ナマケグマ
ナマケグマ | |||||||||||||||||||||||||||
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![]() ナマケグマ Melursus ursinus
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保全状況評価[1][2] | |||||||||||||||||||||||||||
VULNERABLE (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) ![]() | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Melursus ursinus (Shaw, 1791) | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
ナマケグマ | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Sloth bear | |||||||||||||||||||||||||||
![]() 生息域
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ナマケグマ(Melursus ursinus)は、哺乳綱ネコ目(食肉目)クマ科ナマケグマ属に分類されるクマ。本種のみでナマケグマ属を構成する。
分布[編集]
形態[編集]
体長140-190センチメートル[4][5][6]。尾長10-12.5センチメートル[6]。肩高60-92センチメートル[4][5]。体重オス80-145キログラム、メス55-90キログラム[6]。頭部は大型[5]。全身は長い体毛で被われる[4][5]。毛衣は黒いが、褐色や灰色の体毛が混じったり赤褐色の個体もいる[3][4]。胸部にアルファベットの「U」や「Y」字状の白や黄色、赤褐色などの斑紋が入る[4][5]。
眼や耳介は小型[5]。鼻孔は閉じる事ができる[3][4]。鼻面は長い[3][5]。唇は突出し体毛がなく、吻端も含めて可動性は大きい[4]。上顎の門歯は左右に2本ずつで上顎中央部に門歯がなく、これによりシロアリを吸いこむのに適している[3][4][5][6]。前肢は内側へ向かい、後肢は短い[5]。指趾には湾曲した白く長い爪が生える[5]。
分類[編集]
- Melursus ursinus ursinus (Shaw, 1791)
- Melursus ursinus inornatus Pucheran, 1855
生態[編集]
草原、有刺植物からなる低木林、湿度の高い常緑樹林などに生息する[5]。夜行性[4][5]。湾曲した爪を使い木にぶら下がることも可能で[3][4]、その姿がナマケモノを連想させることが名前の由来[5]。
食性は雑食で、主にシロアリを食べるが昆虫、鳥類の卵、動物の死骸、花、果実、蜂蜜なども食べる[4][5][6]。シロアリは唇と舌をすぼめてゴミを吹き飛ばしてから、吸いこんで食べる[3][4][5]。
繁殖形態は胎生。繁殖期はインド北部の個体群は7月だが、インド南部の個体群は周年繁殖する[3][5]。妊娠期間は6-7か月[4]。地中の巣穴で1回に1-3頭(通常2頭)の幼獣を産む[3][4][5]。幼獣は生後3か月は母親と一緒に巣穴にひきこもる[3][5]。幼獣は生後1年6か月-3年は母親と一緒に生活し[4]、幼獣は母親の背中につかまって移動する[5][6]。
人間との関係[編集]
胆嚢が薬用になると信じられている[5][7]。インドではオスの性器が媚薬に、骨や歯、爪が魔除けになると信じられている[7]。大道芸用に幼獣が罠で捕られることもある[7]。
農作物に被害をもたらし、人を襲うこともある[7]。オリッサ州では1990-1995年度に66人が、マディヤ・プラデーシュ州では1989-1994年度に607人が本種によって死亡している[7]。他方で、人里に降りてきて人間になつきペット化した例[8]も報告されている。
農地開発、放牧、木材および果実や蜂蜜などの採取、単一種の植林による生息地の破壊、乱獲により生息数は減少している[5][7]。インドでは法的に保護の対象とされ、自己防衛や防除目的以外の狩猟、部位の取引および輸出が禁止されている[7]。
日本では1965年に野毛山動物園が飼育下繁殖に成功した(1960年および1963年にも繁殖例があるが幼獣は生後4か月以内に死亡)[4]。2015年4月に、札幌市円山動物園で飼育されている個体(メス)が死んだ事により、日本に個体は現存しない [9] [10]。
脚注[編集]
- ^ “Appendices”. CITES. Convention on International Trade in Endangerd Species of Wild Fauna and Flora. 2019年3月22日閲覧。
- ^ “Melursus ursinus (Sloth Bear)”. International Union for Conservation of Nature and Natural Resources.. 2018年8月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月22日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j 今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編 『動物大百科1 食肉類』、平凡社、1986年、108-109頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 今泉吉典監修 『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』、東京動物園協会、1991年、75-76、200-201頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ4 インド、インドシナ』、講談社、2000年、26-27、146頁。
- ^ a b c d e f g h Netrapal Singh Chauh, Shyamala Ratnayeke「ナマケグマ」『アジアのクマ達 -その現状と未来-』、日本クマネットワーク、2007年、iv頁。
- ^ a b c d e f g Netrapal Singh Chauh「インドのナマケグマの現状」『アジアのクマ達 -その現状と未来-』、日本クマネットワーク、2007年、26-32頁。[疑問点 ]
- ^ “This Sloth Bear Just Wants To Be A Dog” (英語). BuzzFeedNEWS. BuzzFeed. (2012年8月19日) 2017年5月21日閲覧。
- ^ 「国内唯一のナマケグマ死ぬ 札幌の円山動物園」『47NEWS』(共同通信)、2015年4月25日。2015年4月25日閲覧。, オリジナルの2015-07-20時点によるアーカイブ。
- ^ “ナマケグマの雌「ゴマキ」が死亡しました” (日本語). 札幌市円山動物園. 2015年4月25日閲覧。