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イロハモミジ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
イロハモミジ
紅葉しかけの葉
保全状況評価
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
界 : 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
目 : ムクロジ目 Sapindales
科 : ムクロジ科 Sapindaceae
属 : カエデ属 Acer
種 : イロハモミジ A. palmatum
学名
Acer palmatum
Thunb. (1784)[1]
シノニム
和名
イロハモミジ(いろは紅葉)
イロハカエデ(いろは楓)
タカオカエデ(高雄楓)
コハモミジ(小葉紅葉)
英名
Japanese maple

イロハモミジ(いろは紅葉[3]・伊呂波紅葉[4]、学名: Acer palmatum[5])は、ムクロジ科カエデ属の落葉小高木[5]または落葉高木[6]。別名でイロハカエデ、タカオカエデなどとも呼ばれるが、単にモミジと呼ばれることが多い。

日本では最もよく見られるカエデ属の種で、紅葉の代表種。本種より作られた園芸種も多い(#変種・園芸種を参照)。

名称

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和名イロハモミジは、葉が手のひらのように5 - 7つ裂片があり、この裂片を「いろはにほへと」と数えたことに由来する[4][7][8][9]。別名で、イロハカエデ(伊呂波楓)[10][4]、タカオカエデ(高雄楓)[4][3]、コハモミジ(小葉紅葉)[4]、タカオモミジ(高雄紅葉)[1]、チョウセンヤマモミジ(朝鮮山紅葉)[1]ともよばれている。「タカオカエデ」の名は、京都の高雄山に多く、名所であることに由来する[11][8]。また、「カエデ」は葉の形がカエルの手(前脚)の形に似ることから「蛙手」の意味で名付けられたものである[8][9]。

春の新緑と秋の紅葉が美しく、一般に「モミジ」と言えば、カエデ類を代表して本種のことを指している[10][4]。植物学では、カエデとモミジは区別していない[7]。園芸上では、葉が鋭く深裂する場合はモミジ、浅く切れ込んでいる場合はカエデと称することが多い[7]。

イロハモミジの花言葉は、「遠慮」「大切な思い出」とされる[12]。

学名は「小さな手のカエデ」を意味する。ドイツ語での Fächerahornは「扇状のカエデ」の意味[13] 。

分布・生育地

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東アジア(日本、朝鮮半島の南部[10][8]、中国[12]、台湾)に自生する。

日本では、本州の福島県以南の太平洋側、四国、九州に分布し[4][11][12]、平地から標高 1000メートル (m) 程度にかけての低山で多く見られる[10]。秋の紅葉が見事で、各所にもみじの名所をつくる[10]。山野に生えるほか、昔から人の手によって庭園や寺社の境内に植えられており[10]、庭木としてよく使われている[4]。

特徴

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紅葉の時期には、透過光で黄色から赤色へのグラディエーションが美しく日本では太古より愛でられる。石龕寺。

落葉広葉樹の小高木から高木[11][4]。樹高4 - 15 m[11]、幹の直径は 80センチメートル (cm) 以上に達する。樹皮は淡い灰褐色で[10]、成木では縦に筋が入るが、若木のうちは滑らかである[3]。一年枝は細く緑色や紅紫色で、日光が当たる側が赤く、日影側が緑色になる傾向がある[3]。

葉は対生し、葉身は長さ 3.5 - 6 cm、幅 3 - 7 cm で、掌状に深く 5 - 7裂する[4]。葉の大きさはカエデ類のなかで、最も小さい部類である[11]。裂片は細く、葉縁には鋭い大小不揃いの二重鋸歯があり[11]、裂片の先は長く尾状に伸びる[4]。秋(10 - 12月)には黄褐色から橙色、紅色に紅葉して散る[9]。普通、日当たりの良かった葉は赤く染まり、日当たりの悪かった葉は黄色くなることが多い[14]。落ち葉は、雨天のとき以外は次第に丸まって色褪せていく[15]。葉はオオモミジやヤマモミジなどに似るが、本種の葉は一回り小さく、鋸葉が粗く不揃いなところで区別される。

花期は春(4 - 5月)[10]。雌雄同株で、雄花と両性花をつける[10][12]。若葉の芽生えと同時に、本年枝の先に複散房花序を出して、直径 4 - 6ミリメートル (mm) の花を下垂してつける[4][8]。花色は暗紫色で[4]、5個の萼片と、黄緑色もしくは紫色を帯びる萼片より小さい 5個の花弁をもつ。雄しべは8個つく[4]。風媒花で花後に果実をつける[4]。

果実は翼果で、長さ1 - 2 cm 程度の翼があり、秋(10月ごろ)に熟すと風を受けて回転しながら飛ばされる[9]。

冬芽は枝先に仮頂芽を2個つけ、枝に対生して側芽をつける[3]。冬芽の芽鱗は8枚で外側の2枚が小さく、冬芽基部に毛や膜質の鱗片があるが、ない場合も多い[3]。冬芽わきの葉痕は細くてわかりにくく、維管束痕は3個ある[3]。

ヤマモミジとオオモミジは、本種の亜種とされることがある[9]。オオモミジは、イロハモミジに似ているが全体に大きく、果序は下を向いたまま果実が熟していくのが特徴である[16]。

ヤマモミジ

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ヤマモミジ(山紅葉[17]、学名: Acer amoenum var. matsumurae)は、ムクロジ科カエデ属の落葉高木。イロハモミジの亜種 (Acer palmatum subsp. matsumurae (Koidz) Ogata) または変種とされる場合があるが、オオモミジの変種 (Acer amoenum var. matsumurae) とされる場合もある。和名は「山モミジ」の意味である[18]。

日本の北海道・本州青森県から島根県の日本海側の多雪地に分布し、山地に生える[17]。庭にも植栽される[18]。落葉高木で、高さ5 - 10メートル (m) になる[18]。タカオカモミジは本種の1変種である[18]。若木の樹皮は滑らかで、太い幹の樹皮は縦に浅く裂ける[19]。一年枝は細くて無毛で、つやのある黄緑色をしており、短冊状に葉痕が詰まっていることもある[19]。

葉は径5 - 10 cmで掌状に7 - 9裂し、一般にイロハモミジより大きめになるが[18]、変異が大きい。葉柄は長く、葉の基部は心臓形で、中央の裂片はやや長く先端は尾状に尖る[17]。葉縁に大小不揃いの二重鋸歯があり[20]、単鋸歯のオオモミジとは違いが見られる[17]。秋の紅葉はイロハモミジと同様に美しい[20][18]。

花期は晩春(5 - 6月)[18][19]。新葉よりもわずかに早く、本年枝の先端から散房花序を出して、暗赤色の花を下向きにつける[17][18]。花は雄花と両生花があり、花弁は5個、雄蕊は8個つき、萼片は濃紅色をしている[17]。花が咲き終わると、花序(果序)の柄が上に持ち上がる[16]。

果期は7 - 9月[12]。果実は翼果で長さ2 cmあり、ほぼ水平に開く[17]。

冬芽は紅色で目立ち、芽鱗8枚に包まれており、基部は膜質の鱗片に包まれ縁に毛がある[19]。枝先に仮頂芽を2個つけ、側芽が枝に対生する[19]。葉痕は三日月形からV字形で、維管束痕が3個つく[19]。

変種・園芸種

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本種には下記をはじめとする様々な変種があり、また紅葉を観賞するのに園芸品種も多く作出されている[8][3]。

  • ベニシダレ Acer palmatum var. dissectum Koidz.
  • ノムラカエデ Acer palmatum var. sanguineum (Nakai)
  • アオシダレ Acer palmatum f. aosidare Nemoto
  • チリメンカエデ Acer palmatum f. dissecta (thunb.) Sieb.et Zucc.
  • ヒガサヤマ Acer palmatum f. hikasayama Koidz.
  • シメノウチ(アオノ七五三) Acer palmatum f. linearilobum (Nakai)
  • オオサカズキ Acer palmatum f. ohsakazuki Koidz.

利用

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イロハモミジは、美しい紅葉で知られる日本で最も有名なカエデである[11]。庭や公園、街路、寺社に多く植えられ、都市部でも鮮やかな赤色に紅葉し、多くの人に愛でられている[11]。一般にモミジといえば、本種やオオモミジ、ヤマモミジを差し、これらから多くの園芸品種も作り出されている[11]。

生長が早く陰地にも耐える[5]。剪定にも耐えるが、大気汚染に弱いとされる[5]。移植は比較的容易である[5]。

脚注

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注釈

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    出典

    [編集]
    1. 1 2 3 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Acer palmatum Thunb. イロハモミジ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月23日閲覧。
    2. ↑ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Acer palmatum Thunb. var. coreanum Nakai イロハモミジ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月23日閲覧。
    3. 1 2 3 4 5 6 7 8 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 107.
    4. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 西田尚道監修 学習研究社編 2009, p. 9.
    5. 1 2 3 4 5 “イロハモミジ”. 木曽川祖父江緑地管理事務所. 2026年5月26日閲覧。
    6. ↑ “イロハモミジ”. 公益財団法人船橋市公園協会. 2026年5月26日閲覧。
    7. 1 2 3 田中潔 2011, p. 141.
    8. 1 2 3 4 5 6 邑田仁・米倉浩司編 2013, p. 174.
    9. 1 2 3 4 5 亀田龍吉 2014, p. 12.
    10. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 139.
    11. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 林将之 2008, p. 44.
    12. 1 2 3 4 5 田中潔 2011, p. 140.
    13. ↑ Susanne Fischer-Rizzi : Blätter von Bäumen II. Hukusuisha. = 喜多尾道冬・林捷編『続・ドイツの樹の文化誌』白水社1994年(ISBN 4-560-01590-2)55頁。
    14. ↑ 亀田龍吉 2014, p. 13.
    15. ↑ 亀田龍吉 2014, p. 14.
    16. 1 2 長谷川哲雄 2014, p. 28.
    17. 1 2 3 4 5 6 7 西田尚道監修 学習研究社編 2009, p. 22.
    18. 1 2 3 4 5 6 7 8 邑田仁・米倉浩司編 2013, p. 175.
    19. 1 2 3 4 5 6 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 108.
    20. 1 2 林将之 2008, p. 45.

    参考文献

    [編集]

    関連項目

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