遠征艦隊軍

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遠征艦隊軍 (: United-Earth Expeditionary Force 略語:UEEF 、(2002年の公式設定の書換え以前は Robotech Expeditional Force 略語:REF )とは、竜の子プロダクション製作の『超時空要塞マクロス』『超時空騎団サザンクロス[1]機甲創世記モスピーダ』 の3作品を、ハーモニーゴールド USA 社(Harmony Gold USA)が、翻案権を取得し、同一世界の異なる時代と世代を描いた、連続するひとつの大河シリーズとして翻案、再編集された作品である「ロボテック・シリーズ」に登場する架空の軍隊の名称。

記事名について

当初の定義である英文 " Robotech Expeditionary Force、REF " の設定においても、OTMによるロボット工学の英語表現である( ROBOTECH -nology)の語尾が抜け落ちた省略形の頭文字「ロボテック」(ROBOTECH)は形骸化しており、デル・レイ・ブックスの著者『ジャック・マッキーニ』(Jack McKinney)の共同ペンネームによる小説版や、2002年以後のハーモニーゴールド USA社の公式設定の書換え(同社は「再起動」( " reboot " )と主張)により「二次的な連続性を持つ作品」(second continuity)とされた各社の漫画作品に於いても単に「遠征艦隊」の語彙で用いられている。

その上で、同軍がヴァリヴェール(" Valivarre ")恒星系駐屯地上軍に指揮権の一部を預けた以外は、 SDF-3 パイオニア(Pioneer)「リサ・ハイエス(Lisa Hayes)提督(日本版の『超時空要塞マクロス』の早瀬未沙に相当)に常に最終指揮権があり、同艦の行方不明後は SDF-4 リベレーター (Liberator)を旗艦とする艦隊上に司令部を置き、指揮中枢は常にこの旗艦から移動しなかった。

また、地上部隊(海軍及び宇宙軍陸戦隊、あるいは海兵隊扱い)や、新型機研究開発部門、諜報部も全て「艦隊付け(附属)」の冠詞が付されることから、遠征軍の指揮権実態も常に艦隊にあり、今後用語の翻訳名となる日本語記事名を単なる直訳とした場合の公式設定変更による混乱を回避し、ハーモニーゴールド USA社の更なる公式設定の変更があった際にも影響されることなく、その本質と実態をより的確に表現するために「艦隊による他星系への遠征軍」として「遠征艦隊軍」とした。

概要

ロボテック・シリーズの基礎設定となる地球統合政府(" United Earth Government ")は第一次星間大戦以降、その処遇と「文化的生活」への適応政策に不満を持つゼントラーディ人の不満分子の蜂起叛乱(" The Malcontent Uprisings ")を引き起こし、この結果としてティターンズ(『機動戦士Ζガンダム』などに登場する架空軍閥組織)に似た組織構造を持つ、陸軍デストロイド開発計画「プロジェクト・エクスキャリヴァー」(" Project Excalibur ")の強行推進派だった「アナトール・エリ・レオナルド」(Anatole Eli Leonard 、日本版の「クロード・レオン」)創設の「サザンクロス軍」(" The Army of the Southern Cross ")の台頭を許してしまった。

このため、主戦論を主張するこれらの軍閥に対抗する形で組織された 非戦論派の軍閥は、自然と可変戦闘機とその派生機動兵器である「陸戦用バトロイド」を推進する海軍・海兵隊・空軍・宇宙軍関係者との対立図式となり、予想される「プロトカルチャー」の末裔であるゾル人との資源(マトリックス)問題による開戦の危険性を「外交交渉」と「ディベート」による和平によって回避することを目指し、またこの同盟締結による軍事力強化によって、来るべきインビッドとの将来の戦争を防衛するために、彼らの母星系(本拠地で)あるヴァリヴェール恒星系(" Valivarre star system ")への遠征航海(航宙)を目指す動きへと繋がり、地球統合政府(" United Earth Government ")からの莫大な予算配分を取り付けることに成功した。

こうして、「リサ・ハイエス(Lisa Hayes)」提督(海軍大将 / Admiral)とその夫である「 リック・ハンター(Rick Hunter)少将(日本版の『超時空要塞マクロス』の一条輝に相当)を指導者とする遠征艦隊は、西暦2022年に太陽系を後にしてヴァリヴェール恒星系への最初のフォールド航法による超長距離空間跳躍への航海(航宙)に入った。

成立経緯

カール・メイセックによる3作品のクロスオーバー作品化に当たって、各々の作品間に矛盾や原典設定の変更に伴う混乱(スポイラー)が生じた。 最初の『超時空要塞マクロス』はそれでも未だ比較的原典に近い設定でシリーズ展開が可能であったが、続く超時空騎団サザンクロスに於いては、本来21世紀末の西暦2120年[2][3]太陽系外の他の恒星系惑星系に於ける宇宙植民・開拓時代(大航海時代)の設定を活かすには、たとえOTMの恩恵を以ってしても前作から15年~20年程度の年代設定では無理があった。

また、続く第3シーズンである『ニュー・ジェネレーション』(「新世代」の意味、日本版での『機甲創世記モスピーダ』)における第一次~第三次地球奪還軍(" The First to Third Reinforcement Force ")の膨大な艦隊構成に関して、原典の月面基地(ムーンベース)、火星基地(マーズベース)、木星衛星基地(ジュピター・ベース)の工業生産能力のみで構成する設定には当初から無理があったことから、前者『超時空騎団サザンクロス』の翻案時に破棄された外宇宙世界の物語展開の設定を代替してシリーズの世界観の拡張性を維持し、かつ続く第3シーズンの矛盾解消と3作品間の結びつきを強固にするものとして[4]ロボテック II:センチネルズ』という初の米国側独自映像作品から設定された。

映像作品としての「ロボテック II:センチネルズ」は当時の米国側の日本アニメ流儀(スタイル)のキャラクター・ビジネスに関する理解の未熟さや、企画自体の詰めの甘さ、作画技術水準の低調、玩具主導の商品展開の作品構造との不一致(ミスマッチ)によるスポンサー『マッチボックス(Matchbox)』 社の撤退や円高などの様々な事情によりパイロット版 のみを残して失敗に終わったが、その後ライセンス許諾を受けた複数の漫画出版社でウォルトリップ兄弟 (Jason Waltrip, John Waltrip)による漫画版で続きが描かれ、その底流は米国で2007年に公開された、日本国を除く全世界で販売された米国独自の完全新作長編映画OVAアニメ作品ロボテック:シャドウ・クロニクル(影の年代記)で実を結んだ。

注釈

  1. ^ ただし、モスピーダ以外の二つの作品は日本の広告代理店ビッ ウエスト(Big West Advertising Co., Ltd. (BWA)がプロデュース、つまり制作に関わっている。
  2. ^ 秋田書店出版月刊マイアニメ4月号 新番組情報 超時空騎団サザンクロス 制作発表会
  3. ^ 今井科学発行の販売促進用小冊子「超時空情報 Vol.8」の記載では、「西暦2199年、植民惑星「グロリエ」 を巡り・・・」と記載
  4. ^ 1987年「ドニング社」( Donning Company )発行の「ロボテック・アート 3」(Robotech Art 3)に於けるカール・メイセック監督の説明、その他公式ウェブサイトや複数の英文資料に於ける氏の発言記録やインタビューによる。