軍務伯

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イギリスの旗 イギリス
軍務伯
Earl Marshal
担当官庁 紋章院騎士法廷英語版
任期 終身
任命者 エリザベス2世
女王
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軍務伯英語: Earl Marshal; アール・マーシャル)は、中世以来のイギリスの官職。高等国務卿英語: Great Officer of Stateのひとつ。

軍務伯[1][2][3]のほか、式部長官[4][注釈 1]、紋章院総裁[1][4]、紋章局長官[6]、警備長官[7][1][8]など様々に訳される。

歴史[編集]

中世においてはマーシャルは大司馬(軍察長官)の副官職であり、さほど高い地位の役職ではなかったが、国王政庁の秩序維持に責任を負ったため、徐々にその地位が向上した。やがて典礼・紋章院の統括を職務とするようになり、後には軍事的要素が減ってそういった儀礼面が主任務となっていった[4]

14世紀騎士法廷英語版騎士道裁判所)が創設されると、ロード・マーシャルは大司馬とともにその審理を共宰するようになった[1]。騎士法廷は反逆罪・捕虜・身代金・紋章・軍需品の契約といった軍事上の争いを管轄した民事法廷であったが、大司馬が常設されなくなった後、ジェームズ1世は騎士法廷を称号・紋章・口頭名誉毀損を管轄する裁判所へ改め、軍務伯がその唯一の裁判官職となった[9][10]。騎士法廷は1737年以降は長きに渡って開廷されなかったが、1955年に裁判を行って、いまだ健在であることを見せつけた[11]

1484年には典礼・紋章の統括組織として紋章院が設置され、軍務伯がその総裁となった。軍務伯は紋章院総裁として部下である紋章官たち(3人のキング・オブ・アームズ、6人のヘラルド・オブ・アームズ、4人のパーシヴァント・オブ・アームズ)とともに、戴冠式、王族の結婚式や国葬、議会の開会式、ガーター騎士団の例会といった王室関連の儀式を取り仕切る[12]

最初に世襲のロード・マーシャル(Lords Marshal; 御馬卿)に就いたのは初代ペンブルック伯爵ウィリアム・マーシャルの父ジョン・フィッツギルバートである。彼は以後マーシャル姓を名乗るようになる。マーシャル家が絶家した後はノーフォーク伯爵ビゴッド家やノーフォーク公爵モウブレー家、ノーフォーク公爵ハワード家などが主に世襲し[4]1397年以降はアール・マーシャルと称されるようになった。

1672年からは一貫してノーフォーク公爵ハワード家によって世襲されているが、1673年審査法議会で可決成立し、以降1829年カトリック救済法英語版の成立までカトリックは公職から締め出されたため、カトリックのノーフォーク公爵ハワード家では軍務伯の職務を取れなくなった。その間軍務伯の職責はノーフォーク公爵家のプロテスタントの分家であるサフォーク伯爵家カーライル伯爵家が代行するのが一般的だった[13]

1999年トニー・ブレア政権による貴族院改革で世襲貴族の議席数は92議席に限定されたが、軍務伯は議席を保ち続けることになった[7][6]

2014年現在の軍務伯は第18代ノーフォーク公爵エドワード・フィッツアラン=ハワードである。

歴代軍務伯[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ ただし「式部長官」は Lord Great Chamberlain の訳語にも用いられる[5]

出典[編集]

  1. ^ a b c d 松村ら(2000) p.216
  2. ^ ベイカー(2014) p.172
  3. ^ 田中(1991) p.352
  4. ^ a b c d 森(1994) p.14
  5. ^ 松村ら(2000) p.432
  6. ^ a b 神戸(2005) p.101
  7. ^ a b 田中(2009) p.241
  8. ^ 海保(1999) p.164
  9. ^ ベイカー(2014) p.172-173
  10. ^ 小山(2011) p.258-259
  11. ^ 神戸(2005) p.264
  12. ^ 森(1994) p.414
  13. ^ 海保(1999) p.174

参考文献[編集]

  • 海保眞夫『イギリスの大貴族』平凡社平凡社新書020〉、1999年。ISBN 978-4582850208
  • 神戸史雄『イギリス憲法読本』丸善出版サービスセンター、2005年。ISBN 978-4896301793
  • 田中嘉彦英国ブレア政権下の貴族院改革 第二院の構成と機能』(PDF)一橋大学、2009年。
  • 森護『英国王室史事典-Historical encyclopaedia of Royal Britain-』大修館書店、1994年。ISBN 978-4469012408
  • 田中英夫『英米法辞典』東京大学出版会、1991年。ISBN 978-4130311397
  • 松村赳富田虎男『英米史辞典』研究社、2000年。ISBN 978-4767430478
  • 小山貞夫『英米法律語辞典』研究社、2011年。ISBN 978-4767491073
  • ベイカー, J・H『イギリス法史入門』1、深尾裕造訳、関西学院大学出版会、2014年、第4版。ISBN 978-4862831514