アグジャケラトプス

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アグジャケラトプス
アグジャケラトプス
アグジャケラトプス想像図
地質時代
白亜紀
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 鳥盤目 Ornithischia
亜目 : 周飾頭亜目
下目 : 角竜下目 Ceratopia
: ケラトプス科 Ceratopidae
亜科 : カスモサウルス亜科 Chasmosaurinae
: アグジャケラトプス属 Agujaceratops
学名
Agujaceratops
Lucas, Sullivan & Hunt, (2006)
  • A. mariscalensis Lucas, Sullivan & Hunt, (2006)
  • A. mavericus Lehman, Wick & Barnes (2016)

アグジャケラトプス (Agujaceratops) は、中生代白亜紀後期カンパニアン北アメリカ大陸に生息していた恐竜絶滅した鳥盤目 - 角竜下目 - ケラトプス科に属する。属名アグジャケラトプスの意味は、「アグヤ(発見地名)の角の顔」。以前はカスモサウルス・マリスカレンシスとして知られていたであったが別属である事が判明し、新たな属名が与えられた。

発見と種[編集]

発見は1938年で、テキサス大学により3つのボーン・ベッドが発掘された。特にそのうちの一つは72%が何らかのケラトプス類で構成されており、それらには様々なボディーサイズ、年齢のものが内包されていた。また角竜の標本がウィリアム・ストレインによってビッグベンド国立公園から集められた。 1989年、ボーンベッドが20個体以上のケラトプス類から成り、いずれも未知のカスモサウルスに属する同一種であるとしたレーマンは、これらの標本をカスモサウルス・マリスカレンシス Chasmosaurus mariscalensis として記載した。 これによりカスモサウルス類の頭部形態の個体差、そして成長過程における変化についての知見が深まった。 既知の C.マリスカレンシスの頭骨要素は限られており、フリルを成す骨はいずれも部分的であった。しかしながら、フリルはかなり太く短いことが伺われ、鱗状骨には縁鱗状骨が6つしか存在しないことは明確であった。さらに歯骨も奇妙な形状であり、本種の独自性を示唆した。 また、発見された上眼窩角と鱗状骨には二つのタイプが認められた。上眼窩角は、後方に強く湾曲し、左右に大きく開いたタイプ、および湾曲が弱くより垂直に伸び左右にあまり大きく開かないタイプ。そして鱗状骨は、短いタイプと長いタイプである。レーマンはこれらが性的二形であると考えた。しかし標本の保存状態の悪さ故、今日参考にされることは稀である。 またこの時点でレーマンはペンタケラトプスとの類似性も指摘している。 その後1991年に、さらに多くの標本が、シカゴ大学ポール・セレノの率いる探検隊の努力によって集められた。頭頂骨が失われていることを除きほぼ完全な頭骨も発見されたが、その標本はテキサス記念博物館へ送られ、1993年に TMM 43098-1として記載された。その鱗状骨はとても長く、10個の縁鱗状骨が認められた。これはケラトプス類最多である。TMM 43098-1の鱗状骨も完全には癒合していなかったものの、ビッグベンド国立公園で見つかった別のどの鱗状骨よりも癒合が進んでいた。この事から、ケラトプス類の鱗状骨の形態や縁鱗状骨の個数の差異は、成長段階の違いである可能性が示唆された。またはビッグベンド国立公園の保存の悪さに起因するともみなされた。 また、TMM 43098-1の細長くまっすぐ上に伸びる上眼窩角は、別の標本に見られる太く短い上眼窩角とはかなり異なっていたが、これも同様の理由で分類には影響しないとされた。 1938年にテキサス大学とは別にオクラホマ大学に同行したラングストンによって発見され、オクラホマ自然史博物館に収蔵されていた、四肢を含む大きな骨格、OMNH 10081もアグジャケラトプスであることが確認された。 その後の系統解析で C.マリスカレンシスがカスモサウルスではなく、ペンタケラトプスを含むクレードに含まれるようになり、それに際してルーカスらによって2006年に新属アグジャケラトプスが与えられた。 一方、他の標本と形態変異が激しすぎると思われていた TMM 43098-1であるが、アグヤ累層上部頁岩部層から新たな上眼窩角(TMM 46503-1)が発掘され、これが TMM 43098-1同様に細長い形状であった。太く短い上眼窩角をもつ標本はアグヤ層の上部頁岩部層の下部からのみ、そしてTMM 43098-1とTMM 46503-1はアグヤ層の上部頁岩部層の上部からの産出であった。この発見により、2016年にアグジャケラトプスの既知の標本のうちこれまで未記載だったものがまとめて記載された。同時に TMM 43098-1をホロタイプとして、新種アグジャケラトプス・マヴェリクス Agujaceratops mavericusが記載された。 近年の研究では、成長に伴って大幅なホーンレットの増加が起こらないことが示唆されている。

メディアによってはアグジャケラトプス属共通の特徴として、まっすぐ上に伸びる上眼窩角が紹介されている場合があるが、上述のとおりその特徴はA.mavericusA.mariscalensisと区別する形質であり、まったくの誤りである。同時にペンタケラトプスとの類縁性の説明として短いフリルが紹介されているケースもあるが、実際はその分類においてフリルは関係はなく、むしろペンタケラトプスのフリルはアグジャケラトプスのそれよりも相対的にも絶対的にも長い[1]

系統[編集]

アグジャケラトプスは、ペンタケラトプスおよびカスモサウルスの両方に似ている。しかし、その短いフリルから、恐らくペンタケラトプスの先祖ではなかった事がうかがえる。

生息域[編集]

この恐竜は、現在のテキサス州にあたる地域に暮らしていた。そして、後期白亜紀カンパン階に相当するアグヤ累層で発見された。レーマンはアグジャケラトプスの発掘地は、この恐竜が生きていた頃は(少なくとも化石標本が見つかったところでは)沈殿物の性質から判断して、湿地であったと考えた。

参照[編集]

  • Dodson, P. (1996). The Horned Dinosaurs. Princeton University Press, Princeton, New Jersey. ISBN 0-691-05900-4. 

脚注[編集]

  1. ^ Lehman, T. M. (1989). “Chasmosaurus mariscalensis, sp. Nov., a new ceratopsian dinosaur from Texas”. Journal of Vertebrate Paleontology 9 (2): 137. doi:10.1080/02724634.1989.10011749.