェイムズ・ハミルトングレートブリテン貴族ブランドン公爵に叙されており、以降2つの公爵位を保有する家となる。2017年現在の当主は16代ハミルトン公爵・13代ブランドン公爵アレクサンダー・ダグラス=ハミルトン英語版である。

歴史[編集]

初代ハミルトン公ジェイムズ・ハミルトン

ハミルトン氏族の長でカデュ領主(Lairds of Cadzow)だったジェイムズ・ハミルトン英語版(-1479)は、スコットランド王ジェイムズ2世の娘メアリー・ステュワート英語版と結婚し、1445年6月28日にはスコットランド貴族爵位のハミルトン卿(Lord Hamilton)に叙せられた[2][3][4]

その間の息子である第2代ハミルトン卿ジェイムズ・ハミルトン(1475頃–1529)は、1503年8月11日にスコットランド貴族爵位アラン伯爵英語版に叙せられた[5][6]。彼は摂政補佐役としてスコットランド王宮で活躍した[4][7]

その息子の第2代アラン伯爵ジェイムズ・ハミルトン(1515–1575)は、メアリー女王の摂政を務めた[4][7]。彼は1549年にはフランスからシャテルロー公爵(Duc de Châtellérault)の爵位も得ているが[6][5]、この爵位は1559年に剥奪されている。

2代アラン伯の死後、その長男ジェイムズ・ハミルトン英語版(-1609)が3代アラン伯爵位を継承したが、後に精神に異常をきたして幽閉された。一方2代アラン伯の三男で3代アラン伯の弟ジョン・ハミルトン英語版(1535–1604)は、1599年4月17日にスコットランド貴族爵位ハミルトン侯爵(Marquis of Hamilton)とエイヴェン卿(Lord Aven)に叙せられた[4][8][9]

その息子であるジェイムズ・ハミルトン(1589–1625)は、父から第2代ハミルトン侯爵位を継承した後、1608年5月5日にスコットランド貴族爵位アダーブロスウィック卿(Lord Aberbrothwick)に叙され、1609年には伯父の死でアラン伯爵位やハミルトン卿位も継承した。さらに1619年6月16日にはイングランド貴族爵位のケンブリッジ伯爵(Earl of Cambridge)インナーデール男爵(Baron of Innerdale)に叙されている[10][9]

その息子である第3代ハミルトン侯爵ジェイムズ・ハミルトン(1606–1649)は、主馬頭英語版を長期にわたって務め、1643年4月12日ハミルトン公爵(Duke of Hamilton)エイヴェン=インナーデール卿(Lord Aven and Innerdale)アラン=ケンブリッジ伯爵(Earl of Arran and Cambridge)クライズデール侯爵(Marquess of Clydesdale)に叙された。いずれもスコットランド貴族爵位である[11][12]。しかし王党派の彼はイングランド内戦議会派と対立、1648年オリバー・クロムウェル率いる議会軍に抵抗してプレストンの戦いで敗北し翌1649年に処刑された[13][14]

初代公爵の処刑後、その弟ウィリアム・ハミルトン(1616–1651)が第2代ハミルトン公爵位を継承した。彼はハミルトン公爵位襲爵前の1639年3月31日にスコットランド貴族爵位ラナーク伯爵(Earl of Lanark)マッカンジリー=ポルモント卿(Lord Machanshire and Polmon)に叙されていた[12][15]。2代ハミルトン公爵の死後、アラン伯爵位とハミルトン卿位は停止(dormant)し[6][3]、それ以外の爵位は終了したが[15]1661年6月15日にハミルトン公爵位、クライズデール侯爵位、ラナーク伯爵位、アラン=ケンブリッジ伯爵位、マッカンジリー=ポルモント卿位、エイヴェン=インナーデール卿位については、初代公爵の娘アン・ハミルトン英語版(–1716)に対して彼女の男系男子に継承される爵位として再交付された[4][12][9]。彼女の夫ウィリアム・ハミルトン英語版(初代ダグラス侯爵ウィリアム・ダグラス英語版の四男で初代セルカーク伯爵英語版[注釈 1]に叙される)も一代限りで妻と同じ爵位を与えられた[12]

3代女公夫妻の長男である第4代ハミルトン公爵ジェイムズ・ハミルトン(1658–1712)は、スコットランド議会におけるイングランドとスコットランドの合併反対の中心人物だったが、彼が途中で合併賛成派に転じたことが合併への流れを決定的にした[17][18]。そして合併でグレートブリテン王国が成立した後の1711年9月10日にはグレートブリテン貴族ブランドン公爵(Duke of Brandon)とチェスターのパラティン州におけるダットンのダットン男爵(Baron Dutton, of Dutton in the County Palatine of Chester)に叙せられた[19]

その曽孫である7代ハミルトン公・4代ブランドン公ジェイムズ・ハミルトン英語版(1755–1769)は、1761年7月21日に親族ダグラス侯爵ダグラス家からスコットランド貴族爵位のダグラス侯爵(Marquess of Douglas)やアンガス伯爵英語版(Earl of Angus)アバーネシー=ジェドバラ・フォレスト卿(Lord of Abernethy and Jedburgh Forest)を継承している[20][21][22][23]

2017年現在の当主は第16代ハミルトン公爵・第13代ブランドン公爵アレクサンダー・ダグラス=ハミルトン英語版(1978-)である[24]

本邸はスコットランド・イースト・ロージアンハディントン英語版にあるレノックスラブ・ハウス英語版[12]

現当主の保有爵位[編集]

現在の当主アレクサンダー・ダグラス=ハミルトン英語版は、以下の爵位を保有している[24][12]

  • 第16代ハミルトン公爵(16th Duke of Hamilton)
    (1643年4月12日勅許状によるスコットランド貴族爵位)
  • 第13代ブランドン公爵(13th Duke of Brandon)
    (1711年9月10日の勅許状によるグレートブリテン貴族爵位)
  • 第13代ダグラス侯爵(13th Marquess of Douglas)
    (1633年6月14日の勅許状によるスコットランド貴族爵位)
  • 第16代クライズデール侯爵(16th Marquess of Clydesdale)
    (1643年4月12日の勅許状によるスコットランド貴族爵位)
  • 第23代アンガス伯爵英語版(23rd Earl of Angus)
    (1389年4月9日の勅許状によるスコットランド貴族爵位)
  • 第15代ラナーク伯爵(15th Earl of Lanark)
    (1639年3月31日の勅許状によるスコットランド貴族爵位)
  • 第16代アラン=ケンブリッジ伯爵(16th Earl of Arran and Cambridge)
    (1643年4月12日の勅許状によるスコットランド貴族爵位)
  • 第13代アバーネシー=ジェドバラ・フォレスト卿(13th Lord Abernethy and Jedburgh Forest)
    (1633年6月14日の勅許状によるスコットランド貴族爵位)
  • 第15代マッカンジリー=ポルモント卿(15th Lord Machanshire and Polmont)
    (1639年3月31日の勅許状によるスコットランド貴族爵位)
  • 第16代エイヴェン=インナーデール卿(16th Lord Aven and Innerdale)
    (1643年4月12日の勅許状によるスコットランド貴族爵位)
  • チェスターのパラティン州におけるダットンの第13代ダットン男爵(13th Baron Dutton, of Dutton in the County Palatine of Chester)
    (1711年9月10日の勅許状によるグレートブリテン貴族爵位)

一覧[編集]

カデュ領主 (1315年頃)[編集]

ハミルトン卿 (1445年)[編集]

アラン伯 第2期 (1503年)[編集]

ハミルトン侯爵 (1599年)[編集]

ハミルトン公爵 (1643年)[編集]

家系図[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ セルカーク伯爵位は3代ハミルトン女公と初代セルカーク伯の夫妻の次男チャールズ以下のヤンガーサンに継承される爵位であり、現在までハミルトン公爵家の分流によって継承されている[16]

出典[編集]

  1. ^ Sinclair, Alexander: Dissertation upon "heirs male,": when used as a clause of remainder in grants of Scotch peerages, with some incidental discussions, William Blackwood and sons, 1837.
  2. ^ Lundy, Darryl. “James Hamilton, 1st Lord Hamilton” (英語). thepeerage.com. 2015年8月17日閲覧。
  3. ^ a b Heraldic Media Limited. “Hamilton, Lord (S, 1445 - dormant 1651)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2017年10月9日閲覧。
  4. ^ a b c d e 松村赳・富田虎男編 2000, p. 309.
  5. ^ a b Lundy, Darryl. “James Hamilton, 1st Earl of Arran” (英語). thepeerage.com. 2015年8月17日閲覧。
  6. ^ a b c Heraldic Media Limited. “Arran, Earl of (S, 1503 - dormant 1651)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2017年10月9日閲覧。
  7. ^ a b 森護 1994, p. 311.
  8. ^ Lundy, Darryl. “John Hamilton, 1st Marquess of Hamilton” (英語). thepeerage.com. 2015年8月17日閲覧。
  9. ^ a b c Heraldic Media Limited. “Hamilton, Marquess of (S, 1599 - 1651)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2017年10月9日閲覧。
  10. ^ Lundy, Darryl. “James Hamilton, 2nd Marquess of Hamilton” (英語). thepeerage.com. 2017年10月9日閲覧。
  11. ^ Lundy, Darryl. “James Hamilton, 1st Duke of Hamilton” (英語). thepeerage.com. 2015年8月17日閲覧。
  12. ^ a b c d e f Heraldic Media Limited. “Hamilton, Duke of (S, 1643)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2017年10月9日閲覧。
  13. ^ 森護 1988, p. 323-324.
  14. ^ 松村赳・富田虎男編 2000, p. 308-309.
  15. ^ a b Lundy, Darryl. “William Hamilton, 2nd Duke of Hamilton” (英語). thepeerage.com. 2017年10月9日閲覧。
  16. ^ Heraldic Media Limited. “Selkirk, Earl of (S, 1646)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2017年10月9日閲覧。
  17. ^ 松村赳・富田虎男編 2000, p. 308.
  18. ^ 浜林正夫 1983, p. 376.
  19. ^ Lundy, Darryl. “Lt.-Gen. James Hamilton, 4th Duke of Hamilton” (英語). thepeerage.com. 2015年8月16日閲覧。
  20. ^ Lundy, Darryl. “James George Hamilton, 7th Duke of Hamilton” (英語). thepeerage.com. 2015年8月16日閲覧。
  21. ^ Heraldic Media Limited. “Angus, Earl of (S, 1389)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2017年10月9日閲覧。
  22. ^ Heraldic Media Limited. “Douglas, Marquess of (S, 1633)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2017年10月9日閲覧。
  23. ^ Heraldic Media Limited. “Douglas, Duke of (S, 1703 - 1761)” (英語). Cracroft's Peerage The Complete Guide to the British Peerage & Baronetage. 2017年10月9日閲覧。
  24. ^ a b Lundy, Darryl. “Alexander Douglas Douglas-Hamilton, 16th Duke of Hamilton” (英語). thepeerage.com. 2015年8月17日閲覧。

参考文献[編集]

  • 浜林正夫『イギリス名誉革命史 下巻』未来社、1983年(昭和58年)。ASIN B000J7GX1Y
  • 森護『スコットランド王国史話』大修館書店、1988年(昭和63年)。ISBN 978-4469242560
  • 森護『英国王室史事典-Historical encyclopaedia of Royal Britain-』大修館書店、1994年(平成6年)。ISBN 978-4469012408
  • 松村赳富田虎男編『英米史辞典』研究社、2000年。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]