ヴァガケラトプス

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ヴァガケラトプス
ヴァガケラトプス
ヴァガケラトプス頭骨
地質時代
白亜紀
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 鳥盤目 Ornithischia
亜目 : 周飾頭亜目
下目 : 角竜下目 Ceratopia
: ケラトプス科 Ceratopidae
亜科 : カスモサウルス亜科 Chasmosaurinae
: ヴァガケラトプス属 Vagaceratops
学名
Vagaceratops
Holmes et al.,, 2001
シノニム
  • V. irvinensis

ヴァガケラトプス Vagaceratopsカナダ王国アルバータ州白亜紀後期カンパニアンのものとされる地層上部から発見されたケラトプス類に属する恐竜。名前は古代ギリシャ語で「放浪する角の顔」という意味である。もともとはカスモサウルス属の新種とされていたが、2010年に新属として独立した。アメリカ合衆国ユタ州で見つかっているコスモケラトプスに似た内側に湾曲した縁後頭骨によって特徴づけられる。そのためコスモケラトプスと類縁関係にあったとされる。[1] 本属はバガケラトプスと表されることもあるが、角竜類でもプロトケラトプス科に属する別の恐竜、バガケラトプスBagaceratops)と区別するため積極的にヴァガケラトプスと表記される。

記載[編集]

生体復元

ヴァガケラトプスは主に3つの頭骨化石から知られている。一般的な構造はケラトプス類の典型的なもの(オウムのようなくちばし、大きなフリル、鼻角など)であるが、いくつかの独自性がある。頭骨は上眼窩角が縮小され、低い瘤状に進化しており、近縁の動物と比較して鼻角が大きい。ヴァガケラトプスは、他のケラトプス類に比べて頭頂骨が小さく、縁頭頂骨が奇妙な形をしていた。10個の縁頭頂骨を持ち、そのうち8個は中央で平らになり、前方上方に湾曲し、融合してフリルの後端に沿ってギザギザの縁を形成していた。フリルは他のカスモサウルス亜科に比べて短く、四角い形をしており、長さよりも幅がある。

分類[編集]

修復された骨格
模型, カナダ自然博物館

ヴァガケラトプスは極めて短い上眼窩角と比較的短い鼻角によって特徴づけられる。フリルは四角形で、縁に前方に向かってカーブした10個のホーンレットが並んでおり独特である。模式種はV. イルヴィネンシス(Vagaceratops irvinensis)である。[1]本種はもともと2001年にカスモサウルス・イルヴィネンシスとして記載されていたが、2010年にサンプソンらによって分類が見直され独立した属として再記載された。[2] ヴァガケラトプスの系統関係は現在も議論され続けており、研究者によってはコスモケラトプスに近縁であるともカスモサウルスに近縁であるとも、またはやはりヴァガケラトプスには属を分けるほどの独自性はなくC.イルヴィネンシスが有効であるとも言われる[1] [3][2]。以下のクラドグラムは2015年のブラウンらによるカスモサウルス亜科の系統解析に基づく[4]

系統[編集]

ケラトプス類

セントロサウルス亜科

カスモサウルス亜科

ヴァガケラトプス

コスモケラトプス

カスモサウルス・ベリ

カスモサウルス・ルッセリ

モジョケラトプス

アグジャケラトプス

ユタケラトプス

ペンタケラトプス

ブラヴォケラトプス

コアフイラケラトプス

アンキケラトプス

アリノケラトプス

トリケラトプス族

レガリケラトプス

エオトリケラトプス

オジョケラトプス

ティタノケラトプス

ネドケラトプス

トロサウルス・ラトゥス

トロサウルス・ユタヘンシス

トリケラトプス・ホリドゥス

トリケラトプス・プロルスス

出典[編集]

  1. ^ a b c Scott D. Sampson, Mark A. Loewen, Andrew A. Farke, Eric M. Roberts, Catherine A. Forster, Joshua A. Smith, and Alan L. Titus (2010). “New Horned Dinosaurs from Utah Provide Evidence for Intracontinental Dinosaur Endemism”. PLoS ONE 5 (9): e12292. doi:10.1371/journal.pone.0012292. PMC 2929175. PMID 20877459. http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0012292. 
  2. ^ a b R. B. Holmes, C. A. Forster, M. J. Ryan and K. M. Shepherd (2001). “A new species of Chasmosaurus (Dinosauria: Ceratopsia) from the Dinosaur Park Formation of southern Alberta”. Canadian Journal of Earth Sciences 38: 1423–1438. doi:10.1139/cjes-38-10-1423. http://rparticle.web-p.cisti.nrc.ca/rparticle/AbstractTemplateServlet?calyLang=eng&journal=cjes&volume=38&year=2001&issue=10&msno=e01-036. 
  3. ^ Longrich, N.R., 2011. Titanoceratops ouranos, a giant horned dinosaur from the Late Campanian of New Mexico. Cretaceous Research 32, 264-276.
  4. ^ Brown, Caleb M.; Henderson, Donald M. (June 4, 2015). “A new horned dinosaur reveals convergent evolution in cranial ornamentation in ceratopsidae”. Current Biology 25 (online): 1641–8. doi:10.1016/j.cub.2015.04.041. PMID 26051892. http://www.cell.com/current-biology/pdfExtended/S0960-9822(15)00492-3.