黄山

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世界遺産 黄山
中華人民共和国
黄山
黄山
英名 Mount Huangshan
仏名 Mont Huangshan
面積 154km²
登録区分 複合遺産
IUCN分類 III(天然記念物)
登録基準 (2) (7),(10)
登録年 1990年
公式サイト 世界遺産センター(英語)
地図
黄山の位置
使用方法表示
黄山の日の出

黄山こうざん)は、中国安徽省にある景勝地。伝説の仙境仙人が住む世界)を彷彿させる独特の景観から、古代から黄山を見ずして、山を見たというなかれと云われ、数多くの文人が訪れた。

概要

黄山の名は伝説上の王、黄帝がこの山で不老不死の霊薬を飲み、仙人になったという伝説に基づいている。秦の時代には黟山(いざん)と称されていたが、唐の時代には現在の黄山の名前に改められた。峰と雲が織り成す風景は、まさに仙人が住む世界「仙境」と云われている。多くの文人が憧れ、水墨画漢詩など中国独特の文化を生み出した。

黄山に立ち並ぶ山々は古生代に出来たもので、その石や岩は氷河や風雨による浸食が一億年に亘って繰り返され、現在の様な断崖絶壁の景観ができあがった。から流れ込む湿った空気は海抜1000m以上の峰々に漂い、大量のを発生させている。三主峰と呼ばれる蓮花峰、光明頂、天都峰があり、その他69の峰がある。そして、荒涼とした風景を彩る「黄山」は、岩の割れ目に根をはり、強い生命力を持つとして、尊ばれている。以上の怪石、雲海、奇松に温泉を加え、「黄山の四絶」と称された。これらから、天下の名勝、黄山に集まると云われ、古代から中国の人々が黄山の美しさを「天下第一」と称える所以である。幾多のスポットには、その独特の発想で名前が付けられた

この名声で多数の文人が憧れて訪れ、水墨画漢詩など中国独特の文化を生み出した。東山魁夷は黄山を「充実した無の世界。あらゆる山水画の技法が、そこから生まれたことが分かる」と評している。

中国人の精神的な拠り所となってきた黄山の周辺には、道教仏教の修行の場として、おおくの寺院が建てられている。黄山の北に位置する九華山は、97の寺院が集まる地蔵菩薩信仰の総本山で、黄山で修行した僧侶が開いたと云われ、その僧侶が地蔵菩薩の化身と言い伝えから、この地が聖山となった。

登録基準

この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。

  • (2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
  • (7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
  • (10) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。

交通

黄山の名前は現在3箇所で使われている。つまり、1987年成立した黄山市(元の安徽省徽州地区屯渓)、黄山区(元の安徽省太平県)、黄山風景区(湯口)。

屯渓は当地の政治経済文化の中心地であるため、多くの場合この地を経由して湯口にいたり入山する。(屯渓-湯口 1.5時間)

なお合肥市方面からは太平から入山するのが一般的である。

屯渓へは航空機(黄山屯渓空港)、列車(黄山駅)、高速道路のいずれかで向かう。

上海方面からは列車で屯渓に向かう(10-12時間)のが一般的であったが、徽杭高速道(杭州-黄山 2時間)が開通してからはチャータバスで向かう(5-6時間)ことが多くなっている。

黄山内には3つの索道がある。

雲谷
2808メートル、高低差773メートル。日本、オーストリア製 51人乗り
玉屏
2176メートル、高低差752メートル。オーストリア製 6人乗り
太平
3709メートル、高低差1014メートル。オーストリア製 101人乗り(中国国内最大規模)

関連項目

座標: 北緯30度10分 東経118度11分 / 北緯30.167度 東経118.183度 / 30.167; 118.183 Template:Link GA