知床岬
知床岬(しれとこみさき)は、北海道北東部、斜里郡斜里町遠音別村岩尾別にある岬。知床半島先端に位置し、オホーツク海に面する。北緯44度20分43秒 東経145度19分47秒 / 北緯44.345265度 東経145.329713度座標: 北緯44度20分43秒 東経145度19分47秒 / 北緯44.345265度 東経145.329713度。
概要
地名はアイヌ語の「シリエトク」(地の果て)からきたとされる[1]。岬上は標高30~40mの台地で、周囲は断崖である。ウミウ、オジロワシ、オオワシなど天然記念物の野鳥のほか、アザラシ、トド、ヒグマも棲息する。1964年、知床半島の中部以北が知床国立公園に指定された。
南アフリカ共和国で開催されたユネスコの会議で、現地時間の2005年7月14日に世界遺産に登録された。
当地は日本郵便から交通困難地に指定されているため、地外から郵便物を送付することは出来ない。
岬への訪問について
知床岬の付近は国立公園内の特別保護地区として厳重な管理下におかれており、道路や大型船の接岸できる港湾施設の建設が規制されている。このため、一般の観光客は事実上立入りできない。かつては遊漁船による上陸が行われていたが、環境保護の申し合わせにより1984年以降は自粛されている。観光客はウトロ港から出ている知床観光船などの観光遊覧船、あるいは自然観察船で、海上から望むことになる。
羅臼町では1999年より町主催で清掃活動「知床岬クリーン作戦」を開始し[2]、2010年代にはNPO法人の協力も得てボランティアも参加可能となっており、一般人が岬に上陸可能な数少ないイベントとなっている[3]。
上記の通り、一般の観光客は事実上立ち入ることができないが、毎年若干名が陸路(海岸沿いまたは山岳ルート)あるいは海路(シーカヤックなど)で岬を訪問しており、その模様をウェブサイトに公開する者もいる。ただし、陸路の場合は道と呼べるものはなく(場合によっては海の中を歩く必要すらある)、十分な登山の装備と経験が不可欠である[4]。海路の場合も避難できる港湾施設などは存在しないため、知識と経験が求められる[5]。これらが伴わない興味本位での訪問は非常に危険である。また、これらを備えた場合でも、訪問はすべて自己責任のもとに行われることを留意する必要がある[4]。
若干名とはいえ特別保護地区内での活動であるため、自然環境への影響が懸念されている。このため環境省は2004年に「知床半島先端部地区利用適正化基本計画」[1]を策定し、これに基づいた「利用の心得」を2008年1月に制定した[2]。この中には登山やシーカヤックで半島先端部を訪れる場合の留意事項が記載されている。
2009年9月、徒歩で岬方面に向かった訪問者のテントが留守の間にヒグマに荒らされる被害があり、環境省釧路自然環境事務所は、知床岬への徒歩での訪問の自粛を要請した[6]。
その他
知床岬灯台は海抜102m、25.5海里。初点灯は1963年。
ご当地ソングとして、森繁久彌作詞・作曲の「知床旅情」がある。
脚注
- ^ “羅臼八景〜道の始まりを目指せ!ルート”. 北海道根室振興局. 2019年12月29日閲覧。
- ^ 羅臼町環境白書2018 (PDF) - 羅臼町、2018年(p.16を参照)
- ^ 【達人のおすすめ】知床岬に上陸してビーチクリーン - ニッポン旅マガジン
- ^ a b 知床岬先端部海岸トレッキング - 環境省(知床半島先端部地区 利用の心得)
- ^ シーカヤック - 環境省(知床半島先端部地区 利用の心得)
- ^ “ヒグマ、テント破りカレーを食う 知床半島(1/2ページ)”. 朝日新聞 (2009年). 2009年12月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月26日閲覧。