コンクリートダム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

コンクリートダムとは、コンクリートを主要材料として堰堤を形成するダム。基礎岩盤の強弱・経済性等から以下の型式にさらに細分化される。

種類[編集]

重力式コンクリートダム[編集]

重力式コンクリートダム(グランド・ディクセンスダム)

詳細は重力式コンクリートダムを参照のこと。

英語では「グラビティーダム」と呼ぶ。コンクリートの質量を利用しダムの自重と重力で水圧に耐えるのが特徴である。ダムとしては最も頑丈な型式であり地震洪水に強いことが利点のため、地震や降水量の多い日本では最も適した型式でもある。膨大なコンクリート量が必要ではあるが、近年ではそれを軽減する工法が開発されている。基礎地盤が堅固な場所に建設されるのが望ましいが、様々な対策によって比較的地盤の悪い場所でも建設されることがある。全世界で建設されているポピュラーな型式。

ダム名 所在地 堤高
(m)
総貯水
容量
(千m3
完成年 備考
グランド・ディクセンスダム スイス 285.0 401,000 1961年
アルバロ・オブリゴンダム メキシコ 260.0 13,000 1946年
キシャウダム インド 236.0 1,810,000 建設中
奥只見ダム 福島県
新潟県
157.0 601,000 1960年
宮ヶ瀬ダム 神奈川県 156.0 193,000 2000年
浦山ダム 埼玉県 156.0 58,000 1998年

中空重力式コンクリートダム[編集]

詳細は中空重力式コンクリートダムを参照のこと。

英語では「ホローグラビティダム」と呼ぶ。ダム堤体内部に空洞を有する重力式コンクリートダム。コンクリートが高価だった時代に総工事費を節減させる目的で開発された型式である。基礎地盤との接地面を広く取ることで重力式と同等の耐水圧性を獲得した。ダム上流部に通称「タコ足」と呼ばれる凹凸があるのが外観的特徴である。イタリアで開発され、日本で盛んに建設されたが中空部分の型枠作成が複雑であるため、それを形成するための人件費が高騰し、かつコンクリートが廉価になったことで次第に建設実績は減少していった。単体では日本の畑薙第一ダムが世界一の高さを誇るが、複合型を含めた場合はブラジルパラグアイ国境のイタイプダム (196.0 m) が最も高い。

ダム名 所在地 堤高
(m)
総貯水
容量
(千m3
完成年 備考
畑薙第一ダム 静岡県 125.0 107,400 1962年  
井川ダム 静岡県 103.6 150,000 1957年  
内の倉ダム 新潟県 82.5 24,800 1972年  

バットレスダム[編集]

詳細はバットレスダムを参照のこと。

ダム上流部に止水壁を設け、壁にかかる水圧を扶壁(ふへき)という支壁で支える型式。この扶壁を英語で「バットレス」と呼ぶためこの名が付く。日本名では「扶壁ダム」とも呼ぶ。コンクリートが非常に高価だった時期に経済性を追求するため、コンクリート量を節減する目的で建設された。だが地震に弱く、洪水の処理にも問題を生じ、さらには扶壁を形成する型枠作成のコストが高騰し、相対的に通常のコンクリートダム建設が安価となったことから次第に建設が行われなくなった。世界的には余り多く建設されていないが、コンバインダムであるイタイプダムのバットレスダム部が世界で最も高いダムとなる。

ダム名 所在地 堤高
(m)
総貯水
容量
(千m3
完成年 備考
ゼーヤダム ロシア 115.0 68,400,000 1977年  
丸沼ダム 群馬県 32.1 13,600 1931年  
笹流ダム 北海道 25.3 607 1923年  
恩原ダム 岡山県 24.0 2,946 1928年  

アーチ式コンクリートダム[編集]

アーチ式コンクリートダム(イングリダム)

詳細はアーチ式コンクリートダムを参照のこと。

ダム自体の自重と重力水圧を支えるのではなく、アーチを形成することで水圧をダム両岸の基礎岩盤に分散させ、水圧を支える型式。従って両側岩盤は安山岩花崗岩など極めて堅固な岩盤であることが絶対条件となる。コンクリートの量を少なく抑えられることから経済的であるが、構造計算が複雑であるため高度な技術を要する。亜型としてアーチダムに重力式コンクリートダムの特性を兼ね備えた重力式アーチダム、複数のアーチが連なり構造的にバットレスダムに近似するマルチプルアーチダムがある。世界で高さ 200 m を超えるハイダムで多く採用されており、特にスイス中近東に多い。

ダム名 所在地 堤高
(m)
総貯水
容量
(千m3
完成年 備考
小湾ダム 中国 292.0 15,100,000 建設中
イングリダム グルジア 272.0 1,100,000 1980年  
モーボアソンダム スイス 250.0 211,500 1957年  
黒部ダム 富山県 186.0 199,285 1963年  
温井ダム 広島県 156.0 82,000 2001年  
奈川渡ダム 長野県 155.0 123,000 1969年  

台形CSGダム[編集]

詳細は台形CSGダムを参照のこと

厳密にはコンクリートダムとは言いがたいが、便宜的に掲載する。CSG とは"Cemented Sand and Gravel"の意味でセメント・サンド()・グラベル(砂利)の頭文字であり、直訳すると「セメントで固めた砂礫(されき)」となる。日本で開発された新しいダム型式。コンクリートと砂、川砂利を水で混合した後に台形にダム本体を建設してゆく方法で建設される。従来のコンクリートダムは良質なコンクリート骨材の選別が必須であったが、この型式であれば材質の優劣関係なく骨材を用いることが可能で、経済性で優れる。ただし2007年時点で稼働しているダムは無く、地震への耐久性や洪水処理の面において課題が残されている。

ダム名 所在地 堤高
(m)
総貯水
容量
(千m3
完成年 備考
鳥海ダム 山形県 82.0 44,100 建設中
増田川ダム 群馬県 76.3 5,800 建設中
本明川ダム 長崎県 64.0 8,600 建設中

出典[編集]

関連項目[編集]