チミジン
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| 物質名 | |
|---|---|
Thymidine | |
1-[(2R,4S,5R)-4-Hydroxy-5-(hydroxymethyl)oxolan-2-yl]-5-methylpyrimidine-2,4(1H,3H)-dione | |
別名 Deoxythymidine, Td, dT, 1-[(2R,4S,5R)-4-Hydroxy-5-(hydroxymethyl)tetrahydrofur-2-yl]-5-methyl-1,3-dihydropyrimidine-2,4-dione | |
| 識別情報 | |
3D model (JSmol)
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| ChEMBL | |
| ChemSpider | |
| DrugBank | |
| ECHA InfoCard | 100.000.065 |
| MeSH | Deoxythymidine |
PubChem CID
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| UNII | |
CompTox Dashboard (EPA)
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| 性質 | |
| C10H14N2O5 | |
| モル質量 | 242.231 g·mol−1 |
| 融点 | 185 °C |
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
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チミジン (Thymidine)[1]は、ピリミジンデオキシヌクレオシドの一つである。チミジンはDNAヌクレオシド(記号 dT[2]またはdThd)であり、DNAの二重鎖ではデオキシアデノシン (dA) と対を形成する。細胞生物学的には細胞周期のG1期/S期初期に同期するために使用される。
構造および性質
[編集]チミジンはデオキシリボース(五炭糖の一種)がピリミジン塩基のチミンに接続した構造である。
チミジンはモノ、ジ、トリリン酸化されて、対応する dTMP, dTDP, dTTP を生成する。
固体の形状では白い微細な結晶か結晶性の粉末であり、分子量は242.23、融点は185℃。常温常圧環境下ではチミジンはとても安定である。
チミジンの毒性は知られておらず、生体やDNAウイルスなど天然に存在するDNAの4つのヌクレオシドの1つである。RNAには、チミジンの代わりにウリジン(ウラシルがリボースに接続したもの)が含まれる。ウラシルの化学的性質はチミン、すなわち5-メチルウラシルと非常に似通っている。チミンヌクレオチドは、RNA前駆体ではなく、DNA前駆体であるため、前置辞のdがつけられることがある[3]。
チミジンアナログ
[編集]チミジンアナログを以下に示す。
- ヨードデオキシウリジン:放射線増感剤、イオン化放射線を照射したときにDNAのうけるダメージ量を増加させる。
- アジドチミジン (AZT):抗HIV治療薬。レトロウイルスのRNAが宿主DNAに組み込まれる際の逆転写プロセスを阻害する。
- トリチウム化チミジン:細胞増殖アッセイに広く使用されている。チミジンは細胞分裂時に取り込まれ、取り込み量は液体シンチレータにより測定され、カウントは細胞増殖量に比例する。
- ブロモデオキシウリジン (BrdU):生体組織での細胞増殖の検出に使用される。優れた抗BrdU抗体が利用できるようになったため、免疫組織化学染色によって検出可能である。トリチウムのような放射性同位元素による標識が不要となり、広く普及した。
註
[編集]- ^ デオキシリボシルチミン (deoxyribosylthymine) やチミンデオキシリボシド (thymine deoxyriboside) と命名されることもある。
- ^ Abbreviations and Symbols for Nucleic Acids, Polynucleotides and their Constituents N-1.1
- ^ "deoxy"は酸素基を取ったという意味で、デオキシリボースを意味するdとは意味が異なる。しかし、"deoxy"と"d"はよく取り違えられ、チミジンとデオキシチミジンは同一物を意味することが多い。

